可変翼と炎を吹く様が美しいF-111

航空機の翼にも、いろいろあります。
見慣れた前進翼に、X-29の特徴的な後進翼。形状に関しても、デルタ翼、テーパー翼などなど。このF-111は、可変翼という機構をもった翼です。

映像を見ればお分かりのとおり、F-111の翼は開いたり閉じたりします。
可変翼の目的は、翼を動かすことで低速時と高速時のそれぞれで、空気抵抗を下げ、揚力を適切に得ることです。

ただ一概に空を飛ぶといっても、高速で飛んでいるときと低速で飛んでいるとき、また離着陸時などで、適切な揚力は違います。

低速時や離着陸時は高い揚力が必要になり、高速巡航時は空気抵抗をできるだけ下げることが望ましいのです。可変翼であれば、それぞれの状況に応じて適切な揚力を得られ、またどんな速度であろうと空気抵抗を下げることが可能になります。

この発想は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツにおいてすでに生まれていました。しかし、その構造の複雑さやコストの高さなどにより、なかなか実用化レベルのものは開発されない状況が続きました。

そして1964年、ついに実用レベルの可変翼機が初飛行を迎えました。このF-111です。
二つ目の映像で、後部に炎の尾を引いている姿が見られます。これはダンプ&バーンと呼ばれる曲技で、空中で燃料を投棄し、それにアフターバーナーで火をつけているわけです。

これはF-111の曲技として高い知名度があり、航空ショーではお約束のように行われます。