『永遠の74式戦車─日本が誇る傑作戦車』


『永遠の74式戦車─日本が誇る傑作戦車』
伊藤学著(元74式戦車乗員・元2等陸曹)
四六判252ページ+口絵8ページ/定価1980円(税込)

1974年の制式化から半世紀、日本の国土を守り続けた「74式戦車」は、その役目を終えて次々に退役し、いまや2個戦車大隊と1個戦車中隊を残すのみである。素直な操縦性をもち、105ミリ戦車砲は高度な射撃統制装置により高い命中精度を誇る。74式戦車で実用化された「姿勢制御機構」は、後継の90式戦車や10式戦車に受け継がれ、日本戦車に不可欠の装備となった。74式戦車の開発、メカニズム、運用から現役隊員の熱い思いまで、元戦車乗員の著者が傑作戦車のすべてを記録。ありがとう「ナナヨン」!

74式戦車は、戦後初の国産戦車である61式戦車に続く二代目の国産戦車です。  1974年に制式化され、2023年時点も現役であり、第9師団(第9戦車大隊)、第10師団(第10戦車大隊)、第13旅団(第13戦車中隊)において師団または旅団の虎の子として配備されています。また、富士学校機甲教導連隊においても教育用に少数が運用中です。
50年近くも各師団、旅団の機動打撃の中核として活躍してきましたが、現在は90式戦車と10式戦車、そして実質的後継とされる16式機動戦闘車にその座を譲りつつあります。素直な操縦性をもち、105ミリ戦車砲は高度な射撃統制装置により高い命中精度を誇ります。74式戦車で実用化された油気圧懸架装置による「姿勢制御機構」は、後継の90式戦車や10式戦車に受け継がれ、日本戦車に不可欠の装備となっています。
驚いたことに、本書のインタビューで第9戦車大隊中隊長の佐々木保元1尉は、過去に演習で74式戦車小隊を指揮して10式戦車小隊と戦い、「4対0」で10式戦車小隊を全車撃破というパーフェクトな結果を残したと語ってくれています(167頁)。まったく同じ条件で戦い、74式戦車小隊が2世代も上の新鋭、10式戦車小隊を全滅させたのです。著者の伊藤氏は「自衛隊の隊員はどのような装備品を与えられようと、その性能を最大限に発揮し、そしていかに運用すれば効果的に戦えるか、それを考え実行するという面において、世界でトップクラスの能力を持っている」と語っていますが、まさにその実例といえます。
退役間近の74式戦車の開発、メカニズム、運用から現役の74式戦車隊員の熱い思い、さらに74式戦車から配置転換した16式機動戦闘車乗員の新たな決意まで、元戦車乗員の著者がそのすべてを明らかにします。

目 次

第1章 74式戦車の開発
第2章 74式戦車のメカニズム
第3章 戦車砲・各種火器の射領
第4章 74式戦車の各型式
第5章 ナナヨン乗りへの道
第6章 74式戦車乗員の役割とその動き
第7章 戦う74式戦車、その戦闘と戦術
第8章 「常在戦場」を意識せよ!
第9章 ナナヨン乗りの声を聞け!
第10章 新戦力「16式機動戦闘車」
第11章 機甲新時代の先駆者に聞く
資料編 栄光の74式戦車部隊史

著者

伊藤 学(いとう・まなぶ) 1979(昭和54)年生まれ。岩手県一関市出身、在住。岩手県立一関第一高等学校1年次修了後、退学し、陸上自衛隊生徒として陸上自衛隊少年工科学校(現、高等工科学校)に入校。卒業後は機甲科職種へ進み、戦車に関する各種教育を受け、第9戦車大隊(岩手県・岩手駐屯地)に配属、戦車乗員として勤務。2004年、第3次イラク復興支援群に参加。イラク・サマーワ宿営地で整備小隊火器車輌整備班員として勤務。2005年、富士学校機甲科部に転属、砲術助教として勤務。2008年、陸上自衛隊退職。最終階級は2等陸曹。現在、航空・軍事分野のカメラマン兼ライターとして活動中。著書に『陸曹が見たイラク派遣最前線─熱砂の中の90日』(並木書房、2021年)