『ミニミ軽機関銃─最強の分隊支援火器』書籍紹介


ミニミ軽機関銃─最強の分隊支援火器

クリス・マクナブ著
床井雅美監訳
加藤 喬訳

四六判192ページ(オールカラー)
定価1800円+税込

1974年、ベルギーの武器製造会社FNから革新的な軽機関銃「ミニミ」が発表され、自衛隊も含め、世界75か国以上で採用されている。5.56mm高速弾を使用するミニミの発射速度は最大1150発/分に達し、分隊レベルの火力支援に最適である。
朝鮮戦争後、分隊支援火器のBARを廃止した米軍は、ベトナム戦争で、ベトコンが保有するソ連製RPD分隊支援機関銃やRPK分隊支援火器に苦しめられた。この経験がミニミ/M249分隊支援火器を採用する大きなきっかけになった。
ミニミ分隊支援火器はすでに40年の歴史をもち、数々の実戦で成果をあげる一方で、5.56mm弾の威力不足や整備手順の複雑さなどが指摘されてきた。しかし、そうした批判があるものの、同銃の評価が大きく損なわれることはなかった。
ところが、米海兵隊が制圧射撃から精密射撃に大きく舵を切り、2010年、ミニミに代わって、新型兵器の5.56mm口径のM27歩兵自動小銃(IAR)の配備を開始した。今後10年間で各国軍隊のミニミ/M249分隊支援火器に対する対応が変化する可能性もある。
そうした傾向があるなかで、著者は「部隊の火力構成のカギは、異なる機能と性能を有する兵器を組み合わせることにある。各兵器の限界を考慮し、組み合わせで互いの短所を補うのだ」と述べている。これは兵器の特性や性能を考察するうえで忘れてはならない思想である。
本書は、実戦体験に基づく描写と多くの戦場写真を通じ、ミニミ分隊支援火器の活躍を紹介したものである。また、設計開発の歴史を辿りつつ、40年以上にわたり世界の軍隊で使用されてきた理由も明らかにしている。小火器ファンにとって必読の書である。

目次

はじめに

第1章 最強の分隊支援火器

ミニミ開発の発端/初期型ミニミのメカニズム/革新的な複式給弾システム/過酷な比較試験

第2章 ミニミ軽機関銃のメカニズム

ミニミの取り扱い手順/標準モデルと空挺モデル/5.56mmと7.62mm口径のミニミMk3シリーズ/M249SAW(分隊支援火器)/M249特殊作戦用火器(SPW)/ミニミ軽機関銃の派生型

第3章 ミニミ分隊支援火器の役割

戦術面での多様な役割/射手には筋力と持久力が求められる/M249射手1人で歩兵の5倍の弾薬量/射撃を安定させるバイポッド/車両の武装用としても広く使われる/究極の遠隔操作式マウント/新世代の光学照準器/進化する光学照準器/M249分隊支援火器の射撃姿勢/M249分隊支援火器の精密射撃

第4章 M249分隊支援火器の整備と保守

M249分隊支援火器の整備手順/M249分隊支援火器の簡易分解と潤滑油/小さな部品が多く簡易分解が難しいという不満/布製100発容量パックが好まれる理由/M249分隊支援火器の緊急対処法/「M249は一度も故障しなかった」

第5章 戦場のミニミ分隊支援火器

M249分隊支援火器による制圧援護射撃/戦場で実証されたミニミ分隊支援火器の真価/韓国製K3軽機関銃/M249分隊支援火器の存在意義/銃撃戦の勝利に不可欠な軽機関銃/過熱した銃身を交換して射撃再開

第6章 5.56mm弾をめぐる論争

M27歩兵自動小銃を選んだアメリカ海兵隊/遠距離戦では明らかに不利な5.56mm×45弾薬/5.56mm弾薬の殺傷力不足/部隊の火力構成─兵器を組み合わせて短所を補う/5.56mm弾薬批判への反論/5.56mm弾の利点を活かしたM249分隊支援火器

第7章 ミニミの時代はこれからも続く

M249分隊支援火器からM27歩兵自動小銃へ/批判されるM249分隊支援火器/精密射撃も可能なM27の優位性/M27IARでは制圧射撃任務はできない/ミニミ分隊支援火器排除の動きに疑問の声/ミニミ/M249分隊支援火器に優る兵器はない

[コラム]
M249SAW(分隊支援火器)の諸元
M249分隊支援火器の射撃特性
M249分隊支援火器の射撃の基本(アメリカ陸軍装備品取扱いマニュアルFM23-14)
アメリカ陸軍のM249分隊支援火器に関する保守整備要領標準
ブラジル軍特殊部隊とミニミ(2005年)
アフガンに展開するイギリス海兵隊第42コマンド部隊(2011年)
イラクにおけるアメリカ海兵隊(2003年)

参考文献
監訳者のことば
訳者あとがき

筆者紹介

クリス・マクナブ(Chris McNab)
戦史と軍事テクノロジー分野で著作活動を行っており出版点数は40冊を超える。オスプレイのウェポンシリーズでも活躍しており、『ドイツ軍自動ライフル1941-45』、『MG34とMG42機関銃』および『バーレット・ライフル』など多数。

床井雅美(とこい・まさみ)
東京生まれ。デュッセルドルフ(ドイツ)と東京に事務所を持ち、軍用兵器の取材を長年つづける。とくに小型火器の研究には定評があり、世界的権威として知られる。主な著書に『世界の小火器』(ゴマ書房)、ピクトリアルIDシリーズ『最新ピストル図鑑』『ベレッタ・ストーリー』『最新マシンガン図鑑』(徳間文庫)、『メカブックス・現代ピストル』『メカブックス・ピストル弾薬事典』『最新軍用銃事典』(並木書房)など多数。

加藤 喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。アラスカ州立大学フェアバンクス校ほかで学ぶ。88年空挺学校を卒業。91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。著訳書に『LT』(TBSブリタニカ)、『名誉除隊』『アメリカンポリス400の真実!』『ガントリビア99』『M16ライフル』『MP5サブマシンガン』『MP38/40機関銃(近刊)』(並木書房)など多数。