東京マルイ H&K MP5A3 ポンプアクション
写真&解説 YAS
解説
東京マルイは長物エアコッキングシリーズとして、ワルサーMPLシリーズをはじめ、MP5シリーズ、UZI、G3シリーズ、M16シリーズを発売していた。MP5、MPLではサバゲーでの連射力を向上させたポンプアクション式バージョン、UZIでは最初からポンプアクション機構を搭載して発売された。
MP5は当時から人気モデルであり、これにポンプアクションの速射性と、42発+リサーブタンク120発の装弾数、安定した初速と弾道性能、6900円という低価格もあって、エントリー層のサバゲーウエポンとして多くの支持を得ていた。
本モデルが発売された1986年末は、各主力トイガンメーカーはフルオート、セミオート式のガスガンの発売に注力していた時期で、連射能力で劣るエアコッキング式はポンプアクション化によって生き残りをかけていた。
ショットガン以外のポンプアクション式エアコッキングとしては、マルゼンのKG9 SP、マスダヤのミニットマン/ZAP20、ファルコントーイのMP5K、エルエスのトンプソン改などがある。

MP5と言えばドイツH&K社が開発した9mmパラベラム弾を使用するサブマシンガン。

実銃のMP5の開発は「Projekt 64」として1964年に始まり、1966年には西ドイツ連邦境界警備隊および連邦軍特殊部隊に採用された。当初は「MP64」と呼ばれていたが、その後「MP5」と改称された。なお、「HK54」は社内でのプロジェクト名や型式名として使用された。MP5はG3譲りのローラーロッキング方式によるクローズドボルト機構を採用し、従来のサブマシンガンと比べて命中精度が大幅に向上したため、世界各国の警察や特殊部隊に広く採用された。

東京マルイの本エアガンは旧型のA3タイプのレシーバー形状をモデルアップしている。

トライラグのマズル部、フロントサイトは樹脂製。インナーバレルはアルミ製。

ポンプアクション化されたことでハンドガード部は半分の長さとなり、独特のテクスチャ模様となっている。ハンドガードはコッキングノブの位置でネジ留めされている。付属のコッキングノブを取り付けることもできるが、本個体ではノブは紛失している。

リアサイトはHKタイプのドラム式。樹脂製ながら回転式の4段切替可能だ。

セレクターはSがセーフポジション、EとFはいずれも発射ポジションとなる。本モデルはエアコッキング方式のため単発射撃のみだ。トリガーは樹脂製だが、粘りなどは感じられない。

ストックは2段階伸縮ストック。つまり伸ばすか収納するかの二段階。ストックアーム部分は亜鉛ダイキャスト製で、バット部は樹脂製。

グリップはフィンガーチャンネル付きの旧タイプ、細身で握りやすい。底部には蓋があるが、グリップ内には錘が入っていてコンパートメントスペースとしての機能はほぼない。

マガジンは樹脂製で、装弾数は42発。複列式となっており、一列目を撃ち終えたら、底部のボタンを押すと二列目の弾が給弾される。

マガジンはリザーブタンクの蓋が漏斗になっており、マガジンリップに差し込んで、マガジンフォロアーを引いてロック、マガジンリップ用のレバーを抑えながら装填する。
実射はTBRM 0.2g弾で行った。室内5mでは2~3cmにまとまり、8mでも8cm以内にまとまる。現代の視点で見ても、ラフなアイアンサイトの立射で、ここまでピンポイントで狙える命中精度というのは素晴らしいの一言だ。
射撃音はベインッとバネの響きに懐かしさを感じる。トリガープルは約1kgとちょうど良い感じ。
シャカポン、シャカポンと素早く連射するのもよし、じっくり狙って撃つもよしで、サバゲーならメインウエポンとしてもかなり使えそうだ。ただホップ機構がないので射程距離は短いが...。
このポンプアクションモデルはしばらくして絶版となり、その後、固定ホップアップ化されたMP5A3が販売され続けていたが、それも現在では生産終了となってしまっている。

シルバーとブラックのパッケージは初期のマルイエアコッキングシリーズを象徴するカラーリング。

取扱説明書。取説.PDF(3.4MB)

当時のチラシには固定ストックのMP5 A2、スライドストックのMP5 A3、MP5 A3 ポンプアクションの3機種がラインアップされている。
DATA
| 発売年 | 1986年春 MP5A3 1986年夏 MP5A2 1986年12月 MP5A3 ポンプアクション |
| 発売時価格 | ¥5,900 MP5A3 ¥5,980 MP5A2 ¥6,900 MP5A3 ポンプアクション |
| 全長 | 実測 495~645mm |
| 重量 | 実測 1,365g |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | エアーコッキング |
| 使用弾 | 6mmBB弾 |
| 装弾数 | 42発 (+リザーブタンク 約120発) |
| 初速 | 平均初速ː66.6m/s = 0.444J ※気温26度、0.2g弾 |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン 
