モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史 1950~70年代

編集 STGA事務局長 斎藤 紘(元MGC社長)

1950~70年代 | 1980~90年代 | 2000~2010年代

西 暦 モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史

1957年
(昭和32年)

<巻玉鉄砲>
キングタイガー社は、「モデルガンの祖先」と呼べる日本初の巻玉鉄砲(100連発)キングコルトを販売。ブリキ製で巻玉火薬を使用。駄菓子屋や縁日の露店で目にする。

1959年
(昭和34年)

<銀玉鉄砲>
セキデン化学工業は、「エアガンの祖先」と呼べる日本初の銀玉鉄砲マジックコルトMC-50(単発式)を販売。銀玉は球状のアルミ粉塗装。

<テレビ・西部劇ドラマ>
テレビで西部劇ドラマのローハイド(主演、クリントン・イーストウッド)、拳銃無宿(主演、スティーブ・マックイーン)を放映開始。お茶の間で人気。

1960年
(昭和35年)

<日本初のモデルガンメーカー誕生>
日本で最初のモデルガンメーカーの日本MGC協会(以下、MGC)誕生。創業者、神保勉氏は、米国マテル社製のキャップガンをリアルに造形を施し、モデルガンの原点と呼べる改良スナブノーズ/マテルリボルバーをMGC会員に通信販売。

<銀玉鉄砲>
セキデン化学工業は、ストライカー連発式の銀玉鉄砲マジックコルトMCA-300オートマチックを販売。

<キャップガン>
日本は、貿易自由化となり東京・上野アメ横の中田商店は、米国マテル社、ヒューブレー社、ニコルス社製のキャップガン(モナカ銃)を輸入販売。
マノック産業は、いち早く少年雑誌にキャップガンの通販広告を出す。

<テレビ・西部劇ドラマ>
テレビで西部劇ドラマのララミー牧場(主演、ロバート・フラー)、ライフルマン(主演、チャック・コナーズ)を放映開始。西部劇ドラマの人気でガンブームが起こる。

1961年
(昭和36年)

<モデルガン・命名>
MGCは、日本初の薬莢が飛び出すコルト・スーパーオート(マガジンタイプ)とマテル改良ブラックホークを販売。これらの製品に世界で初めて「モデルガン」と命名する。同製品は、東京・上野アメ横(中田商店、江原商店、丸郷商店、丸保コルト商会、ホビース商会)と明光産業、かなめや、銀座銃砲店に流通販売を開始。
トイガンデザイナー「小林太三」氏MGCに入社。トイガン設計・開発者の第一人者で、トイガン業界では稀有な存在として知られている。

<銃の専門雑誌・拳銃ファン>
小出書房は、実銃と輸入キャップガンを紹介する「拳銃ファン(後のガンファン)」を創刊。銃専門雑誌の先駆けとなる。執筆者は、小林久三、山下論一、矢野庄介、根本忠、大藪春彦、岩堂則憲人、小橋良夫氏など、錚々たるメンバーである。

<コルト・ピースメーカー(モナカ銃)>
東京・上野アメ横の江原商店は、米国製コルト・ピースメーカー(モナカ銃)を輸入販売。
明光産業は、東京・渋谷と新宿にキャップガン(モナカ銃)専門店を開店。

<テレビ・ミステリードラマ>
テレビでミステリードラマのアンタッチャブル(主演ロバート・スタック、ブルース・ゴードン)を放映開始。ミステリーブームの牽引役となって、お茶の間で人気。

1962年
(昭和37年)

<販売禁止・モデルガン>
MGCは、米国ヒューブレー社製のコマンダー改良モデル(センター撃針)のコルトM1911コマンダーを販売。マガジン、薬莢を使用し発火機能をもつ改良モデルの野心作として評判を呼んだが、販売4ヶ月で販売禁止。

<日本初の金属製モデルガン>
MGCの小林氏が設計開発した日本初の金属製モデルガンのワルサーVPⅡ(架空モデル)を販売。本製品は、手動連発式スライドアクション(通称タニオ・アクション)で引金と遊底とが直接連動する「玩具独特の機構」が搭載されている。マガジン、薬莢、装填、発火が楽しめる。

<銃の専門雑誌・月刊Gun>
国際出版は、銃の専門雑誌「月刊Gun」を創刊。実銃とモデルガンに関する話題を取り扱う銃の専門雑誌。

<トイガンデザイナー六人部 登>
トイガンデザイナー「六人部 登」氏は、東京・上野アメ横の中田商店に入社。MGCの小林氏と双璧のトイガン設計開発者。

<テレビ・戦争ドラマ>
テレビで戦争ドラマのコンバット(主演、ヴィック・モロー)が放映開始。戦争を通じた人間模様を描いた人気ドラマとしてお茶の間に浸透していった。ミリタリーブームが起きる。

1963年
(昭和38年)

<コンドルデリンジャー事件>
警視庁は、玩具けん銃の「コンドルデリンジャー」製造のコンドル工業を銃刀法違反容疑で摘発。製造販売の中止と早期の回収を命じ起訴するが、後の1965年、東京地裁は、その威力、性能、構造からして殺傷能力を有しないという理由で「無罪」となる。

<安全工法のモデルガン>
MGCは、日本初の金属製回転弾倉式S&Wチーフスペシャルを販売。本製品には、容易に改造が出来ないよう銃身内に鋼材インサートを鋳込み、業界初の改造防止の措置を施した。後に、業界の自主規制の礎となる「鋼材インサート鋳込み工法」を考案。特許を取得する。

「モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史」編集の斎藤 紘は、MGCに入社。

<MGCプロップガン>
MGC(小林設計開発部長)は、業界初の日活映画製作会社他、各映画会社に電気着火式のプロップガン(劇用銃)のオートマチック(通称、日活コルト)及び長銃タイプなど多数を製作し各社に提供する。

<射的銃>
ナカヤ玩具は、日本初のラバーコルク弾を飛ばすナカヤ式射的銃(コルクガン)のナカヤスーパーガン、ナカヤガンNO.1を販売。温泉地や縁日の露店などでよく見かける。

1964年
(昭和39年)

<実銃ブローニングFN380>
MGCは、陸上自衛隊土浦駐屯地の武器倉庫(後の武器資料館)を見学。後に当社の製品開発の資料となる実銃の「ブローニングFN380」に触手。小林設計開発部長は、その場で実銃を手際よく分解し、全部品の写真撮影の許可も貰える。現代では、考えられない古き良き時代だった。

<海外映画会社・タイアップMGCモデルガン>
MGCは、ユナイト映画会社と初のタイアップで金属製拳銃型のワルサーPPK(タニオ・アクション)を販売。映画「007は二度死ぬ(主演、ショーン・コネリー)」の日本ロケに多くのプロップガンを提供。東京・日比谷映画館で「OO7ゴールドフィンガー」上映の期間中、MGCは、売店を設けてワルサーPPKを販売。映画の影響で空前のヒット商品となる。

<鉄製モデルガン>
MGCは、日本初の全鉄製長銃型でU.S.M-3グリースガン(無発火式)を販売。本製品は、「ゼンマイ動力によるフルオート機構」を搭載、薬莢が30発、排莢(飛び出す)する。

1965年
(昭和40年)

<モデルガン購入者・住民票>
警視庁は、モデルガンの悪用防止策として18歳以上の購入者に「住民票」の提出を東京都内の販売店に協力を要請。しかし、販売店は協力を拒否しため、MGCは、協力しない販売店に対し製品の卸販売を中止すると通告。俗に言う「アメ横モデルガン戦争(ブローニングの乱)」が起こる。

<日本高級玩具小売商組合組織>
MGCからモデルガン製品の供給を止められた東京・上野アメ横商店群(中田商店、丸郷商店、堀内商店、江原商店(後のCMC)、ホビース商会、ホンリュウ、国際ガンクラブ)は、「日本高級玩具小売商組合(以下、NKG)」を組織。金属製モデルガン(無可動文鎮モデルとMGCコピー品)の製造販売を開始。製造元は、丸真ダイカスト工業(埼玉県川口市)。

<モデルガン製造会社東京レプリカ>
NKG製品の製造会社丸真ダイカスト工業(後のマルシン工業)は、中田商店との合弁会社「東京レプリカ(TRC)」を設立。六人部氏にオリジナルモデルの設計開発を委託。工場長には根本忠、社員に国本圭一(後のウエスタンアームズ社長)が在職。

<MGC直営モデルガン専門店>
MGCは、東京・上野アメ横に直営のモデルガン専門店「MGCボンドショップ」を開店。大勢のモデルガンファンで賑わう。

<モデルガン>
中田商店は、拳銃型で無可動文鎮モデルのアトラルモデル4、ルガーP.08、ワルサーモデル4を販売。
MGCは、拳銃型でブローニングFN380(可動式ブリーチ機構)を販売。外観のリアルさと実銃通りの分解方法でファンを驚かせた。

1966年
(昭和41年)

<モデルガン・王冠マーク>
警視庁は、モデルガンの悪用防止の強化策として、実銃とモデルガンとが一目で判別できるようモデルガンの銃本体に「王冠マーク」を付すよう製造業者に要請。

<モデルガン>
MGCは、ダイナミックシリーズと銘打ち拳銃型でコルトGM、ルガーP.08、ベレッタM1934、NKG組合のCMCは、コルトGM(非発火式)、国際ガンクラブは、S&Wチーフスペシャル(MGCコピー品)、コルトベストポケット、中田商店は、ルガーP.08/4in、8in、P.38コマーシャル、丸郷商店は、FN380(MGCコピー品)、ワルサーPPK(MGCコピー品)、ホンリュウは、ワルサーPPK(MGCコピー品)、南部14年式を販売。

1967年
(昭和42年)

<日本コルクガン射撃大会>
日本ライフル射撃協会・日本スポーツ少年団本部は、東京・国立競技場岸記念体育館で日本初の「ムービング射撃競技大会」を開催。競技銃は、ナカヤガン63、ナカヤスーパーガン(コルク弾、ラバーコルク弾)で射撃人口の底辺の拡大を図る。

<MGCモデルガンショー>
MGCは、長野県軽井沢レークニュータウンで日本初の「モデルガンぶっぱなせ・クイックドロー大会」を開催。タイマーを設置してコルトS.A.A.銃を使用して早撃ちを競う。また会場では、ウエスタン・スタイルファッションショー、映画の試写会、モダンジャズの夕べも行われた。

<六人部氏モデルガン会社設立>
トイガンデザイナー六人部氏は、中田商店から独立してモデルガン製造会社「六研」を設立。

<モデルガン>
MGCは、拳銃型でコルトS.A.A.(大粒のスタート用火薬使用可)、2代目ワルサーPPK(タニオ・アクション)、NKG組合のCMCは、ベレッタM1934(リアル機構)、コルトGM1911A-1、中田商店は、トカレフTT-33リアル機構)、ブローニング・ハイパワー、エンフィールドを販売。

1968年
(昭和43年)

<コルクガン>
マノック産業は、コルクガン(射的銃)でBS21型8連発、BS25型8連発を販売。

<モデルガン早撃ち大会>
日本ウエスタンクラブは、東京・日本橋の東急デパート屋上で日本初の「平凡パンチ・ピストル早撃ちコンテスト」を開催。コルトS.A.A.銃の凄まじい発火音と煙(マグネシューム使用)を発した国本氏の見事なガンプレィで観衆を満足させた。

<ブローバクモデルガン>
MGCは、日本初のブローバック式モデルガンで全鉄製サブマシンガンのシュマイザーMP40を販売。本製品は、玩具火薬の力で自動連発する「ブローバック機構(以下、BLK)」を開発。セミ&フルオートが楽しめる模型以上の価値を吹き込んだ画期的なモデル。

<モデルガン>
MGCは、業界初のライフル型でウインチェスターM73、M73オクタゴン(八角型銃身)、拳銃型でコンバット・マグナム、モーゼルHSC(タニオ・アクション)、NKG組合のCMCは、拳銃型でコルトS.A.A.(シリンダー貫通)、国際ガンクラブ(後の国際産業)は、モーゼルHSC(タニオ・アクション)、ホンリュウ(後のハドソン産業)は、モーゼルミリタリー(独自のマガジン式)を販売。

1969年
(昭和44年)

<MGCモデルガンショー>
MGCは、東京・後楽園ホールで業界初のトイガンフェスタ「MGCモデルガンショー」を開催。カスタムガン&GUNアクセサリーを販売。全国各地から大勢のモデルガンファンで賑わう。

<モデルガン>
MGCは、ライフル型でランダルカスタム(M73の短銃身)、拳銃型で2代目S&Wチーフスペシャル(リバウンド機構)、コルトネービー1851、パイソン2.5in、4in、六研は、コルトS.A.A.(真鍮製)を販売。

1970年

(昭和45年)

<大阪万国博覧会・MGC出店・営業参加>
MGCは、大阪府吹田市で開催の「大阪万国博覧会」に業界で唯一、出店・営業参加する。モデルガンの魅力とMGCの技術力を世界に発信。
米国の輸入業者コレクターズ・アーモリー社(RMI)から発注による「MGC輸出専用モデルガン」は、海外でもレプリカモデルとして高い評価を得る。

<日本ウエスタンクラブ創立20周年>
日本ウエスタンクラブ(根本忠会長)は、創立20周年を迎える。ウエスタンショーとウエスタン音楽愛好者の親睦団体で根本会長は、ウエスタンシーンの重鎮、華麗な若きファスト・ドローの国本圭一(拳銃殺陣師)、平田貞夫氏も所属。

<モデルガン>
MGCは、長銃型で金属製サブマシンガンのトンプソンM1921/BLK(ドラムマガジン可)、全金属製でステンMK-Ⅱ/BLK、CMCは、拳銃型でコルト・ダイヤモンドバック(貫通シリンダー)、東京レプリカは、フレンチM1935-A(リアル機構)、コルトS.A.A.(貫通シリンダー)、アサヒ玩具は、コルトS.A.A.を販売。

*モデルガンの人気は、凄まじく爆発的な売れ行きで社会現象となる

1971年
(昭和46年)

<MGC輸出貢献企業賞・受賞>
MGCは、トイガン業界で初めて外貨獲得に貢献した企業として、通産省から「輸出貢献企業賞」を授与される。月商20万ドル(当時のレート250円)。また、モデルガン用の金型は、特別償却が認められた。

<金属製モデルガン規制>
国は、銃刀法を改正して「金属製モデルガン規制」する。
拳銃型は、銃腔を金属で閉塞し外観の色は、白色または黄色とする(但し、長銃型は規制の対象外)。その結果、銃腔の閉塞でBLKモデルガンは、作動性が著しく低下し、モデルガン業界は、深刻な打撃を受ける。

<金属製モデルガン>
MGCは、日本初の拳銃型BLKモデルガンでコルト・ガバメントBLK、S&W44オートBLK、ベレッタM1934/BLKを販売。本製品は、玩具火薬の力で自動連発するBLK機構を開発。
CMCは、長銃型で全鉄製サブマシンガンのステンMK-Ⅱ/BLKを販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、金属製に替わる業界初のプラスチック製(ABS樹脂)拳銃型モデルガンで回転弾倉式のS&Wハイウエイパトロールマン41を販売。「黒色のモデルガン」が蘇る。プラスチック製の為、重量が軽くなり、若年層のユーザーも遊べるようになりモデガン史上、空前の大ヒット商品となる。

1972年
(昭和47年)

<金属製モデルガン>
国際産業は、長銃型サブマシンガンでトンプソンM1928シカゴタイプ、東京レプリカは、ウージーSMG、シュマイザーMP41、CMCは、ライフル型のウエスタンカービンM92を販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、業界初のプラスチック製自動式拳銃型でSIG/M/SP47/BLKを販売。本製品は、デトネーター方式BLKモデルで黒色の自動式BLKモデルガンが蘇る。

<銀玉鉄砲>
高徳と増田屋は、銀玉鉄砲(スプリング式)でワルサーP.38、コルトGMを販売。ワルサーP.38は、人気漫画とテレビアニメ「ルパン三世」の影響で人気を呼ぶ。

1973年
(昭和48年)

<金属製モデルガン改造事例・多発>
拳銃型で金属製のコルトS.A.A、ダイヤモンドバック、スペインラーマなど多数の改造事例が多発する。

<モデルガン製造会社マルシン工業>
マルシン工業は、東京レプリカに替わりモデルガン製造会社となり、拳銃型でワルサーP.38コマーシャル、ルガーP.08/4in、6in、8in、ウエスタン・デリンジャー、コルトS.A.A.を販売。

<金属製モデルガン>
MGCは、長銃型ライフル銃でM16-A1&E1/BLKを販売。テレビの人気ドラマ「SWAT」の影響でヒット商品となる。他に全鉄製長銃型でスターリングマークⅤ/BLK、CMCは、拳銃型でFN380/BLK(銃身固定の実銃式)、スペインラーマを販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、拳銃型で回転弾倉式のS&W44マグナム4inを販売。ハイパト41に続きロングヒット商品となる。
他社メーカーも挙ってPL製モデルガンの製品開発を急ぐ。

*トイガン業界は、PL製モデルガンの開発とBLK機構の魅力により、新しいファンの獲得で、規制以前の活況を取り戻した。

<エアガン>
米沢玩具は、拳銃型でエアコッキング銃(カート式7mm鼓弾)のコルト・ウッズマン、スタームルガー、ブローニングHP、増田屋は、BSバッファローを販売。サバイバルゲーム創世記の人気商品となる。

1974年
(昭和49年)

<モデルガン愛好家協会>
モデルガン愛好家たちは、法規制反対を掲げ「モデルガン愛好家協会」を設立。会長に妹尾河童(舞台美術家)、著名な文化人、学識経験者、有名芸能人など60人が、モデルガン法規制反対の小冊子「モデルガンはなぜ危険なのか」を自主出版する。

<モデルガン製造業者・組合設立準備局開設>
通産省、警察庁の発案でモデルガン製造業者は、団体を組織するため、東京・上野に組合設立準備局を設け、事務局長にMGCより出向で私、斎藤紘が就く。通産省文化用品課、中小企業庁、日本玩具協会等の指導で組合設立の準備作業を行う。

<モデルガン製造業者・自主規制協同組合組織>
行政(通産省、警察庁)は、モデルガン業界の自主規制を認めモデルガン製造業者11社(日本MGC協会、国際産業、CMC、ハドソン産業、マルシン工業、小茂田商店、鈴木製作所、アサヒ玩具、丸郷商店、六研、東京レプリカ)は、東京・蔵前の日本玩具協会で自主規制団体「日本モデルガン製造協同組合」の設立総会を開催。理事長にMGCの神保会長が就任。事務局長にはMGCの私、斎藤紘。MGCは、全組合員にモデルガンの改造防止策の「鋼材インサート鋳込み工法を無償で開示」した。

<金属製モデルガン>
国際産業は、拳銃型でダイヤモンドバック、コルトS.A.A、CMCは、ワルサーPPK(シングルアクション)、マルシン工業は、コルトS.A.A.ジュニアモデル、ウエスタンアームズ(以下、WA)は、コルトS.A.A.(真鍮製)を販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、拳銃型でGM-2/BLKを販売。本製品は、業界初のセンター発火(樹脂製センターピン内蔵)のデトネーター(撃針)方式で、PL製の使い捨てCARTを使用。

<エアガン>
高徳は、長銃型でエアボルトアクションのSS-7000(カート式7mm鼓弾)を販売。

1975年
(昭和50年)

<モデルガン自主安全基準>
警察庁は、大野技官の指導のもと日本モデルガン製造協同組合(以下、モデルガン組合)は、金属製モデルガン自主安全基準を制定するため、銃のタイプ別に改造防止策の協議を開始。

<通産省モデルガンメーカー視察>
通産省文化用品課(奥沢課長補佐)は、モデルガンメーカーMGCを「視察」。ダイカスト鋳造工場で、鋼材インサートを鋳込む鋳造現場と鋼材インサートの硬度測定の現場を見学。

<金属製モデルガン>
MGCは、業界初の猟銃型でウインチェスターM97ショットガン(ポリスタイプを忠実にモデルアップ)、レミントンM31Rショットガンを販売。本製品は、薬室(チャンバーレス)がなく、シェルカートを使用した「玩具独特の機構」を開発。
国際産業は、拳銃型でルガー・マークワン(リアル機構)、丸郷商店(以下、マルゴー)は、コルトS.A.A.ジュニアタイプ、六研は、FN380(真鍮製)を販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、拳銃型でコルトMK-Ⅲシリーズ/ローマン2in、トルーパー4in、六研は、コルトS.A.A.を製造しCMCが販売。

<エアガン>
高徳は、長銃型でエアボルトアクションのSS5000(カート式7mm鼓弾)架空モデルを販売。

1976年
(昭和51年)

<金属製モデルガン規制強化>
警察庁は、国会の地方行政委員会で「金属製モデルガンを規制強化」すると答弁。行政は、モデルガン組合の自主規制を認めておきながら、組合の意向を無視して一方的に規制強化の方針。

<モデルガン規制反対デモ行進>
MGCは、製造業者とモデルガン愛好者など300人は、東京・日比谷公園で規制反対の抗議集会を開き、警察庁前まで「モデルガン規制反対のデモ行進」を行う。

<金属製モデルガン>
マルシン工業は、拳銃型でワルサーP.38ミリタリータイプ、コルトGM、ハドソン産業(以下、ハドソン)は、ルガーブラックホーク357、スーパーブラックホーク44マグナム、WAは、スーパーブラックホーク(真鍮製)、国際産業は、トンプソンM1928/BLKを販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、大型拳銃型でレシーバータイプの44オートマグナムBLK、ルガーP.08/BLK(トグルアクションで内蔵ハンマー式)、ニューコルト・GM3/BLK(バレルがリング式)、WAは、コルトS.A.A.を販売。

<エアガン>
高徳(以下、タカトク)は、長銃型でエアボルトアクションのSS-9000(カート式7mm鼓弾、架空モデル)を販売。本製品は、てるてる坊主型の鼓弾を薬莢にセットし5発装填する。

1977年
(昭和52年)

<おもちゃ狩り裁判訴訟>
MGCは、国(警察庁)を相手に1億円の損害賠償請求の民事訴訟(以下、おもちゃ狩り裁判)を起こし、東京地裁に訴状を提出。MGC弁護団(主任弁護士竹内康二、弁護士今村嗣夫、弁護士小池健治)は、東京・市ヶ谷の弁護士会館で記者会見を行う。

<金属製モデルガン規制強化>
国は再度、銃刀法を改正して「金属製モデルガンを規制強化」する。長銃型(小銃、機関銃、猟銃)を含む、金属製モデルガン全般の構造について厳しい規制が追加された。その結果、銃身と機関部体とが一体鋳造の長銃型を除く、全鉄製モデルと自動式拳銃型の銃身分離タイプなどは、「販売目的での所持が禁止」された。

<金属製モデルガン>
国際産業は、大型拳銃でレシーバータイプの44オートマグナム180、マルシン工業は、ニューコルト・アーミー1860、六研は、コルトGM/M1911(真鍮製)を販売。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、拳銃型でコルト32オートBLK、コルトニューパイソン2.5in、4in、6in、を販売。

<エアガン>
タカトクは、エアコッキング式でSSオートマグナム(押し込み式7mm鼓弾)、増田屋は、エアコッキング式でデタチャブルSS-200(7mm鼓弾)、サンダーボルト(7mm鼓弾)を販売。

1978年
(昭和53年)

<MGC小林太三・考案栄誉賞受賞>
通産省は、業界初の玩具産業功労者としてMGC小林太三氏に「考案栄誉賞」を授与。小林氏が考案した「モデルガンの改造防止安全工法」が、モデルガン業界の発展に寄与する、と共に社会的な認知を高めた。

<ウインチェスターM92事件>
警視庁は、全鉄製長銃型でウインチェスターM92は、実弾が発射可能との疑いで製造元の田組精密(田組忠弘)、販売先のWA(国本社長)、国際産
業(荒井社長)が摘発された(後に起訴猶予)。MGCも30丁仕入れたが、安全性に問題ありと判断し、直ぐに改造防止の加工を施し一時的に所持したにも係わらず、MGC神保会長(モデルガン組合理事長)を逮捕(冊子、MGCを作った男を参照)するも後に釈放。警察庁は、おもちゃ狩り裁判への嫌がらせか。

<金属製モデルガン>
CMCは、拳銃型でルガーオートマチック・マーク1を販売。
本製品は、米国で人気のルガーMK1(22口径)の決定版。

<プラスチック製モデルガン>
MGCは、業界初の長銃型でM1カービンBLK、国際産業は、拳銃型でコルトS.A.A、鈴木製作所(販売は小茂田商店)は、S&Wチーフスペシャル、マルゴーは、コルト・パイソン、コルトS.A.A.ジュニアタイプ、WAは、GMコンバットカスタムBLK、マルシン工業は、スーパーブラックホーク、CMCは、コルトS.A.A.を販売。

<エアガン>
増田屋は、長銃型でエアボルトアクション式ライフルのマスダヤ・リコイラー(7mm鼓弾)を販売。本製品は、薬室に直接、鼓弾を込める方式。

1979年
(昭和54年)

<テレビ・刑事ドラマ西部警察>
テレビで石原プロ制作の刑事ドラマ「西部警察」(主演、渡哲也、石原裕次郎)が放映開始。高視聴率を記録。

<モデルガン専用キャップ火薬>
MGC(小林設計開発部長)は、平玉火薬に替わるモデルガン専用キャップ火薬「MGキャップ」を考案。BLK用5mm&7mm、7mmリボルバー用の3種類を製造・販売。一粒のキャップ火薬で快調なBLKが楽しめる。

*MGキャップの販売により、キャップデトネーターを採用したプラスチック製モデルガンは、メンテナンスも楽になり全盛期を迎えていく。

<MGC横浜・モデルガンフェスティバル>
MGCは、横浜山下公園埠頭の氷川丸船上甲板で「クイックドロー大会」を開催。タイマーを設置し、コルトS.A.A.モデルを使用した早撃ちを競う。併せて「国本圭一ウエスタンショー」も開催し華麗なガンプレィを披露。
会場では、併せて「モデルガンフェスタ」も開かれ、全国から大勢のモデルガンファンで賑わう。

<金属製モデルガン>
鈴木製作所は、拳銃型でコルト・ポリススペシャル、マルゴーは、コルト・コブラ、CMCは、長銃型でモーゼルkar98k(六研の部品使用、歴史的な名品)、ステンマークⅡ/BLK、マルシン工業は、コルトM16A1、シュマイザーMP40、拳銃型でコルト・ウッズマン、国際産業は、トルーパーMK3、パイソン357、ハドソン産業は、コルト・ローマンMK3を販売。

<プラスチック製モデルガン>
WAは、拳銃型でベレッタ1934/BLK(MGキャップ使用)、国際産業は、コルトGM、コルトS.A.A、MGCは、コルト・ウッズマンBLK、GM4/BLK、S&W/M59を販売。

1950~70年代 | 1980~90年代 | 2000~2010年代

※本データはSTGA(全日本トイガン安全協会)掲載の情報を許可を頂いて転載しています。本データの無断転載を禁じます。

2016/10/02


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