サンライフ　ワルサーP.38

写真&解説　YAS

解説

今回紹介するエアガンはサンライフのワルサーP.38だ。
サンライフというメーカー、正直筆者も知らないメーカーだったので、当時の雑誌やネット、業界歴の長い方たちにも伺ってみたのだが、さっぱり出所がつかめない謎メーカーだった。
なので、サンライフというメーカーや、製品の価格、発売時期について詳しい読者がいらっしゃったらぜひ教えていただければと思う。

本コーナーでは当時のことを知るために月刊Gunやコンバットマガジンといった70～80年代の専門誌に掲載されていた広告や記事を発売時期の参考のひとつとしている。製品の刻印やパッケージに時期が記載されているものもあるが、今回のサンライフはそれら痕跡がまるでないのだ。

製品は樹脂製の7mmつづみ弾のストライカー式でプッシュコッキングの疑似ブローバックだ。
これは1978年発売のタカトク SSオートマグを祖とする「ガシャポン」構造だ。
パッケージには"迫力のブローバック機構 <PAT.P>"とあるので特許出願中だったようだ。

トイガン業界の流通に長年携わっていた方の話だと、タカトク、マツシロ系のガシャポンのOEMなのでは? という話も聞けたが、いささか確証がない。タニコバさんや問屋さん、ライターさんにも聞いて回ったが、そんな名前のメーカーがあったのはなんとなく覚えているが詳しくはわからない、という回答だった。

80年代前半はエアガンが大きく発展した時期で、多くの模型メーカーや玩具メーカーがトイガン業界に参入した。親会社の名前を出したくない事情があって、子会社やサブブランドとしてサンライフという名前にしたという可能性も考えられる。取説にあるサンライフの所在は千葉県松戸市となっているが、現在はその住所に会社はない。

ブローバックやバレル交換機能など意欲的な製品だが、こういったエアガンが人々の記憶から薄れてゆくのは大変残念なことだ。



各部の作り込みは意外にもしっかりしているが、ハンマーが無いせいか、いまひとつ冴えないシルエット。
標準のロングバレルは8インチ。


マズルが多角形になっているのが面白い。インナーバレルはなく、単なる筒状のバレルだ。


リアサイトは固定式のUノッチ。プッシュコッキングの常かハンマーの造形が無い。スライドのセフティはモールドのダミー。また本モデルにはセーフティが無い。ASGKの自主規制要領ではマニュアルセフティが必要だと思うのだが、協会に加盟していなかったか、協会発足前の製品かもしれない。


プッシュコッキングの疑似ブローバック機構。エアーではなく、ストライカーでマガジン最上段の7mmつづみ弾を叩いて飛ばす仕組み。スライドが後退した状態からスライドを押し込んでコッキングし、トリガーを引くと、弾が発射され、同時にガシャポンとスライドが勢いよく後退することから一部では「ガシャポン」と呼ばれていた。


スライドが後退した状態で、テイクダウンラッチを90度回転させればバレルを簡単に引き抜くことができるバレル交換機能がある。


チャンバーブロック部分のバレル内径は8mmほど、その先はマズルまで内径10mmのどんがらバレル。


付属の5インチバレルに交換してみた。やはりミリタリースタイルが見慣れた感じでしっくりくる。


マガジンのロック機構はなく、細身の割りばしタイプ。装弾数は6発。グリップは茶色の樹脂製ミリタリータイプでランヤードリングも装備する。


弾は7mmつづみ弾で、弾頭直径6.7mm、重量0.2g。箱の裏面がブルズアイターゲットになっている。

初速は23m/sほどで、3m先のA4コピー用紙を貫通しない。弾道は20cmほど上を狙って落ちるように弾が飛んでいく。1マガジン6発撃って3発がA4に当たって跳ね返った。ダブルフィードして2発発射されることもあった。


パッケージには製品特徴であるブローバックシステムとバレルチェンジ機能が謳われている。


箱の側面にはブローバックターゲットシリーズとして44オートマグ、コルトガバメント、ルガーP.08がラインアップとして記載されているが、中古市場では見かけたことが無いので、本当に発売されたのかは不明。


やけに小さいマニュアルが三つ折りでさらに小さく付属している。内容はバレル交換方法やメンテナンス方法など親切だ。マニュアル.PDF (1.11MB)

DATA

撮影協力：ミリタリーグッズ.com

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