三和模型 ベルナルディ / アストラ 22 / ワルサー P.38
写真&解説 YAS
解説
今回紹介するのはエアガンではなく、ピストル型のプラモデルだ。
1960年代初頭、東京・台東区の三和模型から発売されたキットで、組み立てれば小さな弾を発射できる仕組みを備えていた。
三和模型は1950年代にプラスチックモデル市場へ参入し、戦車や航空機、軍艦など多彩なキットを手掛けた。価格は30円から100円と手頃で、子供の小遣いでも買える身近な存在だった。会社は1964年に倒産したが、昭和のプラモデル文化を彩ったメーカーとして記憶に残っている。
銃器シリーズはキット番号400番台で展開され、全8種類ほどが発売された。構造は単純で、左右貼り合わせの樹脂モナカ構造にスプリングとスプリングロッドを兼ねたストライカーを内蔵し、棒状の弾を押し込むとシアに掛かり、トリガーを引けば発射される仕組みだった。
サイズはおよそ10センチ。ワルサーP.38も、アストラ 22も、ベルナルディでさえも、実物大には程遠い。だが当時の少年にとって、それは映画や雑誌で見た“本物の銃”を自分の手元に再現できる特別な存在だった。
いま手にすれば、それは小さなプラスチックの模型ではなく、昭和という時代を封じ込めたタイムカプセルそのものだ。駄菓子屋のざわめきや、友と競い合って組み立てた休日の午後が、鮮やかによみがえる。

ワルサーP.38、アストラ 22、ベルナルディ。ドイツのWalther P.38は当時から有名だったと思われるが、スペインのAstra CUB .22や、イタリアのBernardelli .25などは知る人ぞ知る、というモデルだ。

右面にはSANWA MODEL CO.LTDの文字が入る。樹脂製のモナカ式でもちろん未塗装状態。
1962年と言えば月刊Gunが創刊されたばかりで、ルパン三世の連載も始まっていない。

ベルナルディは護身用の銃で、実銃にもフロント/リアサイトがない。各種ボタンもモールドで再現。

スライド右側にはエジェクションポートの凹みを再現。

グリップボトムにはマグキャッチの突起も再現。

内部構造は非常にシンプル。基本構造はどのモデルも一緒だ。

トリガーのシアにスプリングロッドの先が掛かる。スプリングのリターンも樹脂の弾力を利用している。

弾はプラ棒。ランナーから取り外し、銃口から差し込む。失くした場合はマッチ棒でも良いと取説に書いてある。

銃口から弾(棒)を押し込むとぐぐっとスプリングが縮み、カチリとシアが掛かる。ただ、弾は固定されているわけではないので、銃口を下に向けてしまうと弾は落ちてしまう。
弾が出ると言っても細長い樹脂の棒がピョインと飛び出す程度なので、当時普及しつつあった銀玉鉄砲と撃ち合っても勝てそうにない。

紙箱はすでに経年劣化でボロボロ。時代を感じさせるが、なにかこう、男の子心をくすぐるデザイン。
サンワのプラモデルには、KIT NOがあり、400番台は拳銃のキットシリーズだ。

裏面にはバリエーションのイラストが掲載されている。リボルバーまでラインアップしている。

手書きのイラストによる昔懐かしい取説。各種モデルを切り抜き、ラッキーカードに貼ってメーカーに送ると抽選でレミントンがもらえるとある。取説.PDF (1.47MB)
DATA
| 発売年 | 1962年頃 |
| 発売時価格 | 不明 |
| 全長 | 実測 95mm (ベルナルディ) 実測 94mm (アストラ 22) 実測 108mm (ワルサー P.38) |
| 重量 | 実測 16g (ベルナルディ) |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | スプリング式 |
| 使用弾 | プラ棒弾 |
| 装弾数 | 単発 |
| 初速 | - |
撮影協力:RE:O
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