マルゼン　ワルサーPPK/s

写真&解説　YAS

解説

マルゼンは現在でもドイツ、ワルサー社のピストルをガスガンでモデルアップしているが、その最初のモデルとなったのが、今回紹介する固定スライドガスガンのワルサーPPK/sだ。

実銃の話になるが、ワルサーPP(ポリスピストル)をコンパクトにしたものがPPK(Kはドイツ語でクルツ、短縮の意)となる。PPKの発売は1931年で、ナチス将校の武器としても愛用された。
戦後アメリカにも輸出されたが1963年のケネディ大統領暗殺事件を期にアメリカの武器輸入規制法が変わり、小型拳銃に規制がかかったため、グリップを長くして全高と重量の規制値をクリアしたものが1969年に発売されたPPK/sというわけだ。

マルゼンのセミオート ガスハンドガンは1986年から44マグナムをはじめとして数モデルが発売されたが、外観がデフォルメされたものが多かった。1988年頃にはセミオートガスガンの性能も安定期に入り、各社、よりリアルな外観にこだわった製品が多く発売された。

そこでマルゼンも従来の玩具然とした外観から、モデルガンのような緻密なスタイルの製品を開発していく。その転換点とも言えるのがこのPPK/sで、当時の雑誌広告も、女性モデルを起用し映画のワンシーンのようなオシャレな広告だった。マルゼンのPPK/sはのちにガスブローバック化され、正式ライセンスを取得し、現在に至るのである。

当時の価格としてはエントリー～ミドルクラスのガスガンだが、PPK/sのスタイルをうまく再現している。ネジ類の露出もなく、モデルガンのような雰囲気。映画『007』シリーズの主人公スパイ、ジェームズ・ボンドの銃ということもあり、モデルガン、エアガンでもその人気はいまなお高い。


マズルには銀色のダミーパーツがはめ込まれている。トリガーを引くとインナーバレルが前進するガス・オペレーション・ストライカー・システムと呼ばれる独自機構を採用している。


金属製のハンマーはコックされないダミーだが、トリガー操作に連動して動き、常にダブルアクションで撃つ仕組みだ。トリガープルは約1.5kg。


スライドトップの反射防止グルーブも再現。チャンバーの刻印こそないがエジェクションポートは開口しており、エキストラクターの造形も深くリアルな雰囲気だ。


金属製のトリガー、セフティやマガジンキャッチもライブで機能する。セフティをオンにするとセフティ軸に設けられたフックがハンマーに引っかかり作動をロックする仕組み。


マガジンは割りばしタイプの装弾数10発。マガジンリップやフォロアーロックもあるが本個体は破損しており、弾がスムーズに給弾できなかった。グリップ底部にガスの注入口がある。
1991年にはマイナーチェンジされたステンレス製のフルサイズマガジンとなるが、ガスタンクはグリップ内のままだった。また、トリガープル改善やパーティングラインを目立たなくするといった改良もされた。


セフティをかけてスライドを引き、上へ持ち上げるとスライドを前方へ取り外せる。


取説にしたがって、簡単にバレルを取り外せる。


独特な形状の真鍮製インナーバレル。ゴムパッキンはなく、チャンバー上部に設けられたトーションばねがスリットに入り、そのテンションでBB弾が保持される。


トリガーを引くとバレルブロックとインナーバレルが前進、ブロック側面に設けられたシアーが切れるとバレルスプリングの力で勢いよく後退したインナーバレルがBB弾を装填、バルブを開放し弾を発射する仕組み。
この機構は前モデルのUZIピストルや、オートマグにも搭載されていた。

本個体はマガジンリップが破損しており、残念ながら通常の試射はできなかったが、初速は50m/sほど。ホップ機構こそないが、弾道性能も5mで手のひらサイズにまとまる良好なもので、発売当時のコンディションならコンパクトピストルとしては十分な性能だっただろう。


パッケージは表面も底面も同じデザインが印刷されていて、どちらから開けて良いか困惑する。


ターゲットペーパーは昔から変わらない。ご愛用者カードという葉書があり、これに購入者の情報を記入してメーカーへ返送するのだが、筆者は一度もやったことがない。購入店はMGCボンドショップの新宿店!!


マニュアル。使用上のマナーに描かれたイラストに懐かしさがこみ上げる。マニュアル.PDF (3.6MB)

DATA

撮影協力：ミリタリーグッズ.com

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