台湾国際航空宇宙・国防展2025 — 「強弓」から無人戦力まで:現地徹底レポート
レポート:王清正
台湾で隔年開催される「台湾国際航空宇宙・国防工業展」が、2025年9月18日から20日まで台北・南港展示館で開催された。今回は14か国、400社を超える国内外の企業が参加し、過去最大規模となった。国防部によれば、防衛館は4大展示区を設け、M1A2T戦車、HIMARS多連装ロケットのほか、多種類の「勁蜂(マイティビー)」攻撃無人機、電動無人自律戦術車、小型高速無人艇などを含む51種類の新型装備を展示。今年のテーマは「先進国防・持続可能な飛行・強靭なサプライチェーン・無人の未来」。
地上発射型中層・対戦術弾道ミサイルシステム「強弓」

初公開となったのは、地上発射型中層・対戦術弾道ミサイルシステム「強弓」で、会場で最も注目を集めた新装備である。強弓ミサイルが来年度予算に含まれるかとの質問に対し、中科院の李世強院長(中将)は「展示しているということは、すでに量産段階に入っている」と明言した。

強弓は高度70kmでの迎撃を担い、下層のパトリオットや天弓III型など他のミサイルシステムと組み合わせ、さまざまな目標に対応する多層防空を形成する。今回の展示は、強弓ミサイル、発射架、射撃管制レーダーを含む。ミサイルは垂直発射方式だが、会場スペースの制限により発射架は傾斜配置となった。発射架には4発の弾箱を搭載。弾箱は円形設計で、発射時の空気抵抗を減らす目的があるという。
獵豹105mm装輪戦車

獵豹105mm装輪戦車は軍備局と中科院が共同開発。105mm低反動戦車砲を搭載し、D1・D2試作車は昨年6月に初公開。当時は合格評価を得たものの、陸軍は全高3.3mを3m以下に抑えるよう要請し、砲塔内部の改修を実施。その結果、第3試作車D3が製造され、今年8月の軍聞社番組で初めて映像公開され、今回の展示で一般公開となった。

D3はD1・D2より明らかに低く、全高は3m未満に抑えられている。これに伴い、エンジン配置や車内容積が最適化。砲塔には16発、車内に17発の砲弾を搭載可能で、満載重量は33トン。副武装は12.7mm遠隔操作銃塔、7.62mm同軸機銃、12連装スモークディスチャージャーを装備。外観も実戦に近づけ精緻化された。
軍備局によれば、観測システムは全天候対応で、2500mで車両識別、1500mで人員識別が可能。砲塔は二軸安定化を採用し、移動射撃も可能。2000mで500mm厚鋼板を貫徹できる。
5.56mm T112戦闘小銃・12.7mm T112狙撃銃



軍備局は 5.56mm T112戦闘小銃 と 12.7mm T112狙撃銃 も展示。T112戦闘小銃は量産型で、2年前の試作品と基本構造は同じだが、射撃セレクター、ボルトキャッチ、ハンドガードが改良されている。今回の展示仕様では、グリップ、レーザーサイト、4倍スコープ、内蔵ドットサイト、透明軽量マガジンなどが標準装備される。

T112狙撃銃は、従来試作品に比べてボルトハンドルを滑らかな形状に改修し、バットプレートをゴム製からTPE(熱可塑性エラストマー)に変更。反動吸収が向上し、今年中に量産予定とされる。
ピックアップ搭載 2.75インチロケット車載砲塔システム

中科院は海巡署の要請に応じ、南沙太平島や東沙島の高温環境に適した2.75インチロケット車載砲塔システムを開発し、展示。ピックアップ車両に光学センサーとロケット砲塔を搭載。移動監視・即時発射能力を持ち、42発のロケット弾を搭載。射程は8km、光学探知は10km。外装は熱帯環境に合わせ黄色塗装で、現地に溶け込みやすくした。

銳鳶二型無人機。海洋・水中監視用偵察ドローン。

翼下に勁蜂I型無人攻撃機のポッドを搭載。

携行型小型攻撃UAV「勁蜂 I 型」。折りたたみ翼と発射筒を備え、バックパック運搬・即応展開を意図した設計。滞空時間15分、制御距離8km。

勁蜂 II 型無人攻撃機。固定デルタ翼を持ち長時間滞空でき、偵察・攻撃複合運用能力がある。

勁蜂III型無人攻撃機。X 翼構成を採用し、垂直離着陸 → 水平飛行への転態能力を備える。

勁蜂IV型無人攻撃機。Kratos 社の MQM-178 ターゲット機を改装ベースとし、最大 1,000km の航程を有する設計。

各種カウンタードローン装備。

自立型無人潜水艇 Dive-LD(上)と、自律型水中移動式機雷(下)。

小型快速無人艇。上部に勁蜂I型無人攻撃機のポッドを搭載。
その他多くの偵察型、攻撃型の無人機が展示された。








低コスト巡航ミサイル

電動無人自立偵察攻撃戦術車両

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