サバパーで見かけた凄い命中精度のカスタム電動ガン

サバパーで見かけた凄い命中精度のカスタム電動ガン

先日、エアガンのレビューで、東京サバゲパークのシューティングレンジに行ったとき、一人で射撃をしているお客さんがいた。聞くとカスタムした電動ガンの試射をしているという。

VFC製電動ガンのHK416

一通り撮影が終わって、そのお客さん(内木さんという方)がまだ熱心に射撃されていたので、どんなエアガンを使っているのか伺ってみたところ、VFC製電動ガンのHK416だという。

外観のカッコ良さもさることながら、あまりにも真剣に撃ち込んでいるので、ちょっと弾道を見せてもらったところ、なんだかとても命中精度が高い。いつものエアガンレビューと同じように動画を撮影してみたい、と伝えたら快く応じていただいた。

弾道動画はこちら↓。

弾道がとても綺麗で、弾道の乱れが少ない。フルオートの弾道もかなりまとまっている。

動画内でも触れたがカスタム内容は以下。

◆スプリング:ZCレオパルド M90
◆ZCレオパルド 18:1ノーマルトルクギアセット
◆LONEX: スパイラルピニオンギア・ベベルギア
◆モーター:LONEX- A1
◆FET基板:GATE Pico AAB
◆エアシールノズル:ファイアフライ・でんでんむし
◆VFC純正チャンバー(ダブルチャージ防止加工済み)
◆チャンバーパッキン:宮川ゴム:長掛けミドル(シリコン:硬度60)
◆押しゴム:ファイアフライ:なまず(中辛:2019.1.17)
◆ノーマルインナーバレル長 270mm・マグナムショップむげん オリジナル テーパー&リード加工 
◆DCI:ピストンヘッド
◆ピストン:ZC Leopard
◆AOEアダプター:ガンジニア(3mm)
◆ライラックスシリンダーヘッド
◆ライラックス:フルシリンダー

かなりいじってますね~!!

なお初速は0.25g弾で85m/s前後、0.9Jだ。

ロングテーパー&ステップ加工バレル
とくにこのマグナムショップむげんオリジナルのロングテーパー&ステップ加工バレルが凄い。

HOP窓はリード加工
HOP窓はリード加工
HOP窓はリード加工されている。HOP窓を広げると同時に、HOP窓の角度をエアガンの仕様に合わせ6~8° つける事でチャンバー内でエアシールノズルがBB弾をキッチリHOPパッキンにホールドさせ、また確実にセンターに保持される事で初速安定、発射時にはBB弾のブレを無くし、綺麗な弾道と命中精度が飛躍的に上がるという。

パッキン
パッキンは宮川ゴムの長掛けミドル。マルイ系チャンバーの場合、押しゴムの選定も重要なポイント。

ノズルのセンター出し
ノズルのセンター出しを行うことでシリンダー内の圧縮空気を効率よくBB弾に伝導している。

また、各部の精度を追求しすぎると、BB弾の誤差の影響がモロに出るというのがけっこう大事で、精度を維持したまま適度なスキマが必要かもという話だった。

これらカスタムをバランスよく行うことで、屋外40mで、0.25gバイオ弾を使用してセミオートで25cmセンターサークル内に、フルオートでも30cmくらいにはまとまっている感じだ。

エアガンの命中精度はどれくら向上するか?

エアガンの命中精度はエアガンユーザーあるいはサバゲーマーなら誰しも気になることではないだろうか?

ハイパー道楽の動画レビューでは電動ガンであれば通常30m/40mでの弾道テストをおこなっている。
弾道の特性がわかるように、なるべく射手の肩越しから的に向けてズームして撮っているので、ホップの浮き上がりや、弾道のブレが肉眼ではわからないレベルで確認できる。

これまで多くのエアガンを撃ってみて、電動ガンの精度は30mなら25cmサークルに、40mならば50cm円内に集弾すれば、一般的なサバゲー用途としては必要十分な精度ではないかと考えている。

では、エアガンの命中精度はどこまで高められるのだろうか?

30mチャレンジという精密射撃競技があり、0.4g以上の超重量弾を使用し、パワーも0.95Jといった上限値に近い値まで攻めたボルトアクションライフルだと、80mmといった凄い記録が出ている。ただ、サバゲーで使用するのに現実的な威力が0.9J以下の電動ガンで、弾の重さが0.25gなら150mm程度がせいぜいだろうという話しを伺ったことがある。
※0.9Jは0.2g弾で初速95m/s、0.25g弾で85m/s

距離とグルーピング

仮に30mで150mmの集弾性を基準とすると、理論上で40mで200mm、50mで250mmとなる。実際には弾の威力やホップ回転が減衰する分、もっとグルーピングは悪くなる。最高峰の命中精度を誇る電動ガンでも40mで毎回ヘッドショット(20cm円内)を決められるとは限らないし、この弾と威力の条件で、50mでヘッドショット必中と謳える電動ガンはないだろう。フルオートでダダダッと撃って何発かカンカンカンと当たるといったことなら可能かもしれないが。

命中精度UPの要素

エアガンの命中精度UPの要素は以下の項目と考える。
1.高精度なBB弾
2.初速の安定化
3.ホップアップ回転の安定化
4.芯出しと剛性

高精度なBB弾

命中精度を求める際に高精度なBB弾は前提条件だ。外形寸法の公差、重量公差、内部気泡の少なさ、表面処理の均一さが弾道性能に影響してくる。また、重量が重い弾ほど弾道は安定する傾向にある。しかし、日本の法定威力以下であれば、30mを飛ばすには0.4~0.5g程度が限界で、初速もかなり低下するし、それも極端な山なり弾道になってしまう。
サバゲー用途の電動ガンと考えると0.25~0.28g程度がフィールドレギュレーションとして定められている重量の上限だろう。

初速の安定化

ピストン、シリンダー、ノズル、チャンバー、バレル等のエア流路の気密度アップ、メカボックスのフリクション低減、ピストン解放位置の一定化などによって初速を安定化させる。また、ノズルのセンター出しを行うことでエアの流れが最適化される。
またシリンダー容量とバレル長、バレル内径寸法のバランスを取ることも初速の安定化につながる。
初速が高いほど弾道が安定する傾向にあるが、気温や気圧、弾速測定器の誤差などを見越して0.9J以下というのがサバゲーで使用する現実的な上限値と言える。

ホップアップ回転の安定化

マガジンから給弾された弾はノズルによってチャンバーパッキンを通過し、ホップラバーとの間に一旦保持される。この際に弾が前後左右に動いてしまうとホップラバーへの当たりが不均一となり、ホップ回転が安定しない。チャンバー内径の適正化および、弾が常にホップラバーに接する定位置にセットされるのが理想だ。適度にクッション効果と摩擦のある柔らかなラバーが日本の法定威力に適している。ホップラバーは気温によっても効果が変化するので、季節によって硬度を変更することもある。

芯出しと剛性

エアガン本体のフレームや、内部ユニットを支えるメカボックスは剛性が高いほうが弾道が安定する。フレーム内でユニットが暴れていないか、モーターのトルクでフレームが歪まないか、インナーバレルのブレが無いかなどチェックが必要だ。またノズル、チャンバー、インナーバレルが一直線に並んで芯が出ていることも重要な要素だ。

2023/02/10


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