WA コルト コンバット コマンダー カスタム

WA コルト コンバット コマンダー カスタム

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

AR-7シリーズヤティマチックとガスガンを発売したウエスタンアームズ(WA)が、次に選んだモデルがコルト コンバット コマンダー カスタムだ。

"シーキャンプ カスタム"という名称で覚えているファンも多いだろう。シーキャンプとは銃のモデル名ではなく、1970年代にアメリカで活躍したカスタムメーカーであり、その創設者の名前で、現在もマサチューセッツ州に拠点を置く。1911オートのダブルアクション化を得意としていて、日本では月刊Gunの1978年4月号ではじめて紹介された。

シーキャンプのトイガンは、1984年に、中野ブロードウェイにあったテキサスというウエスタンショップが六人部登氏の製作協力によるカスタム モデルガンとして発売したことがある。だがこれは少数限定の特注品で、一般向けに作られた物ではなかった。本当の意味での量産トイガン化は、今回紹介するWAのガスガンが初となる。

発射機構はスライド固定のガスガンで、ガスはマガジンへのリキッドチャージ、構造上の特徴はインナーバレルが固定式だったことだ。そのため命中精度が高く、この頃のWA製ガスハンドガンは、性能面で他メーカーの製品を寄せつけないほどに完成度が高かった。

当時はまだガスブローバックが一般的ではなかったため、シングルアクションの1911をガスガンとして製品化するのは不可能といわれていた。MGCでは、以前紹介したウィンルソンLEブラウンマキシコンポなどのように、ハレットアクションという独自の作動方式でこれを(なかば強引に)クリアしていたわけだ。

その点、元々がダブルアクションであるシーキャンプをモデルアップしたというのは、モデルガン時代から1911カスタムを得意としていたWAならではの、アイデア勝利だったといえるだろう。本モデルはその後ナショナルマッチ・ゴールドカップなどのバリエーションを生んでいく。

ガスブローバック全盛の時代になってからも、WAはマグナブローバックのシーキャンプカスタムを発売している。シーキャンプが日本に紹介されてから約30年の時を経て、最終的にマグナという形で完結したのである。

サイドビュー左
撮影した個体にはヘレッツタイプの木製グリップが装着されているが、オリジナルではロジャースタイプのプラスチック製グリップ(初期型はビアンキ ライトニングタイプのラバーグリップ)が装備されていた。

サイドビュー右
フレーム左側面にダブルアクションメカのカバーがある。この製品では一体成形だが、後のマグナブローバック版では実銃通り取り外せるようになった。

リアサイト
スエンソンタイプのコンバットリアサイト、リングハンマー、そしてビーバーテイルグリップセフティー。初期モデルにはボーマーサイトが搭載されていた。

アウターバレル
パートリッジタイプのフロントサイトに、サイレンサーなどのアタッチメントが装着可能な亜鉛合金製のバレルブッシング一体アウターバレル。真鍮製インナーバレルの内径は6.12mmで、当時としてはタイトバレルの部類に入る。オプションのコマンダー・サイレンサー(¥2,200)や、少し長いマッチバレル(¥1,500)も発売された。

トリガー
トリガーガード
シーキャンプカスタムの心臓部、ダブルアクショントリガーと独特な形状のトリガーガード。後部に少し露出しているのが本来のトリガーで、これを押し下げることでハンマーをレットオフさせる仕組み。

チェッカリング
トリガーガード前方にはチェッカリングが入っている。フレーム全体にパーティングラインが残っているのは残念だが、当時はこれが当たり前だった。

マガジン
リキッドチャージ式のマガジンは熱交換率の高い亜鉛ダイキャスト製の一体物。マガジンだけで285gもあり、全体的な重量アップにもひと役かっていた。

マガジン内のロッド
バレルが固定式のため、トリガーに連動してマガジン内のノズルが前進しチャンバーへBB弾を送り込む。ウエスタンアームズ製品の命中精度が高かった理由のひとつでもあった。1990年の夏にはガス漏れ対策が施されたWA/インパクト・バルブIII搭載マガジンや、テーパード・ブラスバレルが採用されたスーパースタビライザーも発売された。

パッケージ
パッケージは発砲スチロール製の下箱がない単なるダンボール箱。ウエスタンアームズはモデルガン時代からパッケージがシンプルだった。

DATA


発売年 1988年1月25日 (オリジナル)
1988年8月12日 (コマンダースーパーマスター)
1988年10月8日 (コマンダースーパーマスター ステンレス)
1990年夏 (スーパースタビライザー/スーパーコンペンセイター)
1990年秋 (スーパーコンバットコマンダー)
発売時価格 ¥9,800 (オリジナル)
¥12,000 (サテンブラックモデル)
¥12,000 (ステンレスモデル)
¥13,000 (コマンダースーパーマスター)
¥14,000 (コマンダースーパーマスター ステンレス)
¥17,000 (スーパースタビライザー)
¥15,000 (スーパーコンペンセイター)
¥18,000 (スーパースタビライザー ステンレス)
¥16,000 (スーパーコンペンセイター ステンレス)
¥9,900 (スーパーコンバットコマンダー)
全長 実測 201mm
重量 実測 782g
バレル長 -mm
発射方式 リキッドチャージ式ガス スライド固定
使用弾 6mmBB弾
装弾数 15発
平均初速 56.3m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2020/05/10


■関連リンク

ビンテージ エアガン レビュー TOP ビンテージ エアガン レビュー TOP

トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 - トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -

モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史 モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史

考察 ブローバック・ガスガン 考察 ブローバック・ガスガン