ポイント センチメーターマスター

ポイント センチメーターマスター

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

実銃のセンチメーターマスターの口径は文字通り1センチメートル、つまり10mmだ。インチ表記なら0.40なので40口径ということになる。どちらも意味するところは同じだが、商品名として考えた場合、やはり「センチメーター」というネーミングは秀逸だったといえる。

1990年前後、MGCや東京マルイからもスライド固定ガスガンが発売され、センチメーターマスターは当時人気のモデルだった。

ポイントのセンチメーターマスターを見てみると、残念ながらエアガンとしてのセールスポイントを見つけるのは少々難しいかもしれない。外観のリアルさではMGCのスライド固定式ガスガンには遠くおよばないし、命中精度ではマルイのエアコッキングガンやガスガンに軍配が上がるのは間違いないだろう。

作動システムはガスを接続するとスライドが前進する、スプリングバック式がベースの初期ガスブローバックメカとなっており、これは1986年発売のマルイのS&W M59や、1989年発売のヨネザワのハードボーラーと同様の仕組みだ。ポイントの前作ワルサーPPK ガスブローバックは2WAYではあるが通常のガスブローバックだったことを考えると逆行しているとも言えなくもない。

不思議なのは、ポイントの製品には他にウィンチェスターM1892やワルサーPPKなど、モデルガンファンをもうならせるリアルなラインナップが同時に存在していたということだ。これらは名トイガンデザイナーだった六人部登氏の設計だが、このセンチメーターマスターと同じメーカーの製品というのがにわかには信じがたい。

思うに、それだけポイントというメーカー、ひいては当時のエアガン業界が、ユーザーの多種多様なニーズに対応していたということはいえるかもしれない。ガンマニアやサバイバルゲーマーだけではなく、ちょっとしたプリンキング用や、まったくの初心者向けの製品も常に一定数が売れていたということなのだ。

ディティールの細部にまでこだわった、高級品ばかりがエアガンではない。ときにはこうした気楽に遊べる製品というのも、エアガン業界の発展にはかけがえのない存在だったのである。

サイドビュー 左
サイドビュー 右
よく見るとスライドの上下幅が若干広い。これは同じメカであるマルイS&W M59にも見られた特徴で、スライド内にガスチャンバーを設けなければならないデザインゆえだと思われる。

コンペンセイター
なかなかよくできたコンペンセイターとフロントサイト。本体とメッキの色味を変えてあるため、統一感には欠けるもののカスタムパーツっぽさは出ていると思うのだがどうだろう。

バレルの位置
バレルの位置は偏心しており、かなり下にある。前述の通りスプリングバック式メカのせいだと思われるが、インナーバレル自体はしっかりとした真鍮製だ。

ボーマーサイト
ボーマータイプのリアサイトは無可動。ビーバーテール、グリップセフティはモナカ構造のフレームと一体成形だが、セフティやハンマーを金属製にするなど、少しでも高級感を持たせようという意図は伺える。


スライドが後退した状態でも、エジェクションポートは閉じたままだ。

フレーム
フレームは左右張り合わせのモナカ構造。初心者向のエントリーモデルとしては仕方のない部分だ。グリップパネルは人気のパックマイヤースタイルで黒のラバー製だ。

ガス注入バルブ
ガス注入バルブがグリップ底部にあるため、メインスプリングハウジングはダミー。

マガジン
いわゆるワリバシマガジン。フォロアーを下まで下げるとロックし、マガジンを本体に装填するとロックが解除される。

パッケージ
パッケージには作動方式ガスオペレーションと書かれている。ガスを抜いた状態ではスライドが後退しているのも、このスプリングバック式ガスブローバックの特徴だ。

取扱い説明書
取扱い説明書には外部ソース化を前提とした説明がある。当時発売されたばかりのグリーンガスレギュレーターをはじめ、フロンガス12のブースター、エアータンクの接続も解説されている。
マニュアル.PDF (19.4MB)

DATA


発売年 1991年4月 (スタンダード ブラック)
発売時価格 ¥6,500 (スタンダード ブラック)
¥8,800 (カスタム オールシルバー)
全長 実測 253mm
重量 実測 447g
バレル長 -mm
発射方式 プッシュバック式ガスブローバック
使用弾 6mmBB弾
装弾数 11発
平均初速 55.4m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2020/09/27


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