マルゼン マークスマン・コルトガバメント
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
「強力エアーパワーシステム マークスマン・コルトガバメント」「アクションモデルガンがこれだ!!実物大による迫力でキミにせまる」実はこれ、約40年前に発売されたマルゼン マークスマン・コルトガバメントの広告に載っていた、実にイカしたキャッチコピーである。その広告には10歳くらいの白人少年がマークスマンガバメントを構えている写真もあり、アメリカの子供はなんてスゴい銃を持っているんだろう、と驚いた少年ガンファンも多かったはずだ。かく言う筆者もそのひとりだが、シニアガンファンとなった今、あにはからんや、本当のマークスマンガバは実はこんな銃だったのかと、感慨深く現物を手にしているというわけだ。
この銃は、米国マークスマン社製CO2ガス式のBBガンをコピーし、国内向けにエアソフトガンとして製造された物だ。実銃では4.5mmの鉛製つづみ弾や銅製BB弾を使用するが、マルゼン製は6mmのソフトビニール製つづみ弾とプラ製BB弾仕様になっており、日本で初めて6mmBB弾を採用したエアソフトガンだ。
発射方式はエアコッキングだが、スプリングが異様に強く、大人でもコッキングするのは大変だ。トリガープルも重くネバつく感じで、発射と同時に「ガッショーン!」と銃全体が激しく振動する。
チャンバーの構造上バレルは長さ55mmと短く、スライド先端を持ち上げるとチャンバーが現れ、ここに1発装填するという摩訶不思議なデザインだ。スプリングが強いため初速はかなり出ているが、バレルが短いのと弾が軽いため、実射性能は3m先の新聞紙サイズに命中するかどうか、といったところである。
本モデルは後にチヨダブランドとなり、レーザーサイト(スコープ)型多弾マガジンを搭載したターミネーターモデルや、ハードボーラーステンレスへと発展した。


よく見るとグリップ以外ほぼガバメントの面影はない。実銃のCO2ガス式マークスマンのグリップにはメダリオンがなく、当然ながらコルトとも謳っていないが、マルゼンにはコルトのメダリオンがバッチリ入っている。

マズルにはいちおうブッシングとプラグがモールドで再現されている。インナーバレルは薄い真鍮パイプ。

マガジンキャッチに相当するボタンがセフティで、サムセフティに見えるパーツはコッキングピースストッパー。

ストッパーを下げるとスプリングの力でコッキングピースが10mmほど後退し、コッキングポジションに入る。

コッキングピースは金属製で剛性はじゅうぶん。アルミ製のスプリングガイドが見え、ここから完全に押し込むとコッキング完了。

これがチップアップ式バレルで、後端のパッキンに1発だけ装填する。突起状のプランジャーで固定されているだけなので精度は望むべくもない。

本体はモナカ構造で、ガバメントにあるべきグリップセフティもハウジングもマガジンボトムもすべて省略されている。

弾はつづみ弾とBB弾の2種類が選べる。どちらにせよ、狙って遊べるほどの精度がないのは残念だ。

味のあるパッケージ。製造はマルゼンが請け負い、発売当初の販売はポストホビーが行っていた。
DATA
| 発売年 | 1979年 |
| 発売時価格 | ¥4,300 |
| 全長 | 実測 218mm |
| 重量 | 実測 455g |
| バレル長 | 55mm |
| 発射方式 | プッシュコッキングエアー |
| 使用弾 | 6mmつづみ弾 / 6mmBB弾 |
| 装弾数 | 1発 |
| 平均初速 | 76.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン 