マスダヤ ファルコン FN-077
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
1970年代後半頃まで、すべてのエアガンは実銃にないオリジナルのデザインで作られていた。
最初にその常識を覆したのがマツシロ SSオートマグだったわけだが、どうやら弾の出る玩具銃は実銃に似せないという、業界の不文律があったようだ。
いま考えると不思議な話だが、実銃に似ているのは弾の出ないモデルガンだけ、という時代があったのだ。
そんな中、独特なオリジナルデザインで少年たちの人気を集めていたのが、マスダヤのファルコンFN-077だ。
当時、ハンドガンタイプのエアガンは、ほとんどがライフルを短くした物ばかりだった。
ボルト式のエアコッキングで、ハンドル一体型のピストンを直接手で後ろに引くというスタイルだ。
連発式の場合、リボルバーのようなマガジンをそなえている物が多かったが、ファルコンFN-077はその収納方法に特徴があった。
トリガー前方のフレーム下部から挿入するというもので、マガジンが外から見えず、スマートなシルエットを実現している。
コッキングと連動して自動でマガジンが回転するというメカも、当時としてはかなり先進的だった。
1970年代から80年代にかけて、トイガン業界ではこうした自由な発想によるエアガンがたくさん作られていたのである。

有り体に言えば、「宇宙銃」のようなデザインという事になるだろうか。競技用ピストルだと言われればそう見えなくもない、といったところだ。

全体的な仕上はブロンズ調のメッキで、フレーム側面のシボ加工とあいまって銃とは思えない独特な雰囲気を醸し出している。

少年向けのスポーツ射撃用という位置付けだったため、リアサイトは上下左右のフルアジャスタブル。

左右の調整はネジをゆるめてサイトブレードを動かすが、なんと上下方向はこのようにサイト自体をまるごと動かして調整する。

大きな銃口(10mm)とチューブ状ガードのついたフロントサイト。インナーバレルがこの奥にあり、実際の口径は6mmだ。

右側面にはコッキングハンドルが突き出しており、直接ピストンをコッキングする。ストロークは45mm。

グリップはフィンガーレスト付きで握りやすい。下面のネジはストックを装着するための物で、ロングカービン化したGV-078というバリエーションも存在した。

バレ下部のレバーはマガジンキャッチ。パテントナンバーがいくつも刻印されているが、自動でマガジンを回転させるメカの特許だろうか。

ここからリボルバー状のマガジンを挿入する。取り出しには若干のコツが必要だ。

マガジンの中央に回転させるためのラチェットが見える。純正の6mmつづみ弾は赤色で、他のメーカー製に比べ薄く軽いのが特徴。
DATA
| 発売年 | 1978年 |
| 発売時価格 | ¥5,500 |
| 全長 | 実測 373mm |
| 重量 | 実測 765g |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | エアコッキング |
| 使用弾 | 6mmつづみ弾 |
| 装弾数 | 8発 |
| 平均初速 | 38.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
■関連リンク
ビンテージ エアガン レビュー TOP
トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -
モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史
考察 ブローバック・ガスガン 