アリイ M72-A2 ロケットランチャー "バズーカ"
写真&解説 YAS
解説
現代でもサバゲーにM72やRPGといったロケットランチャーを持ち込むと注目を集めるように、1980年代のサバゲー黎明期にも本製品は大きな話題となった。発売当初はLSの製品だったが、LSの倒産後は他のLS製品と同様にアリイが引き継いで販売された。
トイガンとしては初のフルスケール・ロケットランチャーで、米軍のM72A2をモデルアップしている。外装のほとんどは樹脂製パーツだが、本体内部は巨大なシリンダーとピストン構造になっている。付属の専用発泡スチロール弾を先端に差し込み、後部を押し込むことで弾を約20mほど山なりに飛ばせる仕組みだ。
当時のLSは、安価なエアコッキングガンのキットを多数リリースしており、サバゲー初心者層を多く取り込んでいた。ただし本製品はサバゲー用の実戦ウエポンというよりも、弾を「ポーン」と飛ばして遊ぶレジャー用品に近い印象がある。
実際、サバゲーでこれを使っている光景を見かけることはほとんどなく、当時は実物M72の撃ち殻がミリタリーサープラスショップで手に入ることもあったため、ナム戦コスプレ小道具やロマン砲の域を出ない製品だった。これよりずっと後になって、40mmグレネードカートを使う中華製ロケットランチャーが各種発売されるとは、当時は想像もしていなかった。

実物のM72 LAWは米軍が採用した対戦車・対陣地用ロケット弾の使い捨て発射器で、内部に66mmHEAT弾を搭載、射程距離は100~1000m程度と言われている。1960年代から使用されており、ベトナム戦争でも使用された。

トイガン初のフルスケールのロケットランチャーということで、ユーザーの注目を集めたが、サバゲーで使用されることは稀だった。外装はほとんどが樹脂製だ。

後部のL型蓋はロックピンで固定され、展開時に抜いて取り外すといったアクションが楽しめる。

シャコッと後部の筒を展開する。各部パーツやチャンネルバーも樹脂製。これで全長は89cmほどになる。
この筒をグッと押し込むことでピストンの機能を果たし、空気が圧縮されて弾が飛ぶ。実際にはセーフティリングと呼ばれるパーツを後部にはめ込んで使用する。

収納立ち上げ式のフロントサイトは透明樹脂に距離計が付いていて雰囲気抜群。マズルの内径は約68mmといったところ。

トリガーボタンやスイッチ類などはすべてダミーだが、ゴム製でペコペコ押せたり、引っ張ったりすることができる。リアサイトも収納からスプリングで立ち上がる仕組み。

発泡スチロール弾。実測では全長約15cm、直径約68mm。先端には飛翔安定用に小さな錘が刺さっており、1発の重さは約9g。同梱の弾は無地だが、「ペイントして遊ぼう」とパッケージに書いてある。

発泡スチロール製の弾を先端から差し込む。奥まで差し込むほど圧力が増して、飛距離も伸びる仕組みだ。
実射してみるとバコンと大きな音をたてて、巨大な発泡スチロール弾が飛んでいく。おもわず「おおーっ!」と声が出て笑ってしまう。LSらしい遊び心に富んだアイテムだ。

スリングはナイロンベルトや金属フック、スプリングなどを使用してかなり本格的な作り。

パッケージには「70mmロケット弾が20m以上飛ぶ!」「リアルなロケット発射サウンド」と書いてある。
なおパッケージには大きくBAZOOKA(バズーカ)とあるが、正確には実物はロケットランチャーであり、製品名としてインパクトを狙ったものだと思われる。

弾は発泡スチロールなので水にも沈まないからビーチサイドでも遊べるという記載。現代でやったら問題になりそうだ。

組み立て方法の取説。取説.PDF (9.8MB) 本製品はキットと完成品の両方が発売された。

LSはM72の発売のすぐ後にM88バズーカという4800円の安価な製品も発売している。こちらも70mm発泡弾を20mほど飛ばすアイテムだ。
DATA
| 発売年 | 1987年夏 (LS発売時) |
| 発売時価格 | ¥9,800 (LS発売時) |
| 全長 | 実測 645mm (折畳み時) 実測 885mm (展開時、弾含まず) |
| 重量 | 実測 900g (本体、スリング含む) 実測 9g (弾) |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | 手動、圧縮ポンプ |
| 使用弾 | 70mm発泡スチロール弾 |
| 装弾数 | 1発 |
| 初速 | - |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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