アサヒファイヤーアームズ FN FNC ショート

アサヒファイヤーアームズ FN FNC ショート

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

まずはじめにお断りしなければならないのは、今回紹介する個体はアサヒファイヤーアームズ(以下アサヒ)のオリジナル状態ではない、ということだ。ノーマルにはなかった固定ストックと、かなり本格的なマウントベースが装着されている。加工自体はとてもしっかりとしていて、個人がカスタムしたようには見えない。

ここで思い出されるのは、本エアガンが沖縄基地の米軍海兵隊に訓練用として納入された、というエピソードだ。アサヒFNCは本格的な軍事訓練に耐える、ということを証明する逸話に、当時のガンファンは胸をときめかせたものだ。

そう思ってよく見てみると、ストックは厚みと重量感のある作りで、形状はFNC民生仕様のスポーターストックそのものだ。しかもマウントベースにはFNハースタルの刻印まで入ってる。まさか、コレって米軍に納入された特別仕様モデル…、なーんてコトはないと思うのだが、思わずそんな妄想をしてしまうほど、アサヒFNCというのは神格化されたエアガンだったのである。

発射機構は外部ソースのBV式で、セミ、フルオートに加え、他社に先駆けて3点バーストのセレクティブファイアを備えていた。

当時としては大幅に金属パーツが採用されていたため、ともすればフルメタルと勘違いするガンファンもいたが、ロアレシーバーはプラスチック製。しかもシリコン型によるキャスト樹脂と思われる素材で、仕上はかなり粗く、耐久性も低いと思われる。ほぼハンドメイドの少数生産だったことがよくわかる部分だ。

ところで、前述の米軍採用の件だが、今になってよく考えてみると、実はもっとシンプルな話だったんじゃないかな、という気が(個人的には)している。

というのも、アサヒは実銃の販売業者でもあった(現在も営業中)ため、国内で不要になった猟銃を米軍基地内で安く販売しており、その関係で米軍関係者とは懇意の中だった。

当時、アサヒには築地さんという名物ガンスミスがいて、BV式ガスガンの機構を発明した張本人でもあるのだが、とても個性的で面白い人物だったそうだ。
 
その築地さんが、自社で製造したフルオートガスガンを米軍関係者に見せたところ、相手がそのリアルさに驚いたため、何丁かプレゼントしたらしい。

もらった方は大喜び、まあ、ジョーク好きのアメリカ人のことだから、「Oh!サンキューMr.ツキージ!今度、ぜひ訓練で使わせてもらうよ!」くらいのコトは言ったんじゃないだろうか。

もちろん築地さんもそれをリップサービスだと理解した上で、ちょっとおおげさに広告へ載せたりした結果、どんどん尾ひれがついて伝説となり…。いや、当たらずとも遠からずではないか、とボクは思うのだがどうだろう。

築地さんは2007年に惜しまれつつこの世を去っており、今となっては事の真相を確認できないのが本当に残念だ。

なお、このコーナーで紹介している他のBV式ガスガン同様、今回の個体も内部ユニットを破壊してあるため、発射不能な状態である事を補足しておきたい。

サイドビュー 左
サイドビュー 右
アサヒFNCには銃身長の違いでショートとロングがあり、これはショート。両者ともオリジナルでは折り畳み可能なパイプストックを装備するが、この個体にはスポーター仕様に固定ストックとマウントベースが装着されている。オーナーであるサタデーナイトスペシャル氏も、中古で入手したため理由はわからないそうだ。

フラッシュハイダー
スチール削り出しのフラッシュハイダーとアウターバレル。スリングスイベルもスチール製で、スリングで背中に担いで走ってもビクともしない。

リアサイト
リアサイトはホワイトメタルと思われる金属製。FNハースタルの刻印が入ったマウントベースはかなりしっかりしており、実物のようにも見える。

ハンドガード
ハンドガード上部
ハンドガードはプラスチック製。仕上が粗く、左右の合わせにもかなりスキ間がある。

アッパーレシーバー
アッパーレシーバーはスチールプレス製で、アウターバレルとの接合部には何本ものスクリューが。コッキングハンドルもスチール製。 フロントブロックやストック基部は初期型ではアルミ製だったが、89年の改良でスチールロストワックス製となった。

ロウアーレシーバー
ロウアーレシーバーはシリコン型によるキャスト樹脂製で、気泡などもあり仕上は粗い。固定ストックの基部は実銃スポーターモデルとまったく同じ形状で、ガタは一切感じられない。ちなみに、セレクターの位置によっては2点バーストも可能だったらしい。

マガジン
真鍮ノズル
エアー給弾の100連マガジン。発射ユニットから後部に見える真鍮ノズルにエアーが流入し、パイプ状マガジン内のBB弾を押し出す仕組み。スプリングだけでは最後まで撃ち切れず、残弾がでてしまうBV式ガスガンの欠点を補っていた。

DATA


発売年 1987年末 (ショート・バレル)
1988年 (ロング・バレル)
1989年 (改良版)
発売時価格 ¥58,000 (ショート・バレル)
¥68,800 (ロング・バレル)
¥67,800 (ショート・バレル 89年5月1日以降)
¥69,800 (ロング・バレル 89年5月1日以降)
全長 実測 912mm
重量 実測 3,623g
バレル長 -mm
発射方式 外部ソース式ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 60発 / 100発
平均初速 -m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2021/02/21


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