ノーベルアームズ TAC ONE 12424 IR スコープ
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ノーベルアームズ TAC ONE 12424 IR スコープ

レポート:池上ヒロシ

対物レンズが広がっていない、ずんぐりとしたショートタイプのスコープで、チューブの後ろ半分のほとんどがゴツゴツしたパワーセレクターのダイヤルで占められているこのスタイル。報道や広報写真などで、SEALsが使用しているナイトフォースのショートスコープのスタイルをデザインモチーフとしていることが分かる。
倍率は1.2~4倍。最小の1.2倍では比較的近距離で素早く照準するためのもの、つまりドットサイトのような使い方ができる。パワーセレクターを回して4倍にすれば、茂みやバリケードに隠れた敵ゲーマーを見つけ出し狙撃するためのスコープとなる。

TAC ONE 12424 IR
TAC ONE 12424 IR

■スペック
倍率: 1.2~4倍
レンズ径: 24mm
チューブ径: 30mm
レティクル: Mill Dot
M.O.A.: 1クリック=1/4 M.O.A.
アイリリーフ: 1.2x=87mm/4x=64mm
全長: 263mm
重量: 393g
作動幅: UP,R/70M.O.A.
インパクトポイント: 2.5M.O.A.以下
F.O.V.: 1.2x/21m、4x/7.5m
付属品: フリップオープンキャップ
価格: 16,000円(税抜)

光学照準器を使いこなす 豆知識&用語集
スコープのマウント方法

実際のビューについての説明


倍率1.2倍
まずは倍率1.2倍から。上の方に白い光が入っているのはカメラのレンズについてしまった水滴によるものなので気にしないでほしい(4月だというのに大雪に見舞われた日で、小降りになった隙を狙って撮影したのだ)。

スコープを通さないで見る
カメラを横にずらして、スコープを通さないで見るとこんな感じ。1.2倍という倍率は、たしかに拡大はされているが素通しの風景とそれほど大きくは変わらないので、レティクルの中心部分を見ている限りは両目を開けてドットサイトのような使い方をしてもそれほど違和感はない。

倍率を最大の4倍
倍率を最大の4倍にしたところ。対物レンズが小さいショートタイプのスコープだが、薄曇りの決して明るいとはいえない環境でも、4倍程度なら「暗くなった」というような感じは全くしない。むしろ肉眼で見るより明るく鮮明に感じるくらいだ。

イルミネートレティクルを最大の「11」
イルミネートレティクルを最大の「11」で発光させたところ。上下左右にある十字線が太くなった部分は発光せず、中心近くのミルドットが描かれた細いエリアだけが発光する。色の切り替え機能はなく、赤色だけで0(消灯)から11(最大光度)まで調節できる。

イルミネートレティクルを中間の「5」
イルミネートレティクルを中間の「5」で発光させたところ。これより光度を下げると、雨天とはいえ昼間の屋外では光ってるかどうかが写真では判別できなくなる。真っ暗に近い屋内などで使うモードということだろう。

TAC ONE 12424 IRのレティクル
TAC ONE 12424 IRのレティクル。

レティクル中心部の拡大。レティクル中心部の拡大。

ダイヤル類の扱い方


ディオプター接眼レンズの「縁(ふち)」の部分が回せるようになっている。
これは「ディオプター」といって、スコープを覗いた時に特別に目を凝らしたりしなくてもレティクルが自然にクッキリと見えるように調節するためのものだ。自分の視力に合わせて調節したら、基本的にはもう触らなくて良い場所である。

エレベーション/ウインデージ調節ノブ
上下左右の調節をするのが、エレベーション/ウインデージ調節ノブ。TAC ONE 12424の調節ノブは特に工具無しに簡単に回せるようになっている。

パワーセレクタースコープの倍率(ターゲットが拡大される率)を無断階で調節するためのリングが「パワーセレクター」だ。スコープの手前側にあり、大きな滑り止めの凹凸が付いていて回しやすい。

ここがポイント


SURE HITシリーズとTAC ONEシリーズ

なぜSURE HITシリーズとTAC ONEシリーズはこんなに値段が違うのか?

ハイエンドモデルである「SURE HITシリーズ」に対して、TAC ONEシリーズはエントリーモデルという位置づけになっている。パッケージも、高級そうな箱に入っているSURE HITシリーズと比べると、TAC ONEシリーズはブリスターパックに入れられ、ショップ店頭で無造作に吊り下げられて販売される……といった具合に差別化されている。もちろん価格も、TAC ONEシリーズのほうが大幅に安い。

ということは、TAC ONEシリーズは使われているレンズの質だとか、金属の材質だとかは、ずいぶんと妥協したものになっているのだろうな……と思ってメーカーの人に質問をぶつけてみると、物凄く困った顔になってしまった。実は、構造も、使っているレンズの仕様も金属の材質も、SURE HITシリーズとTAC ONEシリーズで特に差をつけているというわけではないという。

ならば、なんでTAC ONEシリーズはこんなに安いのか? いろいろ話を聞いた内容を総合すると、要は「製造過程に惜しみなくコストをかけたか、そうでないか」の違いということになる。SURE HITの紹介ページで書いたとおり、SURE HITを製造している中国の工場は、「誰もが知ってるアメリカの超有名光学機器メーカーの製品」の製造を任されるほどに、世界トップレベルの技術を持っているところだ。
TAC ONEを製造している工場は、残念ながらそこではない。もちろん日本人のスコープ職人による技術指導は行われているのだが、「超一流の技術」というわけではない……その部分が、ほんのちょっとしたところの差として現れる。

例えば、ダイヤルやノブを回したときの滑らかさ。例えば、表面の質感。例えば、覗いて見た時の像の鮮明さである。数字として現れる精度でも、倍率を最大にしたときと最小にしたときのレティクル位置のズレ=インパクトポイントの大きさとして現れる。
といっても、そのどれもが実用上で問題になるような違いではない。TAC ONEが品質を落としているわけではなく、SURE HITの品質が良すぎるというのが、実際のところに最も近い。

ノーベルアームズの榎田さ
ノーベルアームズの榎田さん。元ハッコーの工場長にして、今のノーベルアームズの高品質を支える第一人者。スコープ一筋で生きてきたという生粋のスコープ職人である。
「(SURE HITに比べてTAC ONEが)安い理由と言われてもねえ……。わかりやすいように、どこか明確に品質を落としておけば良かったかもしれないねえ」なんて真面目な顔で言われても、冗談なのか本気なのか。

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http://www.novelarms.co.jp/

2015/04/29

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