TAKAGI TYPE M2019 BLASTER 高木型 弐○壱九年式 爆砕拳銃

M2019 デッカード ブラスター 高木型 弐○壱九年式 爆砕拳銃 PART2

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レポート:トモ 長谷川

あまり手を加え過ぎては、実物プロップからかけ離れたモノになってしまいます。外観はそのままに、建て付けの悪い部分は直し、手作りパーツならではの形状は極力再現できるよう努めたそうです。
採寸データだけで作れば小道具の再現に過ぎない。僕たちが欲しいのは、映画で見たあの雰囲気なんです!!
「カッコいい“ブラスター”を創りたい!」
その一心で製作に挑んだ、高木さんならではの仕上がりが魅力です。

グリップグリップのチェッカリング部分の形状、グリップスクリューの位置が左右で異なっている点までも再現。
ブルドッグが現れるグリップを外すと、ブルドッグが現れる。

ブルドッグのモデルガン
……なんと、ブルドッグのモデルガンを作ってブラスターを製作!

素組み状態
仕上げしていない素組み状態。金属を多用しながら、安全基準を遵守していることが判る。

グリップバットグリップバットの金属パーツ。向かって左側のラインが直線的な形状に仕上げられている。また、バットを固定するネジの深さが前後で異なっている。実物プロップの特徴がリアルに再現されている。

スコープの調整ダイヤル
スコープの調整ダイヤルを模したパーツに白いリード線が付属。2006年のワールドコンベンションに展示された際、さらに2009年のオークション時と、実物プロップが公開された際の細部の違いが再現できる。

“ヒーロープロップガン”としてのトイガン

ヒーロー(主人公)が使用するガンは、西部劇でもSFでもいつも注目されるものです。
エアーソフトガンやモデルガンとして製品化されるきっかけとしても、人気を左右する大きな要素です。
アニメ作品も同じ。古くは「宇宙戦艦ヤマト」の“コスモガン”や「銀河鉄道999」の宇宙戦士の銃“コスモドラグーン”、さらに「ガンダム」! 「バイオハザード」や「メタルギヤソリッド」などゲームに登場するプロップガンもトイガンとしてとして製品化されいずれも人気があります。

これらのヒーロープロップガンは、映画の興奮を甦らせせてくれるもの。自分と映画との架け橋とでも言えば良いでしょうか。ストーリーにのめり込めるスペシャルアイテムとして、リアルなだけでなくフィギュア的な愉しみ方も、トイガンならではの魅力なんです!

M2019ブラスター
M2019ブラスター(左上)を含め、すべて高木さんが製作した“ブラスター”モデル各種。

MOS-BLASTER
-MOS-BLASTER / 38,000円-
クラフトアップル社のモスカートを発射できるブラスター。銃身を低くオフセットさせ、レシーバーを大型化。高木さんのアレンジ力に敬服するばかりだ!

ガレージキット高木さんによって90年代に製作されたガレージキット。カナマル社製のエアーソフトガン“ブルドッグ”を内蔵しBB弾を射撃できる優れもの。映画用の無可動モデルの複製を基にこの再現力は美事。

M2019 C.S.BLASTER
-M2019 C.S.BLASTER-
ハートフォード社から独自の製作で販売されていたM2019C.S.ブラスター。同社のチーブズスペシャルがベースになっている。モデルガンとエアソフトガン仕様の2タイプの他、スナブノーズタイプのショートモデルや組み立てキットがあった。販売終了品(参考価格56,960円+税)。

ネームプレート付き専用ガンケース
ネームプレート付き専用ガンケースに懐中時計が付属。
“高木ブラスター”と双璧をなすモデルガン製品として、他に「留之助商店」製“ブラスター”が知られている。残念ながら拝見する機会に恵まれていない。2017年公開予定の『ブレードランナー』新作映画に、劇中プロップとして使用されているという。要チェック!

M式スポンジブラスター
-M式スポンジブラスター / 本藤製作所 1,500円-
M2019ブラスター用のケイスを製作する際、切り抜かれたスポンジ素材から発想! ブレラン大好きな職人“茂戸藤 修一”氏が手がけるユニークアイテム。右上のポリススピナーにも注目。

カット済み素材による組み立てキットカット済み素材による組み立てキット。「M式スポンジブラスター」の詳細についてはyahoo!ストアー「スポンジ屋」でチェックしてみよう。


SF映画の戦闘形態

『ブレードランナー』で素晴らしいのが雰囲気作りです。
拳銃だけでなく、主人公デッカードの住居や生活用品など細かいところまで、とにかく凝ったモノが使われています。SF映画というといかにも近未来な突飛なアイテムになりがちですが、『ブレードランナー』ではインテリアに建築家フランクロイドライトの作品が使われていたり、グラスや灰皿、椅子やピアノ、照明器具に至るまで、各種プロップ(小道具)に現代物や、逆にアンティーク品が数々用いられているなど、まったく未来に固執してない点に注目です。

監督のリドリースコット氏は、いずれのアイテムも数多く実在品を集め、その中からシーンの雰囲気に最も合うものを選択したと伝聞されています。「監督は警察署セットのマグカップ1個、ペン1本選ぶのに、それぞれ100個買わせて選んだ……」手を抜いたプロップを使うと、画面が恐ろしいほどチャチになってしまいます。各種プロップに凝ることで、作品にリアリティを持たせ、結果として美しい雰囲気が醸し出されているのです。

劇中の時代設定は2019年。映画が公開された1982年当初からは37年も先の未来でした。しかし、2019年まであと2年ほどに迫った現在から見ると、クルマはまだ地面を這いつくばってますし、凄い人造人間もいません。でも逆にスマートフォンやコンピューターの進化具合は、物語をはるかに上回った、目覚ましい発展と変化が体感できます。という観点から見ると、映画製作当時の人間が創造した文明の進化と、反面まったく変わってないモノを混在させている。映画の設定のリアルさに驚かされます。

一方、銃器だけはここ150年の間に、目覚ましい進化はありません。弾数や作動性能などの面で進化はあるものの、火薬の爆発力で鉛を飛ばすという基本原理はそのままです。昔の人から見ればずっと未来的に進化した現代生活ですが、戦闘だけはまだまだ同じ感性で行われそうです。近未来を描きながらどこか懐かしい、切なささえ感じさせる『ブレードランナー』の世界観。斬新なストーリーが哀愁漂う美しい映像でまとめられている。このあたりが長く愛される理由なのかもしれません。

ホルスター
ホルスターの複製品も何タイプも作られている。ウェットフォーミングにより、使い古されたようなアンティーク処理に仕上げてみた。ファンメイドの各種プロップレプリカと組み合わせれば、映画名シーンが再現できる!

COP 357/マルシン
-COP 357 / マルシン-
冒頭でレプリカントのひとりレオンが、尋問に来たブレードランナーを撃つシーンで使用された拳銃。アメリカCOP社製の拳銃で実銃がある。マルシンさんから6mmBB弾仕様と8mmBB弾仕様の2タイプが製品化されている。8,500円。


警察99S CAP-警察99S CAP / エルフィンナイツ-
映画に登場するポリス用キャップの再現。5,500円。
他に「スピナー」キャップと「POLICE99S」キャップがある。ワッペンのみの販売もあり(2,500円)。


ショットグラスやウィスキーグラス
劇中の大切な場面で印象的なショットグラスやウィスキーグラス、ボトルが登場する。すべて実在の製品から作品の雰囲気に合う物が厳選され使われたという。

BRYANT'Sショットグラス
「BRYANT'Sショットグラス(右:エルフィンナイツ_2000円)」、「青島ショットグラス(左:エルフィンナイツ_2000円)」闘いで受けた傷を癒やしながら青島酒を口に含むデッカードが印象的……パーティ用のショットグラスを再現した高木さん入魂のオリジナル作品。

新聞
ポリスバッジに各種I.D.など、ブラスター以外の様々なプロップがファンメイドで再現されている。写真は映画冒頭に登場する新聞!
デジタルリマスターにより、モニターで文字が解析できるようなった……とはいえ、その情熱に敬服するばかり。先のウィスキーボトルと共に、熱烈なブレランファンであられる新関氏の作品だ。ヤフオクなどで購入できる。


ピースおじさんのスタチューピースおじさんのスタチュー。マグネットで留められる。感動ものの完成度です。

映画『ブレードランナー』… 生命の美しさを表現したSFストーリー

主人公“デッカード”

『ブレードランナー』が大好きだったと書いてきましたが、劇場公開当時、高校生だったトモには正直なところストーリーがチンプンカンプンで、内容がまったく理解できませんでした〜!

映画「スターウォーズ」のハリソンフォードが主役のヒーローモノのSFアクションを期待して映画館に観に行ったもんです。ところが! 実際の作品は終始雨降りの暗い雰囲気の中、難解な会話に眼をシバシバさせてるうちにレプリカントが全滅して、どういうワケかハッピーエンドを迎えてしまう……という印象。。。 実際、1982年の公開当初はヒットせず、公開を打ち切る劇場が多かったのです。批評家にも評判悪く“駄作”として映画の黒歴史になるはずでした。

でも何かが心に引っ掛かるモノがあったことは確かでした。
当時の秋葉原の電気街を彷彿させる街に、日本文字が氾濫し、大気汚染によって雨が降り続く。退廃と進化、人種や文化、様々なものが混在する国際的な未来社会……。この映像表現がとても魅力的に思えたのでした。



機械を“始末”しているのに、人間を殺しているかのように悩む主人公“デッカード”。
生き方に疑問を持つ。
これは生身ならではの思考といえます。
開発者はそのように考える機械を創れたことを悦び、感情が芽生えた機械=レプリカントとの対比を描きながら、理想の生き方を目指すことに生身も機械もなく、むしろ機械の方が純粋で人間らしい……と映画は語りかけてきます。



公開当時からこの作品の斬新な世界観を理解するファンが少なからずいて、解説してきました。稀少な意見を確かめる様に、何度も繰り返し見直したものです。劇中には、レプリカントが記憶を紡ぐように写真を集めるシーンがあります。機械故の行動として描かれますが、現代人の生き様とダブらせて生命に対する純粋さが表現されている。シーンの狭間から要素を拾い集めるように、グイグイ感情移入ポイントが増えていったのでした。「時代が作品に追いついた」なんて事が言われたりしますが、『ブレードランナー』の世界を理解するには時間を要するのかもしれません。『ブレードランナー』は「観てない人か、熱狂的ファンのどちらかしかいない」と言われる所以ではないでしょうか。

1992年に監督の意図を反映した「ディレクターズカット」版が、25周年の2007年にはさらに編集を加えた「ファイナルカット」版が公開され、謎だった部分が解明されていきます。さらに30周年記念ブルーレイでは8時間半に及ぶメイキング映像で公開され、語られていなかった部分が明かにされました。ビデオやDVDの普及とともにファンは確実に増殖しています。

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「ブレードランナーのような作品は二度と作られない」という映画関係者の話があります。当時CG技術が無い時代の作品で、実在の建物を使って、しかも従業員がいなくなる夜の間に撮影が行われたそうです。朝の始業時間までの限られた中で、建物をシーンに合わせ装飾して撮影、片付けるという作業が毎日繰り返されたとのこと!

CGに頼らなかったからこそ世界観の独創性、哲学的な脚本、役者の名演、カメラマンの高度な撮影技術、荘厳な音楽などなど、すべてが奇跡的に融合。観客は見たこともない映像に圧倒され、物語の壮大さに見終わっても声もでない……というわけです。

1982年の公開から2017年でじつに35年が経過。新たに続編の新作映画が公開されます!!
今も熱く支持されている……というよりは、増殖し続けたファンによって後押しされた『ブレードランナー』。まだ見てない人は、ぜひこの機会にご覧ください。

 


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2017/01/08


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