G&G ガスガン GM1903 A3

G&G ガスガン GM1903 A3

レポート:戸井源太郎

20世紀初頭に米陸軍で採用され、第1次、第2次世界大戦はもちろん、朝鮮戦争、ベトナム戦争まで現役だった米陸軍の銘銃、M1903がG&Gからガスボルトアクションライフルで登場です。

G&G製品は日本流通用以外はCO2を使用するガスガンとして販売されていますが、日本国内向けには銃刀法に準拠したHFC134a用マガジン仕様で販売されています。
もともとCO2で製造されたガスガンが日本仕様ではどうなのか?
もっともCO2バージョンとは比較はできませんが、飛距離や精度について興味あるところです。

M1903 ボルトアクションライフル
M1903は米陸軍に1903年に制式採用されたボルトアクションライフルです。1905年に採用された日本の三八式歩兵銃と同時期のライフルになります。
第2次世界大戦中の1942年頃には、同じ.30-06スプリングフィールド弾を使用する後継機種であるM1ガーランドに急速に代替されていきましたが、構造が単純で精度も高いボルトアクションということもあり、米陸軍ではその後も広く使用され続けました。

プライベート・ライアン
また一部、精度のよい個体には2.2倍スコープを搭載し、M1903A4となり狙撃銃として使用されました。
映画『プライベート・ライアン』において、信心深く、射撃の際には必ず神への祈りを口にしながら必中の卓越した技術を持つ狙撃手、ダニエル・ジャクソン二等兵が使用していた銃としても印象深いですよね。


本製品は1942年にプレス工法を取り入れて製造しやすくした他、ストックなど改修が施されたM1903A3をモデルアップしています。機関部はメタル製、ストックはリアルウッドとトイガンとは思えない、リアルな出来栄えに感動します。

M1903のエアソフトガン
M1903のエアソフトガンについては、過去にKTWからエアコッキング式が発売されていましたが、現在はメーカー在庫なし状態のようです。現在、市場流通しているのはG&GのGM1903A3のみになります。

G&G ガスガン GM1903 A3 スペック & 弾速データ
全長 1,110mm
重量 3,100g
銃身長 577mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 9発
定価 82,000円(税別)
発売日 2014年
最高 73.58m/s
平均 69.66m/s
最低 65.79m/s
ジュール 0.485J
※東京マルイ ベアリングBB弾 0.2g使用、ホップアップ弱、10発での測定、気温約20度
パーツリスト

コッキングハンドル
コッキングハンドルは大きくて操作しやすく頑丈です。レシーバー部はメタル製で重厚な造りとなっています。チェンバー上部の刻印がG&Gオリジナルになっているのが少し残念です。


セフティはボルトの後端のレバーで行います。ボルト引いたコッキング状態時のみセフティが掛かります。


コッキングした状態だと撃針にあたるボルト後端が少し後退します。ボルトがコッキングインジケーターも兼ねています。

トリガー周りです。トリガーガード前部にあるレバーはマガジンキャッチです。このレバーは実銃にないオリジナル機構なります。

美しいストック
リアルウッドの美しいストック。木目を際立たせるためか、ニスが薄く塗られており、見た目も手触りも最高です。

ストックエンド ストックエンドには実銃と同じくツールボックスがあります。直径約2cm、奥行き約16cm程度のスペースがあります。

フロントサイト
フロントサイトはガードなしのガッチリとした大きめの三角形をしています。着剣ラグももちろん再現されている他、アウターバレルなどもアルミで再現されています。

リアサイト リアサイトは上下、左右に調整可能です。機関部はすべてアルミ、亜鉛ダイキャスト製となっています。
大型のピン銃の左側、チェンバーの真下あたり、ストックの中ほどに大型のピンがあります。ここを押しますと...。

可変HOPダイヤル
右側にあるピンが押し出されます。なんと、これが可変HOPダイヤルになります!! 非常に凝った構造です。しかし、非常にダイヤルが固くて、素手での調整は無理でした。せっかくよいアイデアなのに残念です。

ボルトロックレバー
レシーバー左側にある「ON」「OFF」レバーはボルトをロックするためのモノです。


レバーを「OFF」にしてボルトを引いても抜けません。取り説には抜けるようなことが書いてあり、おかしいなと思っていたのですが、レバーをちょうど中間の位置にしたところ抜けました。


ボルトアッシーは実銃同様に取り外しが可能です。材質は亜鉛などの金属製でズッシリときます。メンテナンスにも嬉しい機構ですね。

最後の1発を撃ったら、マガジンフォロアーとボルトのノズルが干渉しますので、完全にボルトは閉鎖できません。無理に押し込むとノズルの破損の原因になりますので注意してください。
日本国内流通品はHFC134a用のマガジンのみになります。放出バルブが長く飛び出ているので、銃に装填するときちょっと当たり、一瞬“ブシュ”となることが何回かありました。不用意に当たらないように左右にガードを付けて欲しいですね。
このマガジンにガスを入れる方法は、ちょっと独特です。マガジン上部にあるレバーを引くと前部が分離します。
このようにマガジン部とガスタンク部にワンタッチで分離できます。弾倉部の後にガス注入口が隠れています。海外製のバルブは高圧ガス用のため、HFC134a等の国内用低圧ガスではスムーズに注入できない場合があります。マガジンをちょっと冷やすとガスが入りやすくなります。
装弾数はなんと9発!
実銃は5発なのですが、さすがに少なく感じます。
またマガジンリップが大きいので、BBローダーを使ってもBB弾がポロポロこぼれやすいです。装填するにはコツが必要でした。


ガス式のボルトアクションの醍醐味はなんといってもそのリアルな操作感にあると思います。
エアコッキング式と違い、メインスプリングのテンションがないため、指1本でもボルトアクション操作がスムーズに行えます。ジャキコンッという金属の操作音も良いですね。

さて、このM1903A3、実射性能はどうなのか、気になるところです。


実射テストを行ってみましたが0.2gBB弾でなんとか35mのボディには届きますが、その距離あたりで急速にBB弾が落下していきます。集弾性は人物大になんとか纏まる程度のように感じました。ただもうちょっとHOPを掛けたいのですが、前述したとおりHOPダイヤルが固すぎて調整できていないのが残念でした。
また連射するとガス圧の低下で、みるみる飛距離が短くなっていきました。2月に屋外でのガスガンでの実射でテストというのは、ちょっと酷だったかもしれませんね。


主要機関部、バレル等はメタル製、ストックはすべてリアルウッドで再現し、セフティ、ボルトロックなども実銃と同様に操作可能なG&G M1903A3。手にした時の重量感、柔らかく、暖か味すら感じるリアルウッドのストックと外観は素晴らしい仕上がりです。



しかし、マガジン、特にバルブ、またチェンバーパッキンやHOP機構など命中精度に係る部分は正直、日本製のトイガンの精度にはまだまだ及ばないと感じました。
どちらかというと、バリバリのサバゲーマー向きというより、当時の装備や史実の戦いを再現して楽しむヒストリカルゲーマー向けのアイテムと考えます。

彼らにとっての悩みは、第2次世界大戦時に使われた銃器のトイガンが多くないという現実があります。そういう事情から米軍制式小銃のM1903A3の発売を待ち望んでいた方も多いと思います。
どちかというとBB弾を撃てますが、コスプレもしくは飾っておくためのコレクターズアイテムといえるのではないでしょうか? そういう目的でしたら最適ですし、満足できる1挺と思います。

協力:中田商店、サムズミリタリ屋、ビレッジ2

2015/02/09


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