タカトク SS9000

タカトク SS9000

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

今回紹介するのは、ボルトアクション式エアコッキングガンの基礎を築いた名銃、タカトク トイスのSS9000だ。
エアガンの創成期にも、マノック産業や啓平社など、ボルトアクションのエアガンを製造するメーカーは存在した。
だがそれらは、ピストンそのものを後ろに引くだけのストレートプルで、ケースレスの単発、または連発でも回転式弾倉という、リボルビングカービンのような代物だった。
その点、SS9000の操作は、ハンドルをいったん起こしてからボルト(シリンダー)を後ろに引いて、弾倉からカートリッジを拾いながら装填、発射後は空薬莢がエジェクトされる。
この実銃さながらのボルトアクションを再現したエアガンは、SS9000が初めてだったのである。
サバゲーブーム初期の頃はスナイパーがこぞって使用し、後に6mmBB弾、ケースレス仕様、ポンプアクション化へと進化を遂げたのは、シニア世代のエアガンファンならご存知の通り。
当時はありとあらゆるカスタムパーツが流通しており、ベースガンなしでも、ショップに売られているパーツだけで自分好みの1丁が組み上げられたものだ。
1984年に製造会社だったマツシロと共に倒産した後は、ユニックス製造、マルコシ販売のUX スーパー9として6mmBB弾仕様となり、その後、SIISのTSRシリーズへとメーカーが移って行った。
現在ではクラウンモデルがU10ライフルとして販売を続けているが、シンプルで完成された機構を持った名銃だからこそ、こうしたロングランにつながったのである。


発売当初はスポーツ標的射撃用(SSはスーパースポーツの略)という位置付けだったため、グリップが垂直に立ったスモールボアライフルのようなデザイン。


ストックはプラ製だが、左側面にチークピースの盛り上がりが再現されており、かなり本格的な射撃姿勢が取れる。

ストック左面の刻印
ストック左面の刻印。初代SS9000(TM-07)が発売されたのが1976年。タカトクトイスが販売、マツシロが製造をおこなった。両社の頭文字を取ってTM-07というモデル名になっている。


精密射撃用のピープサイトを模したリアサイト。ネジで取り外し、スコープをマウントする事も可能。


ガードの付いたフロントサイト。バレルは7mmつづみ弾用のスチール製で精度が高く、当時はカスタムパーツとして他の銃に使われる事もあった。


バレルドアクションをストックに固定するネジ。手で回せるため工具なしで分解が出来る。


マガジンはロータリー式の5連発。カートの送りもスムースで、後部のマガジンキャッチで本体に固定される。

茶褐色のカート
茶褐色のカートはグラスファイバーチューブを挿入して6mmBB弾仕様に改造された物で、黒いカートはUX スーパー9(1986年~)になってからの純正6mmBB弾仕様カート。

ボルト
ボルトの後退ストロークは約85mm。当時はボルトハンドルを起こしてから引く、という実銃通りの動作が新鮮だった。

セットピン
セットピンと呼ばれる角柱状のパーツを下に引き下げるとボルトが抜ける。これも当時のエアガンにはなかった特徴だ。

パッケージ
こちらは1983年以降にフラットノーズの7mmつづみ弾に変更されたSS スーパー9のパッケージ。箱の左上に新型弾のシールが貼ってあり、社名もタカトクトイスとなった。ストックのトリガー上部分にはASGKの刻印が入る。分解出来る、というのがセールスポイントでもあったため、それが分かるようなデザインとなっている。

マニュアル
SS9000を頂点として、SS7000とSS5000もラインナップされていた。以前紹介したSSオートマグも同じシリーズ。
> マニュアルPDF


DATA


発売年 1976年
発売時価格 ¥9,000
全長 実測 990mm
重量 実測 1,450g
バレル長 約480mm
発射方式 プル式エアコッキング
使用弾 7mmつづみ弾
装弾数 5発+1発
平均初速 94m/s(0.2g)

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2018/09/03



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