マルシン コルトガバメント ガスオペレーションタイプ
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
マルシンコルトガバメントガスオペレーションタイプは、以前紹介したタナカのガスブローバックコルトガバメントの兄弟機種に当たる。設計者はどちらも伝説のトイガンデザイナーである故六人部登氏で、スライドの後退とBB弾の発射を別々に制御する2ウェイシステムだ。ケースレスとライブカート式の両方がほぼ同時に設計され、別々のメーカーから少し期間をおいて発売されたということになる。しかし、エアガン業界に与えた衝撃度という点では、やはりマルシンの方に軍配が上がるのではないだろうか。
いちばんの特徴は、BB弾の発射と空薬莢のエジェクトを同時に行うという点だ。それまで誰も成し得なかったシステムを実現しただけで価値がある、と言っても過言ではないだろう。実射性能に関してはかなり低かったが、当時はそれを欠点と考えるガンファンはほとんどいなかったように思う。
惜しむらくはカートリッジが.380ACPサイズで、.45口径の迫力に若干欠けた、という点だ。だがこれは仕方のない事で、グリップフレーム内にマガジンとガスタンクの両方を収納しなければならず、それでも実銃より若干前後に幅をのばしている。全体のバランスを崩さないギリギリのディフォルメは、さすが六人部デザインといったところだ。
マルシンは常にエポックメイキングなエアガンメーカーで、様々な新機構を世に送り出して来たが、デュアルマキシにつながるライブカート式ガスガンのルーツがここにあったのである。

ライブカート式ガスブローバック(ガスオペレーション)ハンドガンの元祖であるマルシンのガバメント。この個体はニッケルフィニッシュモデルのスライドストップが装着されているが、本来はオールブラック。

1988年に発売されたM1カービン、UZIのライブカート式ガスオペレーション機能をハンドガンで再現し、話題となった。

.45口径の迫力あるマズルが再現されている。ブッシングとプラグは一体成形だが、まるで別パーツのように見える。

グリップパネルを外すとフレームの構造が分かる。後ろ半分が亜鉛合金製でここにガスタンクが内蔵されている。

グリップ下部のガス注入口。マガジンハウジングのスペースがかなり狭くなってしまった。

これは初期型だが、後期型ではシリーズ70の刻印に変更された。金型がよく磨かれており成型時のヒケも少ないためツヤが美しい。

エジェクションポートから見える景色はまさにオートマチックピストルの醍醐味。

スライドのストロークは約37mm。若干迫力には欠けるが、排莢するという興奮はそれを補ってあまりあるものだった。

380ACPサイズのカートリッジとマガジン。カタログでは装弾数7発とあるが、実際には8発入る。

ダンボール製のシンプルなパッケージ。マルシンはモデルガン時代から豪華なパッケージとそうでない物の落差がなぜか激しい。

マニュアルには外部ソースを使用する方法も書かれている。ガス消費量の多い2ウェイ方式は、冬場などで作動性能が落ちることが最初から分かっていたのだろう。
マニュアル.PDF (3.2MB)
DATA
| 発売年 | 1989年11月下旬 |
| 発売時価格 | ¥14,800 (スタンダード) ¥17,000 (ニッケルフィニッシュ) |
| 全長 | 実測 216mm |
| 重量 | 実測 670g |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | リキッドチャージ式ガス カート式ガスオペレーション |
| 使用弾 | 6mmBB弾 |
| 装弾数 | 7+1発 |
| 平均初速 | 38.4m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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