ファルコントーイ 五六式小銃
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
ファルコントーイというメーカーは、良い意味でガンファンの予想を裏切るような製品作りをしていたように思う。これまで紹介してきたブレンテンやH&K MP5Kなどは、どちらもそれまでの常識をくつがえすようなメカニズムが投入されており、新製品が発売されるたび、ガンファンはワクワクしたものだ。
しかし、残念なことにほとんどの製品は商業的に成功したとは言い難く、当時、エアガン業界のトップランナーだったJACやMGCの背中をつねに追いかけているといった状況だった。
そんな現状を打破すべく、満を持して発売されたのが五六式小銃だ。オリジナルのAK47ではなく、中国コピーモデルの五六式というところがファルコントーイらしくヒネリの効いたところだが、製品自体は、トップメーカーにもまったく引けを取らないほどにリアルなガスガンだったのである。
発射方式は外部ソースのセミフル切り替え式で、一体成形のレシーバーは剛性が強くストック類はすべて上質な木製。発射時に金属製のダミーボルトが2cmほど前後するため、若干ではあるがガスオペレーションの雰囲気も味わうことができた。なにより、AKのガスガンとしては初のモデルアップだったため、エアガン業界に革命をもたらす、はずだった。
だが、58,000円というあまりにも強気な価格設定が災いし、またしても商業的には失敗作となってしまったようだ。とはいえ、大小様々なメーカーがしのぎを削っていた1990年代初頭の、隠れた名作だったといえるだろう。
当時、AK系はハドソン産業製のモデルガンしかなかったため、ファルコントーイの五六式が唯一BB弾の発射が可能なトイガンだった。価格的にも高級モデルだったため、業界の期待はかなり大きかったはずだ。
バレル周りはすべて金属製。解放軍モデルの無骨なディティールがよく再現されている。バヨネットは根元部分のみで刀身はついていないが、サードパーティーからソフビ製のスパイクバヨネットも発売されていたようだ。
可動式のタンジェント リアサイト。この個体では支点のピンが紛失していたため適当な棒が差し込んであるが、オリジナルのピンはスチール製。
セレクターレバーの刻印は漢字で「連」と「単」。マガジンポートは完全にふさがっており、内部に異物が混入しないようにデザインされている。
レシーバーは樹脂製だが、レシーバーカバーは実銃通りスチールプレス製で外すことができる。発射時、ボルトキャリアーが2センチほど往復するギミックが内蔵されているが、この個体は故障している。本来ならばガスをジョイントするとボルトが前進する。
スチースプレス製のマガジン。80発という装弾数は当時としてはかなりのファイアパワーだった。仕上げもキレイでかなり良くできている。
スライド式のリップにより確実にBB弾が保持される。外部ソースのガスガンだがBV式ではないため、マガジン内の気密は必要ない。
ガスはグリップ下部のジョイントからホースをつないで供給される。
スチールプレス製のバットプレート。クリーニングキット用コンパートメントもきちんと再現されている。
ストック、ハンドガード、グリップの木製部品は実銃にならって合板ではなく、一本物の木材から削り出されている。
DATA
発売年 | 1991年12月上旬 |
発売時価格 | ¥58,000 |
全長 | 実測 865mm |
重量 | 実測 3,019g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 80発 |
平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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