ノーベルアームズ SURE HIT MRS2 ドットサイト

ノーベルアームズ SURE HIT MRS2 ドットサイト

レポート:石井健夫

2016年の発売以来、日本のサバイバルゲイマーやエアソフトシューターにこよなく愛されてきた高品質マイクロドットサイトがノーベルアームズの「SURE HIT MRS」だ。日本ではあくまでもトイガン専用品として販売されているが、じつは実銃・実弾によるタフな使用にも充分対応する金属ボディ、堅牢な電子回路、クッキリ明るい視野を実現するハイクオリティなレンズ、そして使用者に寄り添う優れた操作性など、その素晴らしい品質とデザインが高く評価されてきた。
そして2022年9月、ノーベルアームズはこのSURE HIT MRSの機能・デザインをさらに磨き上げ進化させた待望の2代目=SURE HIT MRS2をリリースした!


世界レベルの実戦の舞台=「U.S.STEEL CHALLENGE 2022」での優勝および世界記録樹立!という究極のバトルプルーフを経て発売されたSURE HIT MRS2。本体マテリアル(=材質)には先代の「SURE HIT MRS」や「SURE HIT MASTER」同様、堅牢強固な軽合金素材「アルミ引剥材6061A」を採用。もちろんレンズや電子回路基盤、さらに設計および組み立て工法にも実銃対応のハイレベルな資材と技術を投入し完成されている。※.22口径ライフルに搭載しているのはMRS2のプロト・モデル

SUREHIT MRS2

SUREHIT MRS2 スペック

プッシュボタン式スイッチ
本体左側面前方には電源と光量調整を兼ねるプッシュボタン式スイッチ。銃を構えたままでも操作し易い位置にあり、また上品なフォルムよりも操作性を優先したかのように大胆に盛り上がったデザインなので手袋をしたままでも確実に押せて、じつにゲーム向き……つまり実戦的なのが素晴らしいと思う。光量調整機能は「N1」と「N2」のナイトビジョン・モードを含む10段階調整となっており、「▲」でUP、「▼」はダウンおよび1秒以上の長押しで「電源OFF」となっており、次回の電源ONでそ消灯時の光量が再現される。また電源ONは「▲▼」のどちらを押しても良い。

SURE HIT MRS2
狙点と着弾点を修正・調整するためのウィンデージ(左右)スクリュー及びエレヴェーション(上下)スクリューが、SURE HIT MRS2では感触が心地良いクリック付き仕様となった。小型のマイナスドライバーがあればゲームや試合の合間にもこまめに気軽に狙点調整が行える、というわけだ。またバッテリーの収納スタイルが「トップローディング方式」に改められ、銃に取り付けたまま(=調整した狙点をズラさずに)電池交換ができるという初代MRS同様のメリットは維持しつつ、右側面に余計な出っ張りのないスッキリしたフォルムを実現している。

本体とマウント
本体とマウントを繋ぐ後方2箇所のスクリューにはトルクスネジを採用。機能性もルックスも向上している。またこのネジの位置や間隔は初代MRSと全く同じなのでマウントベース等は同じものを共用できる。また光の当たる角度によってはレンズ前面に美しい緑色の反射が現れ、高品質なコーティングが施されている事が実感できる。

マウントベース裏面
付属のピカティニーレール対応マウントベース裏面にはノーベルアームズのブランド・ロゴとモデル名の刻印。このマウントを用いた際のレンズ中心高は「21.5mm」となり、例えばH&K MP7A1のように両手を突き出して構えるケースの多い銃や、U.S.M-14のような曲銃床ライフルには丁度良い。銃の種類によって、あるいは個人差によって、サイトの適正高というものは異なってくるが、ノーベルアームズからもカサ上げのための純正マウント各種やライザーが発売されているので上手に活用しよう。

ピカティニーレール対応マウントベース
「ピカティニーレール対応マウントベース」の雌ネジ部分にはステンレス製ヘリサートが採用され、着脱を何十回、何百回と繰り返してもネジ山が潰れる心配がほとんどない。こちらも初代MRSから継承され愛されているSURE HITシリーズならではの素敵な仕様だ。

金属製の裏蓋
金属製の裏蓋およびパッキンによって回路や基盤を一切外部に露出させない構造により完全な防水&防塵性能を実現しているのもSURE HIT MRSシリーズならではの仕様。なおMRS2では「防水規格:IPX7/水深1m/30分」と、初代MRS比でナント「約2倍の防水性能」を実現している。

SURE HITシリーズ共通の白を基調
SURE HITシリーズ共通の白を基調とした清楚なパッケージに、本体&マウントベース、ラバー製保護カバー、専用アジャストツール、トルクスレンチ、クリーニングクロスといった品々がスッキリ収納されている。特に素晴らしいのがカラー写真やイラストがふんだんに使用された説明書で、取り付け方法、操作方法の他、狙点ゼロインや弾道学に関する解説まで丁寧に記述されていたのには感心してしまった。

トップローディング方式
銃に取り付けたまま(=調整した狙点をズラさずに)電池交換ができる「トップローディング方式」のバッテリー収納スタイル。スタイル。付属の専用ツールで気持ちよく開閉でき、またバッテリーに直接触れる接点の状況等をひと目で点検できる点も素晴らしい。なおバッテリーには汎用性に優れたCR2032を使用する。バッテリー寿命は「輝度中間設定で23,000時間」と説明書にはあった。約958日間=およそ2年8ヶ月である。これは凄い!

ケンシロウ ナガタ選手
複数の鉄板ターゲットを如何に速くヒットするか?を競う、シンプルにして奥深く、そしてエキサイティングなシューティング・マッチが『ワールド・スピード・シューティング・チャンピオンシップ(=WORLD SPEED SHOOTING CHAMPIONSHIP)』だ。そして人々が慣れ親しんだ通称こそ…そう、「スティール・チャレンジ(STEEL CHALLENGE)」! 

そして2022年4月27日から5月1日にかけて開催されたこの大会に於いて、ナント弱冠14歳のシューター、ケンシロウ ナガタ選手がSURE HIT MRS2のプロト・モデルを使用し、RFRO(=リムファイヤ・ライフル・オープンクラス)で世界新記録を樹立! もちろん2022年度の世界チャンピオンに輝いた! このケンシロウ ナガタ選手、その名前からお察し方もいらっしゃると思うが、そう、あのイチロー ナガタ氏のご子息なのだ!

スティール・チャレンジ
1981年にカリフォルニアで始まった伝統あるシューティング・マッチである「スティール・チャレンジ」には、創設当時から続くセンターファイヤピストル(=9mm口径以上のハンドガン)部門の他、現在ではPCC(=ピストルキャリバーカービン)や、リムファイヤ(=.22口径)のピストルやカービン、さらには光学サイトか? アイアンサイトか?といった違いも含めて複数の部門が存在し、若年層や高齢者でも参加しやすいように間口が拡がった事で競技人口が激増しスポンサーの参入も増えてかつてない盛り上がりをみせている。

そしてそれら各部門の中でも最もスピードが出る=速いタイムが記録されるクラスがRFRO(=リムファイヤ・ライフル・オープンクラス)なのだ。

ケンシロウ ナガタ選手は斜め下方に構えた状態からブザーの合図で5枚のターゲットを仕留めるのに、ステージ(=標的のレイアウト)にもよるが「平均で1.1〜1.2秒」という驚くべきタイムを、しかもマグレではなく「常に安定して叩き出す」技術を美事に体得し、試合本番で堂々と全世界に披露して魅せたのだ!

ケンシロウ ナガタ選手による「SURE HIT MRS2」の製品レビューとメッセージ動画が「ノーベルアームズオフィシャルYouTube」にて公開中!


快晴の野外でもクッキリ
最大輝度ならカリフォルニアの眩しい快晴の野外でもクッキリと見えるSURE HIT MRS2。シューティングの練習や試合ではついつい長時間夢中になってしまうものだが、採用されているレンズやコーティングのクオリティが高くクッキリ歪みの少ない視界が得られるノーベルアームズ/SURE HITシリーズのマイクロダットサイトなら、いつまでも眼が疲れにくく正確な射撃が可能なのだ。

クリアな明るい視界
マイクロダットサイトにありがちな青みや歪みが少なくクリアな明るい視界を実現しているSURE HIT MRS2。このモデルもまさに「価格を遥かに凌駕するクオリティ」を体現しているといえよう。光点サイズは程よい大きさといえる「3MOA」で、これは視認できるギリギリまで光量を絞った状態に於いて「10yds(=約9.14m)先にある直径0.3インチ(=7.62mm)の円と同じ大きさ」を意味している。つまり計算上では「7m先にある6mmBB弾と同じ大きさの点」という事になる。

本体サイズ
ハンドガンのスライド等にダイレクトマウントする際の参考データを提供しよう。MRS2(左)の本体サイズは「47.5×33.5×26mm」で、実測重量(※CR2032バッテリーと製品付属の固定スクリュー2個を含む)は「39g」だった。いっぽう初代MRS(右)は本体サイズ「48×35.9×26mm」実測重量(※と同条件)は「35g」だったので、アウトラインとしてはスリム化コンパクト化されたMRS2だが重量は微増、という事になる。

初代MRSとの比較
正面から見たMRS2(左)と初代MRS(右)。やはりMRS2の「左右幅のスッキリさ」が際立っている。MRS2はレンズ上方が庇(ひさし)のように突き出しているのでこの角度だとレンズ=視野が小さいように見えるが、そこは初代MRSと大差はない。また説明書には「フットプリント(=マウント等に取り付ける際の底面の形状やサイズ)は同じ」と記載されていたが、実際は初代MRSの前面ラインが横一直線なのに対し、MRS2では緩いアールがかかっている事がこの写真からも判ると思う。

メタルマルチマウント
DCI Guns製の『東京マルイ グロック用 メタルマルチマウント』。アルミ製のドットサイトマウントで、リアサイトを交換することで簡単にMRS2を搭載できる。

シールドユニット
サバゲーで使用する際に被弾によるレンズ破損を防ぐオプションパーツ、シールドユニットも発売している。これでCQBやインドアフィールドでも気にせずガンガン使える。

キャリー・オプティクス
そもそもマイクロダットサイトはハンドガンのスライドに省スペースなデザインで直載せすることを目的に開発された。マウント加工が施されたスライドを備えた「キャリー・オプティクス・バージョン」はいまや、幾多の実銃メイカーでその製品ラインナップに加えられている。その際に心配や不安のタネになるのが実銃の反動、とりわけ高速でガツン!ガツン!と前後作動するスライドの衝撃にダットサイトが耐えられるのか?という問題だ。ここをクリアしてこそ「信頼できるマイクロダットサイト」だと言えるのだ。

そしてトイガン界でも現在では、例えばBATON Airsoft製CO2GBBのように、これまでは考えらなかった高速スライド作動及び強烈リコイルの製品が登場しており、いわゆる「トイガン専用ドットサイト」やクオリティの低い海外コピー製品では対応し切れなくなって来ているのが現状だ。


その点、SURE HIT MRS2の耐衝撃性は600G対応=実弾(※7.62mmライフル)で3,000発撃ってもビクともしない強度! CO2ガスブローバックの衝撃でもトラブル等が発生する事はまず無いだろう。もちろん適切な方法でマウントされている事が絶対条件で、こちらのBATON Airsoft/BS STACCATOにも「DCI製メタルマルチマウント」にて搭載している。

ELCAN Specter DR 1x/4x
またマイクロダットサイトには望遠スコープのサブ・サイトとしてタンデム搭載される使用法およびその有用性が従来から知られており、初代MRSは2019年からARMAMENT社からの指名により「ELCAN Specter DR 1x/4x」のバックアップサイトとして採用されてきたが、今後は順次MRS2に更新される、との事。
これからはサバイバルゲームで、トイガンシューティングで、そして実銃界でも、SURE HIT MRS2が縦横無尽に大活躍する予感がしてならない。

 

製品スペック


倍率 1倍
レンズサイズ 24×17mm
ドットサイズ 3MOA
輝度セッテイング デジタルスイッチ10段階(N1/N2ナイトビジョン対応)
※8時間後自動OFF
耐衝撃性: 600G/3,000発対応
防水規格 IPX7/水深1m/30分
本体サイズ
(全長・全幅・全高)
47.7×33.5×36.4mm (マウントベース含む)
47.7×31.5×25.8mm (マウントベース含まず)
重量 67g(バッテリー、マウントベース込)
39g (バッテリー含む、マウントベース含まず)
稼働時温度 -20℃〜+40℃
付属品 ラバー製保護カバー、専用アジャストツール、トルクスレンチ、クリーニングクロス
メーカー希望小売価格 ¥24,000(税別)/¥26,400(税込)

取扱説明書.PDF (1.07MB)

ノーベルアームズ
http://www.novelarms.co.jp/
〒150-0047 東京都渋谷区神山町2-8三木ビル
TEL:03-6416-8902 FAX:03-6416-8903

2022/10/07

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