『スター・トレック BEYOND(ビヨンド)』 映画紹介

解説:石井健夫

今回は2016年10月21日(金)より全国公開となる映画『スター・トレック BEYOND』を紹介しよう。


STORY

人類史上初となる5年間の深宇宙探索の旅に出てから2年目を迎えるU.S.S.エンタープライズ号では、艦長のジェームズ・T・カーク(クリス・パイン)や科学担当副官のミスター・スポック(ザッカリー・クイント)らがそれぞれに<ある決断>を胸に秘めていた。


やがて辺境宇宙に浮かぶ最先端設備の宇宙ステーションに補給のため立ち寄ったエンタープライズ号は、危険地帯として知られる星雲内の未知の星に不時着した宇宙船からのSOS信号をキャッチ。救出ミッションを実行可能な船は他になく、休養を取る暇もなく慌ただしく再出航するのだった。


しかし惑星への到着直前、夥しい数の飛行物体による急襲を受けたエンタープライズ号は大破して墜落、クルーたちは脱出ポッドによる緊急避難を余儀なくされてしまう。
果たしてここでは何が起こっているのか? そして正体不明の敵とその目的とは?
見知らぬ惑星に散り散りとなったエンタ—プライズ号クルーたち、それぞれの「限界を超えた戦い」の幕が開く!

『スター・トレック』映画新シリーズの3作目は


往年の人気SFシリーズTVドラマ「宇宙大作戦」を、『スターウォーズEpisode:7/フォースの覚醒』(2015年)の大成功も記憶に新しいJ・J・エイブラムス監督がリブートした『スター・トレック』映画新シリーズの3作目。前2作『スター・トレック』 (2009年)と『スター・トレック/イン・トゥ・ダークネス』(2013年)ではTVシリーズで描かれた「5年間の深宇宙探索ミッション」の前日譚が語られたが、本作からはいよいよ時間軸がTVシリーズと重なり、宇宙の最果てにある様々な未知の領域を旅する過程が描かれることになる。ちなみに1979年からスタートした映画版「スター・トレック」としては第13作目でにあたる。


シリーズものの映画、というと、
“これまで観てこなかったから前後が繋がるかな?”
と心配する方もいらっしゃると思うが、「スター・トレック」に関してはその心配はほぼない。
TVシリーズもそうだったのだが、話の進み方としてはだいたい、

  1. <1>エンタープライズ号が惑星に立ち寄る。
  2. <2>数人いる主要クルーの誰か一人を中心にエピソードが進行。
  3. <3>事件が解決してまた宇宙に旅立つ

という感じで、個々のエピソードの構造としては『銀河鉄道999』と似ている・・・というより、999がスタートレックにヒントを得ているのかもしれない。なので途中から観ても普通に楽しめ、もし面白かったなら他の映画作品なり、たくさんあるTVシリーズなりをご自分で探して観てみたら良いと思う。


前2作ではJ・J・エイブラムスが直接メガホンを取ったが今回はプロデューサーを務め、監督には大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』を手掛けてきた台湾出身のジャスティン・リンが抜擢された。元々キレの良いアクション演出に定評のある監督だけに、テンポの速いジェットコースタームービーに仕上がっている。


カーク艦長役のクリス・パインもかなり貫禄がついてきた。『エージェント・ライアン』(2014年)で身に付けた? ハンドガンさばきを今回はスタートレック名物のフェイザー銃で魅せてくれる。シリーズでの設定では「麻痺」から「蒸発」までのあらゆる威力モードを設定可能なこの銃は、まさに理想的な軍・警察用個人携行火器といえる。楽器のオカリナを思わせるフォルム自体はTVシリーズ時代から踏襲されているが、細部の仕様や表面の感じなどはサスガに現代映画だけあって質感やリアリティが増している。


独特のメイクが印象的な新登場の異星人キャラクター、ジェイラ役には『キングスマン』(2015)で義足に鋭い刃を仕込んだ殺し屋“ガゼル”を驚異的な身体能力を活かした華麗なアクションで演じて世界中を魅了したダンサー、ソフィア・ブテラが扮している。今後も様々なアクション映画での活躍が期待される、注目の女優だ。

(C)2016 Paramount Pictures. All Rights Reserved. STAR TREK and all related marks and logos are trademarks of CBS Studios, Inc.

作品DATA

スター・トレック BEYOND(ビヨンド)

監督:ジャスティン・リン
製作:J・J・エイブラムス、ロベルト・オーチー、リンジー・ウェバー、ジャスティン_リン
出演:クリス・パイン、ソフィア・ブテラ、イドリス・エルバ、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン
原題:「Star Trek Beyond」/2016年/アメリカ映画/123分

10月21日(金)全国公開
IN IMAX 3D, DIGITAL 3D & 2D THEATERS
公式サイト:http://www.startrek-movie.jp


■解説者プロフィール

石井 健夫(いしい たけお)
石井 健夫(いしい たけお)

1967年12月、東京都生まれ。
銃器レポーター、射撃選手、映画評論家。ミリタリー専門各誌でのレギュラー執筆の他、近年はグアム野外射撃ツアー「CQB GUAM」ジャパンサービス部代表や、オリジナルトイガンカスタムブランド「Takeo Ishii Performance」の立ち上げ等、活動の幅を広げている。
海外の試合や訓練にも積極的に参加する「体験派ライター」として知られ、実銃では「NRAビアンキカップ」、「STEEL CHALLENGE」、「IDPA(=インターナショナルディフェンシブピストルアソシエーション)」等の全米大会、フィリピン大会に出場し上位入賞経験多数。

エアソフトガン競技においても草分け的なオールラウンドプレイヤーであり、最近では「葉隠マッチ2016優勝」、「APSカップ史上2人目のハンドガン&ライフル両クラスグランドマスター獲得」、「ジャパンスティールチャレンジ全31回に皆勤出場している唯一のシューター」といった実績も話題に。

2016/10/07


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