WA M6906 / M6906 スピードマスター

WA M6906 / M6906 スピードマスター

写真&解説 YAS

解説

S&Wのダブルアクションオートと言えば、1954年に登場したM39/M59にはじまり、1979年からは3桁ナンバーのM439、M459、M645といった第二世代となり、1988年以降はM4500、M5900、M6900シリーズなど4桁ナンバーの第三世代(=サードジェネレーション)に進化していった。

1980年代、日本でもS&Wのオートマチックは大人気で、TVドラマ「太陽にほえろ!」で神田正輝演じるドック刑事がM59を使用すると瞬く間に大人気となり、モデルガンやエアガンが各社から様々なジェネレーション、口径バリエーションでリリースされた。

今回紹介するウエスタンアームズ(以下WA)のガスガンはサードジェネレーションのM6906で、9mm口径、3.5インチバレルのコンパクトフレームモデル、その固定スライド式のセミオートガスガンだ。

WAのスライド固定ガスガンはノズルをマガジンに内蔵したインナーバレル固定式で命中精度が高く、モデルガンメーカーらしい実に端正な造形と重量感が特徴。性能と外観を両立した製品で、多くのファンを魅了していく。

WAはのちにマグナブローバックという画期的なブローバックシステムを開発し、このM6906もショーティフォーティ、M4013 TSWといったモデルに発展していった。

サイドビュー左
サイドビュー右
M6906をベースに、ブラックモデルのM6904、サムセフティ化+ノバックサイトのコンバットマスター、そしてショートコンプ装着+ロングインナーバレルのスピードマスターとバリエーションを展開していった。

サイドビュー左 スピードマスター
サイドビュー右 スピードマスター
ショートコンプの装着されたスピードマスター。ノバックタイプのサイトに12mm延長されたインナーバレル仕様となっている。

インナーバレル
マズルギリギリまで伸びたアルミ製のインナーバレルとアウターバレルにはテーパー加工が施されている。

ショートコンペンセイター
コンパクトなアルミ削り出しのショートコンペンセイターはつや消しシルバーで、フレームのシルバーメッキとのコントラストが美しい。昔からWAはシルバーの使い分けが上手い。ステンレスモデルにはダブルスリットのショートコンプが装備される。インナーバレル長は100mmで、ノーマルより12mm長い。

スパーレスハンマー
ノーマルのM6906はスパーレスハンマー。セフティはアンビタイプでデコック機能はない。リアサイトは金属製でホワイトドットが入る。

ノバックタイプ リアサイト
スピードコンプはスライドにあったセーフティレバーがオミットされ、アンビのサムセフティに変更されている。ハンマーはリングタイプとなり、コック、ダウンどちらの状態でもセフティオンにできる。
リアサイトはノバックタイプでホワイトドットが入る。

スライド上部
スピードコンプのスライド上部は反射防止のグルーブが入る。両モデルともチャンバー上部には9MM PARABELLUMの刻印。スピードコンプのチャンバーはややカッパー色だ。
フロントサイトはどちらのモデルもホワイトドットの入った金属製の別パーツだが、スピードコンプはリアサイトに合わせ大型化されている。

グリップ
どちらも樹脂製ワンピースグリップだが、ノーマルがS&Wのチェッカーなのに対して、スピードコンプはWAオリジナルのコンバットカスタム七芒星の刻印が入る。また、WAオリジナルグリップのほうが幅が大きく、握りにくさがある。スピードコンプは大型のマグキャッチボタンに変更されている。

マガジン
上部にノズルを内蔵したWA独特の亜鉛ダイキャスト製マガジンは装弾数20発。M6906シリーズ共通だが、微妙に検品刻印の違いなどマイナーチェンジが伺える。コンバットコマンダーから培われたWAインパクトバルブⅢを採用。ボトムには樹脂製のマグバンパーが装着されている。

トリガープルはノーマルがDAで約2.5kg、スピードマスターがDAで約2.7kg、SAで約2.1kgだった。
体感的にどちらもトリガーフィーリングには差はなく、スムーズにダブルアクション操作でき、連射も容易だ。

初速は下落差があるものの70m/s台で十分、距離5mでマルイの0.2gバイオBB弾、HFC134aで撃ったところ、M6906のダブルアクションでも3cmにまとまる。距離8mだと山なりに飛ぶが5~6cmといった集弾性能だ。これで固定ホップでも付いていれば現代でも十分通用する弾道性能になりそうだ。

当時夢中だったMGCのハレットアクションのガスガンより命中精度がよく、作動信頼性も高いと思える。

同梱のBB弾
同梱のBB弾の重量は0.16g。

パッケージ
パッケージ。M6906のパッケージのほうはS&Wの文字が上から黒インクで塗りつぶされており、製品写真のスライド部にもWA/COMBAT CUSTOM AUTOの帯が印刷で重ねられている。当時の広告を見ても途中からS&Wの表記がなくなっており、商標トラブルを避けようとした苦肉の策であろうことが伺える。ただし同梱の製品や取説にはしっかりとS&Wの表記がある。マニュアル.PDF (22.5MB)

DATA


発売年 1991年1月下旬 (M6906)
1991年4月上旬 (M6904)
1991年7月上旬 (コンバットマスター マットステンレス)
1991年8月上旬 (コンバットマスター マットブラック)
1991年10月上旬 (スピードマスター)
1992年7月下旬 (ショーティ フォーティ ノングレアブルー)
1992年秋 (ショーティ フォーティ ノングレアステンレス)
発売時価格 ¥11,000 (M6906)
¥11,000 (M6904)
¥17,000 (コンバットマスター マットステンレス)
¥15,000 (コンバットマスター マットブラック)
¥17,800 (スピードマスターフレームシルバー)
¥19,800 (スピードマスターステンレスモデル)
¥11,000 (ショーティ フォーティ ノングレアブルー)
¥12,000 (ショーティ フォーティ ノングレアステンレス)
全長 実測 175mm (M6906)、199mm (スピードマスター)
重量 実測 721g (M6906)、754g (スピードマスター)
バレル長 88mm (M6906)、100mm (スピードマスター)
発射方式 リキッドチャージ式ガス スライド固定
使用弾 6mmBB弾
装弾数 20発
平均初速 78.22m/s (0.2g、25.6℃、HFC134a)

撮影協力:ミリタリーグッズ.com

ミリタリーグッズ.COM

2022/08/11


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