タナカ コルト デティクティブ スペシャル38
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
現在、タナカのディテクティブといえばペガサスの製品を指すが、今回紹介するモデルはその前身となったカート式のガスガンだ。実銃の形式としてはこちらのほうが新しく、バレルの下にエジェクターロッドシュラウド(アンダーラグ)をそなえたニュータイプである。タナカとしてはペガサスとして発売する際、前作とは違うタイプにしたかったのだろうが、結果的に最新モデルの方が先祖帰りをする結果となった。
ちなみにDetectiveは探偵を意味し、実際の発音は"ディテクティブ"に近く、現在のタナカラインアップ上もそうなっているが、当時のタナカの広告ではデティクティブとあり、パッケージにはデテクティブ、マニュアルにはデイテクティブと表記はあいまいだった。
発射方式はライブカート式のガスガンだが、当時のリボルバーはグリップ内にガスタンクを備えていたため、実射性能は10歳以上用のエアコッキングガンにさえ遠くおよばないほどだ。それでも、シリンダーに空いた6つの穴にカートリッジを1発ずつ装填する、というリアルなアクションは、パワーの低さを補ってあまりあるものだった。
タナカが開発したペガサス方式によってリボルバーガスガンの性能は飛躍的に向上し、デティクティブも新型(ややこしいが実銃では旧型)へと進化したわけだが、このタイプのペガサス化を望むガンファンも多いのではないだろうか。
過去、他にこのタイプのデティクティブがモデルアップされたのはLSのプラモデルのみで、エアガンとしてはタナカが唯一の製品だ。外観の再現性が素晴らしいだけに、これでもっと撃って遊べたなら、と思わせるような名作である。
シュラウド付きの第三世代モデルは1973年から1986年の間に生産されたもの。
パイソンよりは小さいが、S&WのJフレームよりはひとまわり大きなコルトのDフレームが忠実に再現されている。いま見てもディテールの素晴らしさには目を見張るものがある。
リボルバーガスガンのセオリー通り、実銃より小さいハンマーノーズ。しかし丸みをおびた先端の形状など、最大限のリアルさを感じる作りだ。
ハンマーの後ろに見える小さなレバーは、当時のASGKで義務付けられていたマニュアルセフティ。なるべく目立たないようデザインされた苦心の跡がうかがえる。
2インチ長のバレル。マズルにはエアガンオリジナルのブッシングが見える。専用サイレンサーも発売された。インナーバレルは真鍮製だ。
独特な形状のグリップがうまく再現されている。オプションで木製グリップも発売されていたが、複雑なラインの再現性はプラ製の方が上だ。
グリップ底部のガス注入口。グリップ内にガスタンクが配置され、バルブから吐出されたガスがサイドプレート内のガスルートを通ってシリンダーに供給される仕組み。
単なる溝のリアサイトだが、へこんだ部分にのみツヤ消し加工がされているなど、かなり凝った作り。
シリンダー内に並んだ6発の38スペシャル。レトロなカートリッジブランド、ピーターズの刻印が入っているところが実にニクい演出だ。
ほぼフルサイズのカートリッジ。プラ製というのが残念だが、弾頭部(硬質ゴム製)を銅色にするという配慮はさすが。オプションで金属製もあった。
パッケージ上箱の写真は実銃。箱を開けた瞬間、決して落胆させないだけの説得力を持った製品だった。以前に紹介したコルト パイソンに続く、タナカのガスリボルバー第二弾となる。
白黒の普通のマニュアルだが、分解図のシリンダーだけが色付けで描かれているのはいったいなぜだろうか。マニュアル.PDF (1.8MB)
DATA
発売年 | 1988年初夏 |
発売時価格 | ¥7,200 (ブラック) ¥7,800 (コルトガード [シルバー] ) ¥8,200 (ブラックメタルフィニッシュ) |
全長 | 実測 178mm |
重量 | 実測 280g |
バレル長 | -mm |
発射方式 | リキッドチャージ式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 6発 |
平均初速 | 32.1m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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