トイテック M203 グレネードランチャー
写真&解説 YAS
解説
キャリコアサルトM-100ガスガンでセンセーショナルなデビューを果たしたトイテック、その第二弾がM203グレネードランチャーだ。当時LSやJACからもM203は発売されていたが、どれも弾は40mmサイズのダミーだったり発泡スチロール製のものだった。
1990年当時、M16が各メーカーから続々と発売され競作となり、M16 WARSなどと呼ばれていた頃。各社M16にアンダーマウントできるM203グレネードランチャーを6mmBB弾のガスフルオートで開発した点はトイテックの巧みな狙いを感じられる。
キャリコ譲りの安定したガスフルオートユニットを内蔵し、500連のヘリカルフィードと、Uターンバレルシステムによる遠心力ホップアップを謳い文句にしていた。まだ、電動ガンが登場する前なので、効果はともかく、メーカー製品としてホップアップ搭載というののは、かなり先進的なモデルだったと言える。
誰しも一度は憧れるグレネードランチャー付きアサルトライフルでの腰だめ撃ちを想像させる、メインのM16とアンダーマウントしたM203からの同時フルオート射撃というインパクトは、当時のサバゲーマーたちを熱狂させた。
ただ、実際の使用では、M16とM203両方にガスを供給せねばならず、ホースの取り回しや同時発射時の圧力低下等の問題を抱えていた。
ただ、このモデルを経て、トイテックの次回作、P.90やバルカンに繋がる大きなステップアップとなったことは間違いないだろう。
COLT社が開発したM203グレネードランチャーは、M16アサルトライフルにアドオンできる40mmグレネードランチャーだ。標準でM16A1~A3に対応する12インチ銃身、M4カービン用に9インチ銃身が作られた。
数々のアクション映画にも登場し、大火力の個人携行火器を強く印象付けたため、80年代から90年代を通じてファンの憧れであり、なんとかサバゲーに投入できないかとユーザーもメーカーも画策していた。
そんな中、トイテックは他社に先駆けて6mmBB弾仕様のフルオートユニットを内蔵したガスガンを開発した。
ABS樹脂製のランチャー本体とハンドガード、バレルに固定するためのフロントホルダーに加え、取り付け調整用のゴムシートやアダプターリング、6mmホースなどが付属した。
可倒式のグレネードサイトはベースもリーフサイトも樹脂製で華奢な作りだ。
40mmリアル口径のマズルだが、蓋がされており、上部にオフセットしてBB弾が発射される穴がある。数センチ奥まったところに内径6.18mmの真鍮製インナーバレルが見える。
本体左側にはモデル名とASGK、トイテック等の刻印がある。トリガーとセーフティレバーは亜鉛ダイキャスト製、トリガーガードはスチールプレス製。セーフティレバーをセーフポジションからさらに押し込むとユニット内のエア抜きができる。
本体右面には発射速度をコントロールできるつまみがある。毎秒5~20発のスピードコントロールが可能となっている。トリガーガード前方には6mmホースのカプラー(日本ピスコ製)がある。当時はメインウエポンも外部ソース式ガスガンが主流だったため、エアタンクからY字コネクターでガスを分岐させ接続するといった煩わしさがあった。
本体側面のスライドロックレバーがBB弾を入れる蓋のオープンレバーとなっている。装弾数は約500発。
バレルのスライド機能はなく、本体はモナカ式構造となっている。上の細い真鍮パイプでガスをユニット後部へ導いている。
BB弾はガス圧作動するヘリカル給弾によって後方のチャンバーへ送られ、Uターンバレルシステムと呼ばれるU字ベースで180度方向転換してバレルから発射される。このときU字ベースを通過する際に遠心力でホップアップが掛かると記載されている。軽い弾だとホップが掛かりすぎると言うことで、0.195gのトイテックBB弾が推奨されている。
VFCのM16A2 GBBに取り付けてみた。装着はできたが、そのままではランチャー本体がグラグラしてしまうのでゴムシートやスペーサーで固定する必要はありそうだ。
取説にはJAC、コクサイ、MMC、MGC製のM16A1/A2への取り付け説明がある。
サンプロジェクト製グリーンガスレギュレーターを接続してみると、シューっとガス漏れの音がする。トリガーを引くとトイテックのガスフルオートシステム独自のタカタカタカっという小気味よい作動音。JACやアサヒのBV式と異なり、弾が無くても作動するのが特徴だ。実射してみると適度なリコイルがあり撃っていて楽しい。スピードコントローラーを動かすとタッタッタッと安定した低回転作動をする。
初速は0.2g弾を使用して最大でも67m/s程度、連射すると50m/s台になることも。命中精度は本体を手持ちで撃ったので正確ではないが、5mで手のA5サイズに集弾する感じだった。
現代の視点で見てもトイテックのフルオートユニットは非常に出来が良いので、現在の安全基準とホップ機構でリメイクしたら、ガスブローバックとは別の需要があるように思う。
パッケージ。
取説には当時発売されていた各メーカーM16への取付方法が詳しく解説されている。
マニュアル.PDF (19MB)
また、他機種への取り付け例の写真が出ているが、これらが当時全てモデルアップされていたわけではない。のちにスタンドアローンストック(グリップ)も発売され、単独使用も可能となった。
DATA
発売年 | 1990年1月 |
発売時価格 | ¥14,800 |
全長 | 実測 390mm |
重量 | 実測 850g (本体+ハンドガード+フロントホルダー) |
バレル長 | -mm |
発射方式 | 外部ソース式ガス |
使用弾 | 6mmBB弾 |
装弾数 | 約500発 |
初速 | 最大67m/s (0.2g、0.5MPa) |
撮影協力:ミリタリーグッズ.com
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