マルゼン S.W, 44マグナム ハードヒットガン

マルゼン ベレッタ M93R フルオート

写真&解説 YAS

解説

ベレッタ M93Rといえば、1985年にMGCが発売した世界初のセミオートガスハンドガンがとくに有名だ。フロンガスをパワーソースとしたガスガンは瞬く間に人気となり、各社から多種多様なモデルやシステムが発売された。

MGCのM93Rはシリーズ累計50万丁出荷という金字塔を打ち立てたが、このビッグウェーブに乗らない手はないとばかりに各社からもM93Rがモデルアップされる。サンエイやマルコシからはセミオートガスガンが発売されたが、マルゼン製はフルオートとセミオートのセレクティブファイアという点が最大の特徴だ。

さらにパワーソースであるガスの供給はマガジンにリキッドチャージする20連マガジンと、グリップ下に外部ソースを接続して撃てる60連マガジンの2種が付属する意欲的な製品だ。

外観も美しく仕上がっており、作動性も高く、コスパの良い製品だったが、時はガスフルオートのハイパワー時代、そしてその後に続く電動ガン全盛期の狭間において、マシンピストルというスタイルがいまひとつ埋もれがちな名作だったように感じる。


外観はエッジが立っていて、MGC製にも負けず劣らずという出来栄え。微妙に各部寸法がMGC製とは異なっているが、アウターバレルが亜鉛ダイキャスト製と言うこともあり、前方に重量バランスがあってリアルだ。


3点バーストこそないが、セミ、フルオート切り替え式のガスハンドガンはメインウエポンに使用するサバゲーマーもいた。別売オプションでサイレンサーやフォールディングストックも発売された。


マズルからアウターバレルまではなんと亜鉛ダイキャスト製。インナーバレルは真鍮製。まだWA訴訟前の製品なのでスライドにはピエトロ・ベレッタの刻印が入っている。フロントサイトにはホワイトドットは入っていない。


リアサイトは固定式。スライドやハンマーも固定されている。スライドのロッキングラグ部分はスラントカットではなく水平。トリガーバーはトリガーに連動して動く。


折り畳み式のフォアグリップはスチールプレス製。基部もダイキャスト製でしっかりしている。
トリガーはバルブを開放させるためだけの作動なのでストロークが短くトリガープルも450gと軽い。


セーフティレバーとセレクターは別々に可動する。刻印は3バーストとなっているが、実際にはセミ/フル切り替え式だ。テイクダウンレバー、スライドストップは固定されている。マガジンキャッチボタンはライブ。グリップはウッド調の樹脂製でスムースタイプ。


マガジンは2本付属し、ひとつはリキッドチャージ式20連マガジン、もう一つは外部ソース式60連マガジンで残弾が確認できるシースルータイプとなっている。


ガスの供給は2WAYとなっている。ひとつはグリップ底部のカプラーへパワーブースターのホースを繋ぐ外部ソース式。もう一つはリキッドチャージマガジン式で、マガジン上部にバルブがあり、マガジンを差し込むと本体内部のバルブとジョイントされてガスが供給される。

グリップにはマルゼン製M93R専用設計のフォールディングストックを取り付けることができる。カプラーがジョイント穴を貫通しているので他社製ストックは互換性がない。


付属のパワーブースター。射撃による圧力低下を防ぎ、生ガスを噴かないように、フロンガスを空缶の中で気化させる仕組みで、当時のガスフルオートではベーシックな方法だった。ガス缶口にもバルブがあり、ブースター内のガスが吹き出ない仕組みになっている。
また、1990年12月のほぼ同時発売されたCO2を使用するグリーンガスシステムも接続できた。


まずはパワーブースターを接続して撃ってみた。対応するガス缶はノズルにネジ切りがないと取り付けられない。手元にあるHFC134aガス缶だと唯一ウッドランドガスが対応していたのでこれを使用する。

実射は30年以上前のガスガンとは思えないほどに快調!!
やや長めのロッキングタイムではあるが、セミオートは確実に1発発射、ガスカットされる。フルオートも実に快調で1030rpmという安定した回転数で60発を撃ち切れた。撃ち切るとガスがブシューっと流れっぱなしになるのは当時のフルオートガスガンの特徴。ホップアップはもちろん付いていないが、これならアタッカー用のプライマリウエポンとして十分に戦えそう。

弾道はやや山なりながら5m先のA4ターゲットペーパーに全弾命中。セミオートなら10cm以下に、フルオートでも手のひら大には収まる集弾性だ。

平均初速は63m/sで当時のフルオートガスガンと対峙するにはちょっと心もとないが、この完成度の高さは素晴らしいものがある。

リキッドチャージ式マガジンでも撃ってみたが、後半弾速は下がってくるものの、20発ならフルオートでも撃ち切れた。


渋い色のパッケージ。60連と20連の2WAYパワーソースであることが記載されている。


パワーブースターと気化用の空缶がセットになったフルセット。付属の取説とBB弾は紛失している。

DATA


発売年 1990年12月23日 (フルセット)
発売時価格 ¥13,800 (フルセット)
¥9,800 (ベーシックタイプ)
全長 実測 250mm
重量 実測 675g / 618g (60連マガジン装着時)
バレル長 -mm
発射方式 リキッドチャージガス / 外部ソースガス 2WAY
使用弾 6mmBB弾
装弾数 20/60発
平均初速 63.6m/s (0.41J、0.20g、23.9度)
1031rpm = 17.2発/秒

撮影協力:ミリタリーグッズ.com

ミリタリーグッズ.COM

2023/10/17


■関連リンク

ビンテージ エアガン レビュー TOP ビンテージ エアガン レビュー TOP

トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 - トイガン史 1963 ~ 1993 - あるガンマニアの追憶 -

モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史 モデルガン&エアガンとトイガン業界の歴史

考察 ブローバック・ガスガン 考察 ブローバック・ガスガン