MGC グロック19 グロックサイドラーカスタム

MGC グロック19 / グロック17 サイドラーカスタム

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

このコーナーではこれまで何度となく触れてきたが、MGCはモデルガン時代から本当にバリエーション展開がうまいメーカーだった。グロック17が大ヒットしたと同時に、おそらくもう次の一手を考えていたはずだ。

コルトガバメントに対してコマンダーがあるように、フルサイズのオートマチックピストルが売れれば短いコンパクトモデルにも人気が出る。グロックの場合19がそれにあたるわけだが、意外なことに最初のバリエーションとして発売されたのは19ではなく、サイドラーカスタムだった。

コンパクトモデルを作るには新規に金型を起こさなければならず、MGCとしてはコストをおさえつつ外観の違う製品を作るため、まずはコンペンセイター搭載のカスタムモデルが向いていると考えたのだろう。

当時のガンファンは、ウィルソンやクラークなどアメリカのカスタムメーカーには慣れていた。だが「サイドラー」というオーストリアのカスタムメーカーを知る者はほとんどいなかったため、ヨーロッパカスタム特有の雰囲気にかなり新鮮な印象を受けたものだ。

そもそも当時はグロック自体が国内では未知の銃だったし、ガンファンに知られていないモデルを発掘して、いち早く製品化するのもMGCの得意技だった。

グロックのバリエーションは次にキャスピアンカスタムが投入され、さらにその次、4作目にグロック19が発売された。満を持しての登場に大ヒット間違いなしだったが、単にコンパクト化するだけではなく、改良をおこたらないのがMGCのすごいところだ。

グロック17ではスライドの表面処理がいまひとつリアルではなかったが、19ではHW素材が採用され、実銃のパーカーライジングが実にうまく再現されていた。

また、HWスライドによる反動の強さも大きなセールスポイントだった。現在主流のプレシュートブローバックガスガンとは違い、MGCアフターシュートのスライドはガワだけで空っぽだったため、反動がさほど強くはなかった。19ではスライドがHW化されたことで少し重くなり、撃ち味にパンチが増したのだ。

今も昔も、コンシールドキャリー可能な拳銃というのはガンファンをワクワクさせるものだ。コンペティションカスタムからコンパクトモデルまで、幅広いバリエーション展開を繰り広げたMGCの功績は大きい。

サイドラー サイドビュー左
サイドラー サイドビュー右
大ヒット作グロック17のシリーズ第二弾は、意外にもサイドラーカスタムというコンペティションガンだった。1911系カスタムで培われたMGCのノウハウが存分に生かされている。

19 サイドビュー左
19 サイドビュー右
実銃のグロックはフレームがプラスチック製(シンセティックマテリアル)でスライドは鉄製。エアガンでは当然両方ともプラ製だが、19ではスライドをHW製とすることで素材感の違いが見事に再現されている。

コンペンセイター
サイドラーカスタムのコンペンセイター。繊細なデザインのガスポートがうまく再現されている。

マズル
17では若干出っぱり過ぎではといわれていたマズル部分も、19では改善された。

リアサイト
サイドラーのリアサイトはウイチタタイプのフルアジャスタブル。

グリップ
グリップ 滑り止め加工
サイドラーはグリップ周辺に滑り止め加工がほどこされている。金型による成型ではなく後加工のようだ。

スライド内部
スライド内部はこの通り空っぽ。17ではABS製だったため、どうしても撃ち味が軽かった。

アフターシュートブローバック1
アフターシュートブローバック2
MGCのアフターシュートブローバックはフレーム側に設置されたシリンダーからピストンが突き出し、スライドを後ろに蹴りだす仕組み。

マガジン
左が17、右は19のマガジン。長さだけではなく、ボトムベースからの角度も違っている。

パッケージ
サイドラーカスタムにも専用のパッケージが用意された。

DATA


発売年 1991年8月上旬 (グロック17)
1991年11月下旬 (サイドラーカスタム)
1992年3月上旬 (キャスピアン)
1992年4月中旬 (グロック19)
1992年8月末 (グロック23)
1992年10月中旬 (グロック17L)
1993年1月 (グロック22)
1993年4月中旬 (タグバスター)
1993年秋 (キャスピアン ストレートフレイム)
1993年冬 (グロック18)
1994年初頭 (レースコンプ/ヘヴィーコンプ)
1994年夏 (フルオート)
発売時価格 ¥13,800 (グロック17)
¥17,500 (サイドラーカスタム)
¥14,000 (キャスピアン)
¥14,500 (グロック19)
¥12,000 (グロック23)
¥15,500 (グロック17L)
¥14,800 (グロック22)
¥19,000 (タグバスター)
¥15,000 (キャスピアン ストレートフレイム)
¥16,500 (グロック18)
¥19,500 (ヘヴィーコンプ)
¥31,000 (レースコンプ)
¥9,900 (フルオート)
全長 実測 236mm (サイドラーカスタム)
実測 178mm (グロック19)
重量 実測 625g (サイドラーカスタム)
実測 510g (グロック19)
バレル長 -mm
発射方式 リキッドチャージ式ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 15発+1
平均初速 62.5m/s (サイドラーカスタム)
58.7m/s (グロック19)

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2021/07/25


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