エルエス AKM

エルエス AKM ガスライフル

写真&解説 小堀ダイスケ

解説

エルエス系のAKはこれで2回目となる。前回はアリイのエアコッキングガン AK-74を紹介したが、今回紹介するAKMはセミ・フル切り替え式ガスガン。製造は本家本元のエルエスだ。

エルエスとアリイの関係については、AK-74のページをご参照いただきたい。他にもイマイやMMCなど、エルエスの血統を受け継いだメーカーは他にもあったが、現在は韓国のトイスターがその流れを引き継いでいるようだ。

これまでも何度か触れた通り、エルエスはもともとプラモデルのメーカーだった。1/1スケールでリアルに再現された銃のスケールモデルには定評があり、コンバットセットと呼ばれる組み立てキットのナイフや手榴弾シリーズは当時のサバゲーファンならご存じだろう。

LSのガスライフルシリーズは1987年にAK-74が発売され、その後ステンマークⅡ、M16A1と続き、このAKMがその第4弾となる。ガスガンが発売される直前にエアーコッキングガンも発売されており、エアーとガスの同時製作は当時エルエスの常套手段だった。

ガスガンとしての発射機構は独自の内圧ガス式となっている。コンパクトなユニットなので、エアコッキングガンとは違い、スケールモデルをエアガン化する際、設計にはほとんど支障がなかったと思われる。

素材はプラモデルのスチロール樹脂から、より強度の高いABS樹脂に変更されている。だが全体的な強度は低く、ちょっと本気で構えるだけで今にも壊れそうなほどだ。サバゲ―でのハードな使用に耐えられるとは思えず、事実、バレルやストックの根元からぽっきり折れるというトラブルが続出。17,800円という少々強気な価格設定と考え合わせると、残念ながらヒットする要素は感じられない。

とはいえ、当時のエアガン業界はM16戦争のまたっだ中であり、AK系の製品に対する渇望感は強かった。こんな物でも、といったら本当に申し訳ないのだが、ある程度不完全な製品であっても、そこそこの数が売れた時代だったのだ。

それが逆に、業界に百花繚乱玉石混交の様相をもたらした原因でもあったわけで、すべてにおいて優等生ばかりという現在の状況を思うと、はたしてどちらの方が趣味としてよりワクワクするのだろうか、などと考えさせられたりするのである。

サイドビュー右
サイドビュー左
なだらかなカーブを描くガスシリンダー先端や、斜めにカットされたマズルまわりなど、AK74とはあきらかに違うシルエットがよく再現されている。スケールモデルをルーツにしていることを考えると、それも納得だ。

タンジェントサイト
上下方向の調整が可能なタンジェントサイト。以前紹介したアリイのAK-74とくらべてみると面白い。

レシーバーカバー
レシーバーカバー上の補強リブの再現など、ルーツとなったプラモデル譲りのリアルさ。プラモデルと違うのは取り外せないといことだ。

ボルト
本エアガンはガスガンなのでボルトは一体成型のダミー。BV式の発射ユニットを仕込むだけで設計には制限が少なかったと思われる。

セレクターレバー
セレクターレバーは下から、セミオート、フルオート、セフティが再現される。

グリップ
グリップ下部にガス接続用のコネクターがある。生ガス缶と空缶を連結させたブースターで確実に作動したそうだ。

バットプレート
イマイのAK-74では金属製だったが、AKMのバットプレートはプラ製。

マガジン
マガジンは鉄板プレスを再現したプラ製。広いスペースがあるため、BB弾のリザーブタンクとして使える。

パッケージ
白黒でシックなデザインのパッケージ。ガスライフル、とわざわざ明記してあるのは同時期に発売されたエアコッキングガンと区別するためだろう。本来であればブースターも付属する。

DATA


発売年 1989年夏
発売時価格 ¥17,800
全長 実測 875mm
重量 実測 1,567g
バレル長 -mm
発射方式 ガス
使用弾 6mmBB弾
装弾数 24発
平均初速 -m/s

撮影協力:サタデーナイトスペシャル

2021/10/10


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