フジミ モーゼル M712
写真&解説 小堀ダイスケ
解説
フジミは模型メーカーで、プラモデルファンの間では昔から有名な老舗だ。そのフジミが初めて製品化したエアガンがこのモーゼルM712だった。業界初参入の製品とは思えないほどにこだわり抜いた仕上がりで、当時のガンファンたちは思わぬダークホースの出現に驚いたものだ。
発射機構は外部ソースかリキッドチャージのBV式だが、バレル固定式で、セミフル切り替えというかなり豪華な仕様だった。さらに、作動時、ボルトが約15mmほど後退するというギミックまでついており、ブローバックの雰囲気まで味わうことができた。
外観はさすが模型メーカーの面目躍如といったところで、マルシンのモデルガンと比較してもほとんどひけをとらないほどリアルな仕上がりだ。レシーバーの平面はあくまでも平滑で、アウターバレルの直線やテーパーのかかり具合など、いま見ても見事である。
実射性能の方は、固定バレルのおかげで命中精度こそ悪くはなかったものの、やはりパワー不足はいなめなかったようだ。軽快なマシンピストルの登場に色めきたったアタッカーたちもいたようだが、いかんせん、当時の主流だったBV式フルオートアサルトライフルには敵うはずがなかった。
1980年代はとにかくサバゲーで使えなければどんなに良い銃でも売れなかった時代だ。こうした名銃が短命で終わってしまったのは本当に残念である。フジミはこの後L85の開発も行っていたようだが、結局は本作のみでエアソフトガン製造から撤退してしまう。
なお、もともと初速の低い製品ではあるが、BV式ということでこの個体では念のため発射ユニットを取り外してある。

モーゼル C96、M712、ミリタリーモデルのトイガンはMGC、ハドソン、マルシン、東京マルイからモデルガンが、マルコシ、マルシン、WE、AWなどからエアガンがモデルアップされた人気のモデルだ。

模型メーカーの面目躍如ともいえる、実にリアルなフルサイズの外観。MAUSERの刻印も打たれている。

フレーム右側の刻印。

スラリとしたアウターバレルにはゆがみなどなく、成形技術の高さを物語ってる。インナーバレルは真鍮製。

レシーバー側面、ヘコミ部分のミーリング跡は金型で入れられているはずだが、切削加工のようでリアル。セレクターのボタンはダミーで、押さずにそのまま動いて切り替える。

上下調整の可能なタンジェントサイト、作動時に約15mmほど前後動くボルトなど、当時のエアガンファンをワクワクさせるギミックが満載されていた。


実銃ではホウキの柄~ブルームハンドルと呼ばれる丸い形状のグリップ。ガスは底部からリキッドチャージするか、外部ソースを接続する。

マガジンはプラスチック製だが、ボトム部(金属製)の刻印はしっかりとしている。BB弾フォロアーはなく、スプリングが直接押し出す仕組み。

マルシン製モデルガン用のストックがそのまま使用可能。やはりロングマガジンと併用するのがもっともM712らしい。

ダンボール製のシンプルなパッケージ。外部ソース用のブースターと空ボンベがセットされている。その後、本体のみが9800円で発売、1年後には改良型やシルバーモデルも発売された。

この頃のエアガンのマニュアルには、たいていこうした80年代テイストのイラストが描かれていたものだ。
マニュアル.PDF (800KB)
DATA
| 発売年 | 1988年12月下旬 |
| 発売時価格 | ¥12,800 (フルセット) ¥9,800 (本体のみ) ¥14,800 (メタル・フィニッシュ) |
| 全長 | 実測 295mm |
| 重量 | 実測 745g |
| バレル長 | -mm |
| 発射方式 | ガス |
| 使用弾 | 6mmBB弾 |
| 装弾数 | 17発(ショートマガジン)36発(ロングマガジン) |
| 平均初速 | -m/s |
撮影協力:サタデーナイトスペシャル
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