妄想兵器研究所 陸上自衛隊 装甲機動車 〈テラクルーザー〉
創作兵器や架空装備をミリタリーマニアの視点で解説する『妄想兵器研究所』へようこそ。ここでは、陸上自衛隊が2035年に採用するかもしれない新型4輪装甲車『装甲機動車〈テラクルーザー〉』を紹介する。
テラクルーザーは、日本の地理特性に最適化された軽量・コンパクトな車体に、インテリジェント・ハイブリッド駆動とAI技術を融合した次世代のインテリジェント・フットである。従来の軽装甲機動車(LAV)と高機動車の後継という枠を超え、島嶼防衛やゲリラ対処、災害派遣といった多様な任務に柔軟に対応する、未来の戦術プラットフォームの姿をここに提示する。
妄想提供:ハイパー道楽
開発の背景と喫緊の課題
2025年現在、陸上自衛隊は老朽化が進むLAV(軽装甲機動車)および高機動車の後継車両選定という喫緊の課題に直面している。これらの車両は導入からすでに技術的・構造的な限界に達していることは否めない。
しかし、装輪車両に関する長期計画は未だ策定されず、予算配分や具体的な運用要求も不明確なため、後継モデルの選定と導入は大幅に遅れている。さらに、LAVの製造を担っていたメーカーが防衛事業から撤退したことも、国内での後継車開発の見通しを不透明にしている。
現在後継候補として検討されているスイス製の「イーグルV」やオーストラリア製の「ハウケイ」といった海外製装甲車両は、大型かつ重量級の設計であり、日本の地理的特性、特に島嶼部の狭隘な地形や脆弱な橋梁・道路環境には適さないという意見が根強い。加えて、一輌あたり数億円に及ぶ調達コストは、数百~千輌単位での配備が求められる用途には現実的ではないとの見方がある。
こうした状況を踏まえ、島嶼防衛や災害派遣といった国内任務に特化した、軽量・コンパクトで高い機動性を持つ国産の装輪装甲車の開発が強く求められる。本計画は、高機動車プラットフォームを基盤とし、将来の分散型戦闘やC-2輸送機による迅速な戦略展開に対応できる「新・軽装甲高機動車」の導入を提案する。
テラクルーザーの核心技術
装甲機動車〈テラクルーザー〉は、陸自の高機動車系列を継ぐ設計思想を基盤に、次世代ハイブリッド駆動、AI統合制御、戦術ネットワーク機能を一体化した多目的モビリティ・プラットフォームである。高い走破性と情報処理力を両立し、島嶼防衛・偵察・指揮支援など、多様な任務に柔軟に適応する。

インテリジェント・レンジエクステンダーハイブリッド
動力は全固体電池と前後独立モーター、そして高効率ロータリーターボ発電機によるハイブリッド構成。モーター直駆による瞬発力と静粛性、発電機による長大な行動持続性を両立する。電動モードでは赤外線・音響シグネチャを大幅に抑え、夜間潜入や監視任務にも最適。AIによるトルクベクタリングとエネルギーマネジメントが、地形や任務に応じて駆動・発電を自律制御する。
全地形・全空域対応モビリティ
テラクルーザーはC-2輸送機およびCH-47チヌークでの空輸を前提に設計されている。全長4.9m、全幅2.15m、全高は電子制御エアサスペンションで最大2.1mから最小1.9mまで調整可能で、機内搭載や吊り下げ輸送、舟艇上での運用にも対応。不整地走行と高速道路移動を両立する多領域機動車である。

AI統合戦闘支援システム
AI統合制御システム〈テラクル・インテリジェンス〉が、駆動系・センサー・通信・火器を統合管理。遠隔操作火器システム(RWS)の運用支援に加え、レベル3+相当の自動運転支援を搭載し、後方輸送や非戦闘地域での無人走行を実現する。車両単体としてだけでなく、無人偵察車〈ニンジャ〉やUAVとの連携ノードとして、戦術ネットワークの中核を担う。
高精度ナビゲーションと地形認識
RTK-GNSSとMEMS-IMUを組み合わせた統合航法ユニットにより、cm級の測位精度を実現。AIが地形データとリアルタイム映像を解析し、最適経路を提示するとともに、地雷・IED・伏兵の可能性を予測支援する。これにより、従来の軽装甲車を超えた“自律的判断力を持つ車両”としての戦術価値を発揮する。
電子防御とドローン対抗能力
車載AIが制御するソフトキル型電子妨害システムを装備し、ドローンやGPS誘導兵器への妨害・欺瞞を行う。電磁パルス(EMP)対策済み制御系と相まって、電子戦環境下でも任務継続が可能だ。
モジュール構造による任務対応力
センサー、通信機器、支援装備をミッションに応じて迅速に換装できるモジュール構造を採用。偵察型、通信中継型、指揮支援型などへの即時転換を可能とし、分散戦闘時代の「移動型戦術ノード」として部隊ネットワークの要を担う。

多任務対応型戦術プラットフォーム
テラクルーザーは、多様な任務に柔軟に対応する「多任務対応型戦術プラットフォーム」として設計された。その核は、汎用性を高める車体設計と高度な電子装備のバランスにある。搭載AIは任務モジュールを自動認識し、最適な運用モードへ移行、即応性と運用効率を高める。多目的プラットフォーム化は、装備の共通化による長期的なライフサイクルコスト低減にも貢献する。

想定される後継任務とモジュール例
| 任務種別 | 想定される装備・後継対象 |
|---|---|
| 火力支援 | 中距離多目的誘導弾(中多)後継型、迫撃砲搭載型、攻撃ドローン発射型 |
| 近接防空 | 対空ミサイル発射型(93式近SAM後継)、高出力指向性エネルギー兵器型(DEW) |
| 電子戦・情報戦 | 電波妨害(ジャマー)装置、電波探知・方向探知モジュール、サイバーリンク中継装置 |
| 偵察・警戒 | 高性能センサー+マスト搭載型、UAV母機仕様、ステルス偵察仕様(「ニンジャ」と連携) |
| 無人戦闘車両母機 | UGV/UAVの遠隔制御・母艦的役割を担う制御車両 |
| 無人運用型 | 自律警備モード、無人索敵火力支援、後方警戒タスク |
| 非致死兵器 | 指向性音響兵器(LRAD次世代型、PKO/治安維持用) 多連装スマート発煙弾・ドローン発射器(8発、AI制御) |
【技術詳細】テラクルーザー 主要スペック
テラクルーザーの詳細な技術仕様は以下の通りである。
車体寸法
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 全長 | 4.9 m |
| 全幅 | 2.15 m(日本の道路交通法に適合、高機動車と同等) |
| 全高 | 2.1m (RWS無し) / 2.6 m(RWS含む) 輸送時に1.9mまで車高下げ可能 |
| 地上高 | 可変式 250〜450mm(電子制御エアサスペンション) |
| ホイールベース | 約3.0m |
| 最小旋回半径 | 約5.7m |
| 重量 | 非武装型(レベル1+複合材装甲):3.9トン(空車) フル装備型(レベル2+複合材装甲、武装オプション1):5.1トン |
乗員・積載
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 乗員・兵員 | 2名(運転手1名+車長/通信手1名)+兵員4名(最大6名) |
| 最大積載量 | 800 kg |
動力・機動システム
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 動力駆動方式 | インテリジェント・レンジエクステンダーハイブリッド(全固体電池+前後モーター独立駆動+二段圧縮ロータリーターボ発電機) |
| モーター | 高出力・高効率 永久磁石同期型モーター(PMSM)×2基 出力:200kW(約268馬力)/最大トルク:750Nm(前後合計) 重量:約 60 kg×2 基 (120 kg)、液冷式高効率冷却システム搭載 |
| 発電機 | 0.8L 二段圧縮ロータリーターボ発電機 ×1基 出力:120kW(約163馬力)/最大トルク:180Nm 重量:約100kg/燃料容量:50L(JP-8対応) EMP防護・サイバー攻撃対策済み制御系搭載 |
| バッテリー | 全固体リチウムイオン、30kWh、250Wh/kg、130kg、有線充電標準(ワイヤレス充電オプション) |
| フレーム | マルチマテリアル・セミモノコック構造(V字型底板統合、爆風耐性強化) |
| サスペンション | 電子制御エアサスペンション(ECAS)搭載、全地形適応型 |
| タイヤ | 315/80R18 ランフラット |
| 乗降機構 | 4ドア構成(前席/後席:独立ドア)+ リアドア |
| 航続距離 | 最大600km(ハイブリッドモード) EV走行距離120km(電費:4km/kWh) |
| 回生機能 | 高効率回生ブレーキ(運動エネルギー回生システム) |
| 補助電源 | フレキシブルソーラーセル(最大出力30W、車体表面一体型) |
| エネルギー制御 | AI統合エネルギーマネジメントシステム「テラクル・インテリジェンス」、予測制御によるエネルギー効率12%向上 |
| 耐性・性能 | EMP/サイバー攻撃防御、静音走行(EV時42dB以下) |
| 総駆動系重量 | 約280kg(エンジン/発電機+モーター+電池+制御・補助電源含む) |
| 最大速度 | 120 km/h(舗装路)、60 km/h(不整地) |
| 走行性能 | e-AWD(前後独立駆動、ドライブシャフトレス構造、4WS)、電子制御デフロック、超高精度トルクベクタリング、統合型熱管理システム |
| 登坂能力 | 登坂能力:35°(70%勾配)、側傾斜24°、アプローチ角約40°、デパーチャー角約35° |
| 空輸対応 | C-2輸送機:3輌、CH-47ヘリ:1輌+吊下1輌 |
防護力
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 標準装甲 | STANAG 4569レベル1相当 次世代複合材(セラミック+カーボンナノチューブ) |
| 耐爆性 | STANAG 4569レベル2a相当 6kg TNT級対人地雷対応(強化V字型底板、衝撃吸収構造、爆風緩和システム) |
| 強化窓 | フロントウインドウ:STANAG 4569 レベル2相当 AlON(アルミニウムオキシナイトライド)多層ラミネート + CNT強化層 + 内側ポリカーボネート サイドウインドウ:STANAG 4569 レベル1相当 スピネル(MgAl₂O₄)多層ラミネート + CNT強化層 + 内側ポリカーボネート |
| 追加装甲(Bキット) | STANAG 4569レベル2相当 次世代複合材(セラミック+カーボンナノチューブ) |
武装
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| オプション1 | 7.62mmチェーンガンMk52-AIS、AI照準・安定化RWS、重量:124kg(本体+ターレット)、有効射程:900m、発射速度:1~600発/分(AI制御可変) 弾薬:500発(7.62mm x 51タングステン芯徹甲弾、10mm鋼板貫通@300m) バレル:22インチ、AI予測射撃支援、サプレッサー装着可能 |
| オプション2 | 12.7mm重機関銃M2、AI照準・安定化RWS、重量:198 kg(本体+ターレット)、有効射程:2km、発射速度:500発/分 弾薬:200発(12.7mm x 99 AP弾、18mm鋼板貫通@500m) |
| オプション3 | 28式軽対戦車誘導弾(2発)、AI誘導・ロックオン 全長:1.6m、重量:16kg/発、直径:150mm、射程:10km、速力:マッハ1.2 貫通力:800~1000mm RHA、タンデム構成(HEAT+HE-FRAG) 誘導:AI支援マルチセンサーフュージョン(慣性+IR+レーザー)、トップアタック/ダイレクトアタック ランチャー:軽量複合材製、重量25kg オプション価格:1600万円 (2発+ランチャーモジュール) |
AI・センサー・C4Iシステム
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| C4Iシステム | 統合型コックピットディスプレイ、次世代ミリタリークラウド連携、AI戦術支援 |
| 通信 | セキュア5G-ミリ波帯通信端末、耐ジャミング・低遅延ネットワーク |
| 通信中継機能 | 高帯域衛星通信モジュール(帯域幅10Gbps、遅延10ms)、自律ネットワーク形成 |
| センサー | ・統合航法センサー(RTK-GNSS+MEMS-IMU) ・高解像度マルチスペクトルカメラ(4K、360°パノラマ) |
| 自動運転 | レベル3+(舗装路自律移動、戦場では人間介入が必要) |
| 電子戦 | AI駆動型適応型ジャミングシステム(UHF/VHF/L/S帯域、広帯域周波数ホッピング)、指向性サイバー攻撃防御システム |
| 簡易電波妨害装置 | AI制御対UAVアクティブ防御システム(出力50W、半径1km、GPS/GLONASS/Galileo妨害、ソフトキル式) |
| AI支援 | リアルタイム地形解析、動的経路最適化、マルチモーダル目標認識・追跡(300TOPS)、脅威予測・アラート |
| 制御 | 完全電子制御、冗長化フェイルセーフシステム、AIによる操縦支援 |
| 電力 | 700W(全センサー+AIシステム) |
搭載可能無人機・無人車両管制
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| UAV・UGV管制 | AI統合制御システム(最大1機・1輌の自律型UAV/UGV連携) |
| 無人機 | 自律型小型偵察UAV:1機(航続40分、重量3kg、AI自律飛行・画像解析) |
| 無人車両 | 小型多目的UGV:1輌(重量15kg、航続1.5時間、遠隔操作/自律行動) |
隠蔽性
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| IRシグネチャ低減 | 排気系: - 冷却混合排気:エンジン排気を周囲の空気と混合・冷却、AI最適化。 - 断熱排気管:高性能断熱材で熱放射を低減。 車体: - 熱迷彩:固定パターンコーティングでIRセンサー探知を抑制。 - 低熱伝導素材:内部の熱を外部に伝わりにくくする設計。 - 能動的温度制御:ペルチェ素子(オプション、重量30kg、電力300W)。 その他: - 静音・低振動:EV走行で35dB、アクティブ振動制御。 |
コスト・調達計画
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 基本単価 | 約6300万円(非武装型) |
| 調達計画 | 2000輌(総額1260億円、2035年以降に順次配備) |
陸自装輪戦闘システムの新たな世代分担

テラクルーザーは、16式機動戦闘車や24式装輪装甲戦闘車といった大型火力車両とは異なる、戦術機動と柔軟運用を重視した中間カテゴリーに位置づけられる。島嶼防衛や市街地防護といった複雑な環境で、迅速な展開・再配置を可能にする「戦術ノード」としての役割を担う。
16式や24式が火力と防御力を主眼に「制圧・殲滅」を担当するのに対し、テラクルーザーは「索敵・機動・支援」に重点を置く。高度な通信・観測装備を備えた分隊指揮車として、前線部隊のセンサー中枢となり、有人・無人混成部隊の即応力を最大化する。
また、37式無人偵察警戒車〈ニンジャ〉とは補完関係にあり、テラクルーザーはニンジャ群の統制・データリンク・電力補給を担う有人プラットフォームとして機能する。ニンジャが先行して索敵・電子戦を実施し、テラクルーザーがその情報を統合・分析して戦術判断を下す構成だ。
この「有人コア+無人エッジ」構想により、島嶼防衛戦では従来の装輪戦闘車ではカバーしきれなかった高密度な情報戦・電磁戦環境に対応。テラクルーザーは新時代の戦術ネットワークの中核として、陸上自衛隊の機動防衛力を次の段階へと押し上げる存在となっている。
未来を推進するインテリジェント・モビリティ


静かに、そして確実に前進するテラクルーザーは、AIを駆使し、あらゆる状況下で最適な機動力を発揮する。高度なセンサーとネットワーク能力は、目に見えない脅威を早期に察知し、迅速な情報共有と連携戦闘を可能にする。
偵察、輸送、そして機動展開の中核として、テラクルーザーは多様な任務に対応する。AIによる自動運転・遠隔操作機能は、危険な環境下での隊員の安全を確保し、より効率的な作戦遂行を支援する。
険しい地形、複雑な都市部、そして予測不能な災害現場。いかなる状況においても、「人」と「情報」を繋ぎ、部隊の能力を最大限に引き出す。
テラクルーザー――それは、日本の防衛の未来を、知性と機動力で力強く推進する、新たな「インテリジェント・フット」となる。
注意: 本コンテンツは「ハイパー道楽」による完全な妄想(フィクション)です。防衛省・自衛隊、その他登場団体に関する機密や事実とは一切関係ありません。あくまでミリタリーマニアの中二病的妄想としてお楽しみください。
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