『赤い翼 空自アグレッサー─飛行教導隊 強さの秘密─』

赤い翼

『赤い翼 空自アグレッサー─飛行教導隊 強さの秘密─』

小峯隆生著/柿谷哲也撮影
四六判344ページ+口絵8ページ/定価1800円+税
並木書房

強くなければ、教えられない──1981年、戦闘機パイロットの技量向上を目的に設立された飛行教導隊(現・飛行教導群)。自らを「アグレッサー(侵略者)」と呼び、全国の戦闘機部隊・警戒管制部隊を相手に「敵役」を演じる。傑出した技量を持つパイロットだけが所属できる日本最強の戦闘機部隊だが、その歴史は苦難の連続だった。T‐2「戦闘機」の相次ぐ墜落事故、F‐15への機種転換……数々の試練を乗り越えてきた空自アグレッサー40年余の歩みと将来を当事者らの証言で明かす!

はじめに(一部)

前著『青の翼 ブルーインパルス』(2022年)のコンセプトは、「日本の空は空自が守り、日本人の心はブルーインパルスが守る」だった。「日本人の心」はブルーインパルスが守るとわかったが、「日本の空」を守るには空自が強くなければならない。では、その強さはどこから生まれるのだろう。
元教導隊長の山田真史空将の言葉が脳裏によみがえった。
「私らは、裏のブルーインパルスなんですよ」
確かにブルーインパルスはその技量を観衆に披露することで次代の空自パイロットを勧誘する。飛行教導隊(現・飛行教導群)は全国の戦闘飛行隊を巡回して、空戦テクニックを教え、強化する。まさに仮想敵機部隊である「アグレッサー部隊」が、空自の戦闘機パイロットたちを育てているのだ。
残念ながら、アグレッサー部隊が実際に教導する様子を見ることはむずかしい。基地の柵越しから離着陸する戦闘機を見ることができても、教導隊のブリーフィングや列線の様子などは取材できないだろうとあきらめていた。
2023年1月24日、インド空軍のSu‐30戦闘機が茨城県の百里基地に飛来し、同基地所属の第3飛行隊のF‐2戦闘機と共同訓練が始まるという。しかも、そこに4機の教導隊機も参加する……。
教導隊を列線で取材できるチャンスが筆者にめぐってきた。これまでの「翼シリーズ」でつねに取材を一緒にしてきたカメラマンの柿谷哲也氏とともに百里基地に向かった。(中略)
筆者が、飛行教導隊の創設から現在の飛行教導群までを一冊の本にすると伝えると、本村教導隊長の顔が引き締まった。
「今年の夏頃、部隊に取材に行く予定で、いま調整中です」
これまで誰も書いたことのない飛行教導群「アグレッサー部隊」の全歴史を明らかにしようと思う。これまで四冊の「翼シリーズ」を世に出したが、五冊目となる本書はまさに空自の本丸に乗り込むことに等しい。
ここからアグレッサー部隊の歴史をたどる旅が始まる。(小峯隆生

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目 次

はじめに
第1部 栄光の教導隊
第1章 教導隊の基礎を作った男──増田直之
第2章 T‐2 AGRのエース──酒井一秀
第3章 AGRを知り尽くした男──神内裕明
第4章 大事なことはすべてAGRで学んだ──山田真史
第5章 AGRに捧げたパイロット人生──揖斐兼久
第6章 素晴らしきAGRでの日々──西小路友康
第7章 最強のアグレッサー部隊

第2部 教導隊復活の歴史
第8章 伝説の天才パイロット──森垣英佐
第9章 最強の教導隊2番機──山本忠夫
第10章 F‐15教導隊の基礎を作った男──西垣義治
第11章 それでも怖い教導隊──竹中博史 235

第3部 空自を支える飛行教導群 249
第12章 飛行教導群に期待すること──内倉浩昭空幕長
第13章 ウェポンスクール教官──第306飛行隊
第14章 飛行教導群(AGR)
終章 AGR「車と釣り」の真実──酒井さん再び登場

「あとがき」に代えて
すべては『ガラスのジョー』から始まった


小峯隆生(こみね・たかお)

1959年神戸市生まれ。2001年9月から週刊「プレイボーイ」の軍事班記者として活動。軍事技術、軍事史に精通し、各国特殊部隊の徹底的な研究をしている。著書は『新軍事学入門』(飛鳥新社)、『蘇る翼 F-2B─津波被災からの復活』『永遠の翼F-4ファントム』『鷲の翼F-15戦闘機』『青の翼ブルーインパルス』(並木書房)ほか多数。日本映画監督協会会員。日本推理作家協会会員。元同志社大学嘱託講師、筑波大学非常勤講師。


柿谷哲也(かきたに・てつや)

1966年横浜市生まれ。1990年から航空機使用事業で航空写真担当。1997年から各国軍を取材するフリーランスの写真記者・航空写真家。撮影飛行時間約3000時間。著書は『知られざる空母の秘密』(SBクリエイティブ)ほか多数。日本航空写真家協会会員。日本航空ジャーナリスト協会会員。