エアガンレビュー:マルゼン ガスガン ワルサーP38

マルゼン ガスガン ワルサーP38 ブラック【エアガン レビュー】

実銃のワルサーP38はドイツ、ワルサー社が開発した9mm×19パラベラム弾を使用する軍用のオートマチックピストルだ。当時としては先進的なダブルアクション機構(ハンマーが落ちた状態でもトリガーを引くとハンマーコックされ撃発できるメカニズム)を採用している。

ワルサーP38は1938年にそれまでのルガーP08に代わりドイツ軍に制式採用された。1938年というとドイツがオーストリアを併合し、いままさに第二次世界大戦が始まろうとしている時代。
マルゼンはこのP38のモデルバリエーションの中でもAC41と呼ばれる1941年に製造されたものをモデルアップした。1941年はナチスドイツが独ソ不可侵条約を破りバルバロッサ作戦を発動、ソ連に侵攻した年でもある。また同年12月には太平洋戦争が勃発、日本も戦争の渦中にある激動の時代。

ワルサーP38は第二次世界大戦終戦の1945年までに120万丁以上が製造され、東西分裂した戦後も西ドイツ軍にP1として1950年に制式採用された。その後、1995年にH&K P8(USP)が制式採用となるまでの長きに渡り使用され続けた。

マルゼン ガスガン ワルサーP38 スペック & 初速データ
全長 215mm
重量 720g
銃身長 117.5mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 12+1発
定価 19,800円(税別) ブラックメタル19,800円(税別) シルバー
17,800円(税別) ブラック
発売日 -
最高 74.64m/s
平均 70.53m/s
最低 67.36m/s
ジュール 0.497J

※エクセル バイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、気温26.0度、湿度53.0%


さて、日本でワルサーP38といえば、やはりアニメ「ルパン三世」を外して語るわけには行かないだろう。
かく言う私も1st、2nd問わず、さんざんTVアニメ再放送を観ていたくち。私の場合はルパンのジャケットが赤くなった2ndシリーズが最もストライクゾーンだ。「カリオストロの城」に見られる緑ジャケットももちろん好きなのだが。

ワルサーP38、この手の中に抱かれたものは、すべて消えゆく、定めなのさ、ルパン三世。


この1stシリーズのエンディング曲、これだっ!!
歌はチャーリー・コーセイ。

夕日をバックに不二子が駆るバイクと、どこか中性的な歌声が強烈な印象で記憶に残る。

そしてもう一曲、やはりピートマック・ジュニアが歌うオープニングも欠かせない。

男の美学 デザイン
このデザイン、今となってはアンティークともいえなくもないが、やはりそこには「男の美学」が宿っている。
マルゼン社はドイツ、ワルサー社との正式な業務提携により正確なディティールと構造、刻印をガスブローバックガンによってモデルアップした。

パッケージデザインパッケージにはさまざまな刻印バリエーションのP38が記載されている。パッケージ内容
アウターバレル9mmルガーのシングルカラムなので、グリップは握りやすい。
スラリと伸びたバレルがスレンダーでカッコいい。
フロントサイトフロントサイトは金属製の別パーツとなっている。こいつで瞳の奥に獲物を映しだす。
スライド上面
ホールドオープン プロップアップ式
ホールドオープン。スライド上面がざっくりと開いた構造とプロップアップ式ショートリコイルは、後のベレッタM92にも影響を与えた。スライド後退時に現れるシルバーの部品がロッキングラグ。実銃ではこれがスライドに設けられた溝とかみ合うことでショートリコイルを実現している。

プルーフマーク 部品検定印スライド右側面にはプルーフマーク(部品検定印)が入れられている。

鷲のマークとその下の"359"は1941年製造当時のワルサー社部品製造工場に与えられたコードで、これはワルサー社完全純正品のP38であることを意味する。
プルーフマーク メカニカルな造形美このプルーフマークは、フレーム、スライドストップ、バレル基部、ハンマーなど、いたるところに入れられており、マルゼンの再現性へのこだわりが感じられる。

このメカニカルな造形美、堪らない。
例えるなら空を駆ける一筋の流れ星、といった感じw。

ハンマー・デコッキングメカニズム
スライド左側面に設けられたセフティレバーをハンマーコック時にオンにすると、ハンマーが安全位置に戻るデコッキング機能を備える。リアサイト後ろのローディングインジケーターは別パーツなっているがダミー。リアサイトは金属製の固定式。

可変ホップアップマルゼンのP38は可変ホップアップ機構を備える。スライドをオープンして、チャンバー上部の矢印の位置にあるイモネジを付属の六角レンチで押し込んでいくとホップが強くかかっていく。
イモネジ頭がツライチの状態から6回転させた位置までで調節可能。
ホップはちょっと弱めで、エクセルの0.2gバイオBB弾だと5回転半くらいでホップ適正となった。
プラ製グリップこげ茶色のプラ製グリップが装着される。
9mmパラベラム弾のシングルスタックマガジンなので、握りごごちは抜群に良い。手の小さい人でも安心できるだろう。
ただ、強く握りこむと、わずかにグリップパネルがギシギシいう感じが気になった。

軍用銃らしく、グリップ右側面にはランヤードリングを備える。

マガジンキャッチはグリップ底部にあり、最新オートに慣れているとマガジン交換にちょっと戸惑う。
スライド分解方法スライドを分解するには、まずマガジンを抜き、ハンマーを落とした状態で、バレルを押してスライドを写真の位置まで後退させ、2のバレルリテーナーラッチを前方へ半回転させ、スライドを前方に引き抜く。
分解したフレーム側
分解したフレーム側。リコイルスプリングも実銃同様に再現されている。

通常分解 フィールドストリッピング
通常分解。ロッキングラグも実銃同様に再現。

グリップを分解グリップを分解してみる。
グリップ内側には金属の錘が入っている。
実銃用のグリップで装着可能なものもあるらしいが、錘がなくなる分軽くなってしまう。
マガジンマガジンは亜鉛ダイキャスト製で6mmBB弾を12発装填できる。
シングルカラムで装填するので装弾数が12発とちょっと少ないのが心もとないが、サイズ的にも冷えに弱いので連射は厳しく、この装弾数は妥当なところ。

本体にマガジンを装填する際にバルブがマガジンキャッチに当たってプシュッとなってしまうことがあるので、意識してマガジンを挿入する必要がある。
実測重量は720g実測重量は720gと、メーカー公称値ぴったり。
結構ズシリとした重量感を味わえる。

マガジン単体では139g
マガジン単体では139g。

さて、実射性能だが、リコイルはバシッと重く、なかなかの撃ち応え。作動性も良い。可変ホップアップはやや弱めだが、その分安定した素直な弾道だ。マガジンはちょっと冷えに弱く、室温26度の環境でも初弾は74m/s程度だが、1秒おきに撃っていても、みるみる初速が下がっていき、12発目を撃ち終える頃には67m/s程度となる。リコイルも比例して弱くなっていくのでこの辺は改良型のマガジンが発売されて欲しいところ。

そういった意味ではコレクション向きの銃といえる。
なんといってもドイツの銘銃ワルサーP38という貫禄と、ルパン三世の愛銃という親しみやすさ、これに勝るものはない。マルゼンならではのリアルな外観とメカニズムも魅力だ。ワルサーを語るならコレクションは必至。

「男には自分の世界がある」、そんな味わい深さを堪能できるはずだ。

2009/10/04

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