東京マルイ センチメーターマスター【ハイグレード/ホップアップ】

東京マルイ センチメーターマスター【ハイグレード/ホップアップ】

レポート:石井 健夫

センチメーターマスターの実銃は1988年に発表されたシューティング・マッチ用のカスタムガンだ。しかもなんと銃だけでなく弾薬までもカスタマイズ…というか、新たに造ってしまった、という超意欲作だった。南アフリカ出身の鬼才ガンスミスにして、シューターとしても超一流の腕前を持つポール・リーベンバーグ氏の代表作にして最高傑作(!)として、現在もなお絶大な人気を誇る名銃である。

全体をくまなく見ると解るのだが、銃を構成する全てのパーツに何らかの手が入っているかもしくはカスタム品に交換されており、ベースになった「コルトMkⅣシリーズ80」のオリジナル形状を留めているパーツが1点もないという徹底ぶりが凄まじく、製作発表時には全世界から予約が殺到したという。しかし実際に制作されオーナーの手に渡ったのはごく少数だった、とも聞く。もし現存していてオークション等で売りに出たなら、きっと恐ろしいプレミア価格が付くに違いない。

サイドビュー 左
東京マルイはイチロー・ナガタ氏によって専門誌等で紹介された「コルトMkⅣシリーズ80」ベースの美しい銃を、今回ご紹介するコッキングエアーガンの他、固定スライドガスガンや電動ブローバックハンドガン(10歳以上用)でもモデルアップしている。この銃は雑誌に掲載されるため特に念入りに製作されたもので、ポール・リーベンバーグ氏の工房「ピストルダイナミックス」が当時提供していたカスタムメニューの全てが投入されたフルハウス・バージョンだ。

「センチメーターマスター」という名前の由来にもなっている10mm弾は、当時デルタエリートやブレンテンで採用されていた高威力の10mmオート弾(10×25mm Norma)ではなく、9mmパラベラム弾と.45ACP弾の中間位の威力・性能を狙って開発された新規格の弾薬で、後の.40S&W弾(10×22mm Smith & Wesson)の原型とされている。

サイドビュー 右
ハイグレード/ホップアップシリーズとしては初期のモデルなのでスライドもフレームも左右合わせのモナカ構造。スライドとコンペンセイターのリリーフカット部分と右側サムセフティの軸部分に+ネジが確認できるが、あまり目立たないように上手く処理されていると思う。

パッケージ
センチメーターマスターのパッケージは縦型デザインだ。寸法はシリーズ共通の「縦290mm x 横180mm x 厚さ50mm」となっている。銃と一緒に写っているのは実銃のベースガンである「MkⅣシリーズ80」のメーカーであるコルト(Colt)社のロゴ入りキーホルダーだ。箱の写真の銃はマズルが何故かとても小さいのが少々気になる。

パッケージ内容
実銃の魅力や由来に惹かれる18歳以上のファンだけでなく、全体のフォルムや各部の形状が派手でなおかつ外観が「正義の味方」を連想させるシルバーだからか、じつは年少者ユーザーからも圧倒的な人気を誇るセンチメーターマスター。ショップや玩具店でウィンドゥに飾られた際の存在感もバツグンに違いない。
付属品:保護キャップ、取扱説明書、BB弾(0.25g)150発

絶妙なバランス
ちょっと短くなったスライドに長めのコンペンセイターの組み合わせが絶妙なバランス。実際に計測してみると解るが、例えば「全長と全高」や「スライドの前後セレーション位置」等の位置や寸法が黄金比「1:1.618」や白銀比「1:1.414」に当て嵌まる部分が幾つも存在する。もはや「コルトM1911A1をベースに…」というレベルを超越している美しさなのだ。いつかは実銃を撃ってみたいのだが、果たしてそれは叶うのだろうか…?

因みに筆者は1989年、初めて出場したU.S.STEEL CHALLENGEの会場でポール・リーベンバーグ氏に会い、また氏が出来上がったばかりのカスタムを知り合いのシューターに納品する現場に立ち会っている。その時の銃はセンチメーターマスターに似ていたが口径は.38スーパーで、ベースガンはスプリングフィールドM1911だった。またコンペンセイターはこの形状だったがスライドは通常の5インチサイズだったのでやや間延びした印象があった。

コンペンセイター
センチメーターマスター最大の特徴にして圧倒的にカッコいいポイントは何と言ってもこのコンペンセイターだろう。段の付いた10mmの銃口、Dポートと呼ばれる大型のガス放出孔、そして背後から見た時にいつでもクッキリと際立つよう側面が丁寧に処理された鋭いフロントサイト…何もかもがカッコいい!

コンプのすぐ後ろに刻まれたスライドのフロントセレーションが見た目を引き締め、コッキングの際も役に立つ。なおインナーバレルは真鍮製で、銃口はコンプ前面から26mm奥だ。Dポートは実際には上部に開口しておらず、インナーバレルを飛び出したBB弾は整流スリーブを通過して発射される構造になっている。

スライドの幅
センチメーターマスターはスライドの幅が実銃よりやや広い。リアルサイズだとされる同シリーズのM1911A1がセレーション直前部の実測値で「23.80mm」なのに対し、センチメーターマスターでは「26.06mm」なので約2mmなのだが、見た目ではかなり幅広に感じる。しかしシリンダーもそれだけ大口径が可能なので、設計当時はエアソフトガンとしてのメリットを選択した、という事なのだろうか。

リアサイトは上下のみ中央のスクリューで微調整が可能で、これはHOP-UP搭載モデルとしては有利。指掛けが広く操作性に優れたサムセフティも実銃同様に機能する。
グリップセフティは無可動だが、80年代当時は握り込んだ位置で固定してしまうのが流行っていたのでこれは問題なし。ハンマーが起きないのが現在にあっては少し残念。

トリガー
「LYMANトリガープルゲージ」によるトリガープル実測値は「1.29〜1.33kg」。カスタムガンらしいキレのある引き味だ。因みにフレームも実銃より約2mm幅広なのでトリガーもややワイドで、ガバメントというよりもナショナルマッチのワイドトリガーのような指当たりなのがまた良い♪

グリップ前面とややスクエアになったトリガーガード前面に入ったチェッカリングは金型による再現ながら綺麗かつ精緻。独特な形状のスライドストップ、サムガード、ワイドなマガジンキャッチ等もみごとに再現されている。

コッキング
コッキングはストローク33.3mmと、やや長めの1段引き。シリーズ初期に設計されたモデルなのでエジェクションポートも開かずショートリコイル等の再現もない。スライド自体はやや短いながらも前後にセレーションがあって掴み易いのだが、左側のサムガードがやや邪魔になる。またストロークの長さだけでなく他のモデルに比べてバネもやや重く感じ、素早いコッキングや連射にはやや不向きな感じは否めない。

サイトピクチャ―
リアサイトはブレードが大きくスクエアな上に背面の反射防止グルーブ等もあり、さらに上下の微調整も出来て言う事ナシなのだが、フロントサイトは折角のアンダーカット形状なのに背面も銀色なので周囲の環境や光の当たり具合によっては見えにくいのが残念だ。黒く塗るか、蛍光の赤等の目立つシールでも貼ってカスタムするのが良いだろう。

狙点と着弾点は上下アジャスタブルサイトの効果バツグン=ほぼ一致させる事が可能。0.25gBB弾ならばほぼストレート弾道、0.20gBB弾では程よいHOP弾道、というのもシリーズにほぼ共通した素晴らしい性能だ。30m先ならA3紙サイズ、40m先なら上半身サイズの標的に命中させるのは難しくない。

マガジン
マガジンは装弾数30発と大容量。実物より一回り細いのは初期のコッキングエアーガンならではの事情で仕方ないのだろうが、底部バンパーもそれに合わせて短いので銃に装着した時の見た目が少し残念。でもマガジン単体ではこの方がスッキリ見えて良いわけでもあり、この辺の味付けには発売当時の東京マルイも苦労したのではないだろうか?

因みに実銃のバンパーは真鍮製で金色なのだが、東京マルイでは固定スライドガスガンが「金色」、エアーコッキングガンは「銀色」、そして電動ブローバックと10才以上対象エアコキの「センチメーターマスター・ブラック」では「黒色」となっている。
マガジンの重量は101g(※実測値)で見た目よりズッシリ感があり自重で落ちて来るが、マガジンキャッチが大型なので意図せず押してしまわぬ様に注意する必要はあるだろう。

スペック


スペック

全長 241mm
重量 379g (実測値)
装弾数 30発
価格 3,500円(税別)
発売日 1991年12月21日
1994年7月15日 (HOP付HGでリニューアル)
発射方式 スプリングエアー・ハンドコッキング、ホップアップシステム搭載
初速 最高:58.9m/s
平均:57.46m/s
最低:56.8m/s
ジュール:0.33J

※東京マルイ ベアリングバイオBB弾 0.2g使用、固定ホップアップ、室内10発での測定、気温16度、湿度56%、ACETECH AC5000にて測定。


2020/12/10

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