Mulifang フィンガーブローバック グロック 19X
レビュー:きみどり
皆さんこんにちは、きみどりです。
普段は YouTube にて銃器解説やトイガンレビューなどを行っておりますが、この度初めてこちらにレビュー記事を寄稿させていただきます。
最近、従来のエアソフトガンやモデルガンとは異なるタイプのフィンガーアクショントイガンが一定数の人気を博しており、その内のひとつに通称「フィンガーブローバック」と呼ばれる機構のモデルガンシリーズがあります。
これらはトリガーを引く指の力のみで内部のスプリングを圧縮・開放し、スライドやボルトをサイクルさせカートリッジを装填・排莢する…という仕組みで、かつてのタニオアクションを発展させたようなメカニズムといえます。
登場当初は排莢ギミックのみを優先した、いかにもおもちゃ然としたものが多かったのですが、ここ数年間で目覚ましい進化を遂げ、最近では国内のモデルガンにも引けを取らない外観・機構を持ったモデルが多数登場しており、そのコストパフォーマンスの高も人気です。
そんな中、今回紹介するのはグロック 19Xのフィンガーブローバックガン。
実銃のグロック 19XはG17のフルサイズグリップとG19のコンパクトスライドを融合したクロスオーバーモデルです。米軍の次世代拳銃制式採用トライアルに提出された試作型が元になっているため、全体にコヨーテカラーが採用されている点もなかなか特徴的です。

トイガンとしては複数の海外メーカーからガスブローバックガンが販売されている程度でしたが、昨年末に Mulifangというブランドから安価なフィンガーブローバックモデルとして再現されて登場しました!

8000円程度で売られている通常版のパッケージです。グロックのロゴが入れられているが公式ライセンスを取得しているのかは…正直怪しいですね。
また+1000円程で高級版を買うと、パッケージがダンボールの代わりにハードガンケースとなって、その標準セットに加えてスペアの拡張マガジンやメッキ仕様のカートリッジが追加で付属します。そちらのほうがお得度は高いかも?


サイズ感やフォルムはかなり実銃に忠実です。スライド・フレームはともに樹脂製。
スライドはコヨーテブラウンでフレームはそれより薄いタンカラーで梨地加工が施されていて、質感・色味の違いが上手く再現されています。フルサイズとコンパクトのクロスオーバーモデルということでシルエットは若干寸詰まりな印象も受けますね。

スライド左側面にはグロックロゴや19X、9×19mmといった刻印がしっかりと彫られていて文句なしです。
ただ、本製品はグロック社の公式ライセンスを取得しているかは不明です。刻印はありますが、非正規品の可能性もありますのでご注意ください。


フロントサイト・リアサイトは「MH3」と呼ばれる19X標準装備の3ドットタイプが再現されています。ただ実物はスチール製ですがこちらはプラスチック。窪みにホワイトが入っていますが、爪で軽く擦ると簡単に剥がれちゃいます…。

チャンバーにも9×19やグロックロゴなどの刻印があります。エキストラクターは実際にカートの排莢に用いられるため、別パーツとなっていてしっかり稼働します!
また現行のGen.5仕様のため、スライドストップはアンビです。ただしここの塗装の被膜は弱めで、角が既に少し剥がれてきちゃっていますね。

バレルは金属製で内径は細め。中にはレーザーユニットが搭載されています。このレーザーはブローバックの際に一瞬点灯するので、市販されているレーザー用ターゲットと組み合わせると擬似的に射的を楽しむことができます。レーザーユニットは微弱出力であり安全性に配慮されていますが、絶対に人や動物の目に向けて照射しないようにご注意ください。

ホールドオープンするとこんな感じ。ショートリコイルはしっかりと再現されていて、バレルがティルトします。バレル前方には 3 箇所にイモネジがありまして、ここでレーザーの角度を調整することができます。
発火式モデルガンとは異なり、撃発装置はありません。

フルサイズのグリップには滑り止めとして、細かいスクエアドットのテクスチャが全面に施されています。また Gen.5世代の仕様なので、前面のフィンガーグルーヴはありません。実銃ではグリップの太さを変えるバックストラップも取り付け可能ですが、本製品には付属していないみたいです。

トリガーはこんな感じ。グロックお馴染みのトリガーセーフティはしっかり再現されています。
ただしこのトリガーの引きだけでスライドをブローバックさせる機構上、内部のトリガースプリングにはかなり固いものが使用されていて、トリガープルはかなり重いです…引き絞るのは難しいですね。
また機構上、本モデルには内部にハンマーがなくコッキングの概念がないので、トリガーのコッキングインジケータ機能も再現されていません。

アンダーマウントレールに SUREFIRE X300 のレプリカを装着!
ガタつきもなくしっかりとロックできました。ただレール長はグロック19と同じなので、ライトもコンパクトSUREFIRE XC1やSTREAMLIGHT TLR-7辺りがより似合いそうです。
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付属マガジンは実銃同様プラスチック製で、装弾数は実銃同様17発です。グロック17用のマガジンサイズとなっています後面には残弾確認用の穴が再現されています。


上は付属のプラスチック製カートリッジです。弾薬の形状を模していますが前後幅は実際の9×19mm弾より短いですね。大体.380ACP弾くらいのサイズ感でしょうか。
下は高級版を買った際に付属するメッキ仕様のカートリッジです(これは別売りされていたもの)。
弾頭・薬莢部分がしっかり色分けされていて雰囲気は段違い!

通常分解するとこんな感じ。基本手順は実銃やモデルガンに準拠しますが、スライドを後退させるための爪が引っかかるパーツがネジ止めされていて(右画像)、バレルを抜き出す前にこれを外す必要があります。またリコイルスプリングは硬さの違うものがスペアとして付属しているので、交換することでブローバックの速度が若干変化します。


バレルのチャンバー部分にレーザーモードの切替スイッチがあります。ブローバック時にレーザーが光る条件を常時とするか、カートリッジ装填時のみとするかのどちらかのモードを選択可能です。前者に設定すればカートリッジなしの空撃ち状態でもレーザー用ターゲットと組み合わせて遊ぶことができますね。

重量はフル装填のマガジンと組み合わせても515gと、とても軽いです。マガジンやカートリッジがプラスチック製ということもあって、これは致し方ないところ…。

カートを装填したマガジンを挿して、スライドを引いた後のプレスチェック。しっかりと薬室にあたる空間が設けられているので、こういったロマンあふれる動作ができます。
ただし機構上リコイルスプリングが非常に柔らかいので、これをやるとスライドが完全に閉鎖しない事も。後ろからスライドを軽く押してあげるといいですね。
実射
カートリッジをフル装填して実射!
カートリッジはプラ製で軽いこともあって、勢いよく1mほど弧を描いて飛んでいきます。

まれにジャムもありますが、基本的には最初から最後まで問題なく撃ち切ることができ、スライドストップもしっかりとかかりました。
指の力だけでこの動作性はなかなか驚異的といえますね。ブローバックの瞬間にはレーザーもしっかり点灯します。
しかし前述したようにトリガープルが非常に重いほか、リコイルスプリングが柔らかいためブローバック速度もガスブローバックや発火式モデルガンより遅いことから、速射を行うのは難しいですね…。
トリガーを引き絞るのも難しくて少々ガク引き気味になりがち。こういった欠点は他のパワーソースを用いていない弊害と言えます。
総評
約8000円という低価格でグロック19Xの外観をこれだけ再現し、指の力だけで安定した排莢動作を実現している様は素晴らしいとしか言いようがないです!
コストパフォーマンスの観点では群を抜いています。
一方で安価な中国製ということでアイアンサイトなど仕上げがイマイチな点も見られ、一部の購入者からは「買ってすぐに壊れた」といった声もちらほらと耳にしました。
国内製のトイガンほど耐久性や品質管理については徹底されていない感じはありますね。
とはいえ値段やギミックを考えれば、そういった懸念点を加味しても非常にお値打ちなのは間違いないでしょう。
初期不良の場合はショップに連絡すれば対応してもらえますので、気になったらとりあえず買ってみてもいいのではないでしょうか?
スペック
本製品はBB弾や実弾の発射機能はなく、あくまでギミックや排莢動作を楽しむトイガン(玩具)です。
| 全長 | 189mm |
| 重量 | 516g (マガジン、カート含む) |
| 装弾数 | 17発 |
| 価格 | 8000円程度(税込) |
| 発売日 | 2024年末 |
| 動力源 | 指の力 ※弾の発射機構無し |
商品提供:Voisky
翻訳・編集協力:ミリドー!
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きみどり |
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MILIDO!/ミリドー! 「20年後の日本のミリタリー業界のために」を共通理念に、Youtubeを中心とするクリエイターが集まるミリタリーコンテンツクリエイターグループ。 所属クリエイターチャンネル総登録者数40万人突破。 銃器を中心に多様なジャンルを横断しながら、「知識」「体験」「文化」としてのミリタリーを次世代へつなぐことを目的に活動しています。 X: https://x.com/Milido_Official |
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