G&G 電動ガン GSS

G&G 電動ガン GSS

レポート:戸井 源太郎

旧ソ連のサイレンサーが銃本体に一体化した特殊部隊用のライフルVSS。いかにも隠密作戦、非合法作戦用というスタイルで、サバゲーマーのマニア心をくすぐります。
VSSはすでに海外製メーカー数社よりモデルアップされていますが、今回はG&Gの電動ガン、GSSを紹介します。

サイレンサーを組み込んだ独特なスタイル
実銃のVSSはサイレンサーを銃本体に組み込んだ独特なスタイルの特殊部隊用の消音ライフルで、その開発は、1980年代初頭のソ連のアフガニスタン侵攻にまで遡ります。スペツナズなどの特殊部隊のゲリラ掃討や隠密潜入作戦にAKMやAK-74、AKS-74Uにサイレンサーを取り付けて使用していましたが、弾薬は通常の5.45mm×39弾であったために弾丸が音速を超え、衝撃波が発生し、消音効果は期待したほどではなかったそうです。
そこで、AK-74をベースに専用の銃と音速を超えない9×39mm弾を新たに開発し1987年に完成したそうです。

一説によると近くに立っていてもボルトの作動音と排莢されるカートの金属音しか聞こえなくなるとのことです。ちょうどガスブロの発射音といったところでしょうか?
ちなみにVSSとは「Vintovka Snayperskaya Spetsialnaya」という英訳の頭文字になります。ロシア表記では 「Винтовка Снайперская Специальная」となり、BCC(?)となるのかな?

サイレンサーについて余談

サイレンサー、サプレッサーともいいますが、なにが違うのかわかりますか?
それぞれを直訳するとサイレンサーは消音器、サプレッサーは減音器となります。
英語圏ではサイレンサーよりサプレッサーと呼ぶほうが多いようですが、本記事ではサイレンサーで統一します。

先に弾速が音速を超えるため、効果が少ないと書きましたが、一概にダメということはないようです。
聞いた話ですが、例えばフォースリーコンなどが少人数で偵察・監視、さらに狙撃任務中に、敵の部隊から発見された際、サイレンサーは非常に有効なのだそうです。

銃声はある程度、減音されているため、自位置が特定されにくく、さらに敵からすると、5.56mm×45や、7.62mm×39弾などの音速を超えた弾丸が耳元で「バッシーーーン!」と反響し、まるで大部隊に包囲されて、集中砲火を受けている錯覚に陥るのだそうです。サイレンサーの使い道も要は任務内容、目的によるということでしょうか。しかし、私はサイレンサー装着の銃で撃たれたことはないので、本当かどうかは、わかりません...。

G&G 電動ガン GSS スペック & 弾速データ
全長 901mm
重量 3,800g
銃身長 430mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 250発
定価 84,375円(税別)
発売日 2014年9月
最高 87.46m/s
平均 85.78m/s
最低 83.78m/s
ジュール 0.736J
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温約26度(屋外)、X3200にて測定
パーツリスト

パッケージ
パッケージは意外とコンパクトです。セクシーなお姉さんの外カバーを外すと、アタッシュケース風デザインになり、そのまま持ち運びにも使えそうです。パッケージサイズは縦31×横67×厚9cmです。

パッケージ内容
ストックが外された状態で収納されているため、コンパクトに収納されています。

取り扱い説明書
GSSには取り扱い説明書(英語)、GSS電気制御説明書(日本語)、G&G製品カタログ、台湾旅行ご招待チラシ、弾速証明書が同封されています。

G&G GSS 左
G&G GSS 右
全長の大部分を大型の太いサイレンサーが占めています。AK-74をベースに共通パーツも多いとのことですが、フレーム部はかなりショート化されています。ボディの主要パーツはメタル製、ストックはリアルウッドを採用しています。
また一番の特徴はG&Gオリジナルの電子回路(後述)を搭載していることにあります。

スコープマウント用のリブ
フレーム左側には、スコープマウント用のリブがあります。元々、VSSは400m以内の戦闘を想定した中距離小銃ですが、任務によってはスコープも搭載するのでしょう。M4カービンもACOGなどのスコープを載せますしね。

エジェクションポート
フレーム右側です。実銃は9×39mm弾を使用するので、エジェクションポートも短めです。またセレクターレバーもAKシリーズに比べて短くなっています。

大型サイレンサー
本体の大部分を占める全長330mmの大型サイレンサーを装備しています。握りやすいよう真ん中あたりにチェッカリングが施されています。バッテリーを収納するため内部は空洞となっていて、残念ながらサイレンサーとしての消音機能はありません。

マズル実銃はサイレンサーの中央部分がバレルになっていますが、G&GのGSSでは、バッテリー収納スペースの確保ため、インナーバレルが上部にオフセットしています。
フロントサイトピンの調整フロントサイトはマズル上部に溶接されています。フロントサイトピンは付属の専用工具で上下に調節可能です。

リアサイト
サイレンサーの付け根あたりにタンジェント式のリアサイトを装備します。もちろん可動します。


ハンドガードはプラ製の一体型となっています。

セフティレバー
セレクターはセフティ、フル、セミと切り替え可能なAKシリーズと違い、「セフティ」と「ファイア」のみになります。AKシリーズと同様、レバーを上げれば安全装置が掛かります。

トリガー セレクター
フル、セミの切り替えはトリガーの後ろにあるレバーを左右に振って行います。フレーム左側にセレクトするとフルオートになります。グリップ上にある白い3つの点がフルオート表示になります。

可変ホップアップダイヤル
エジェクションポート内に可変ホップアップダイヤルがあります。また後述しますが、このボルトを引く行為も射撃する際に必要となります。

グリップストックと一体化されたグリップです。素材はリアルウッドで、手触りもよく、美しく仕上がっています。ただグリップ内にモーターを収納しているため仕方がないのですが、グリップは角ばっていて大きめなので握り心地ははっきりいってよくないです。

スケルトンストック
グリップと一体型のスケルトンストックです。ちょっと角ばっている感じがしますが、リアルウッドが美しいですね。

マガジン
マガジンはプラ製の20連タイプをモデルアップしています。G&Gでは250発のゼンマイ給弾式多弾倉マガジンとなっています。重量は約200gです。

サイレンサー付け根のスリーブ
サイレンサー付け根のスリーブを反時計回りに回すとサイレンサーが脱着できます。またハンドガード先にあるボタンを押せば、ハンドガードも外せます。

バッテリー ソケットアダプター
バッテリーはインナーバレルの下にあるソケットにアダプターを介して繋げます。上がリポ用アダプターで、下がG&G GSS専用バッテリーのアダプターです。スティックタイプの11.1Vリチウムマンガンバッテリーが純正のようですが、G&G GSS用バッテリーは日本未入荷です。

サイレンサー内部サイレンサー内部を付け根側からみてみます。上の小さい穴はインナーバレル用で、下がバッテリー用の空間となっています。直径約20mmと、かなり窮屈なので、バッテリーを選びます。
バッテリーは11.1Vのリポバッテリーは11.1Vのリポを推奨というか、7.4Vでは電圧が低すぎて動きませんでした。
バッテリーはOPTION NO.1の11.1V 900mAhでジャストサイドでしたが、これでも結構ギリギリです。バッテリーサイズは縦20×横101.5×厚み16.5mmとなります。

FET 電子回路
このGSSはFETを含む電子回路を搭載していて、バッテリーチェッカー機能もあります。バッテリーの電圧が十分だと青いLEDが点灯し、電圧が低下していると赤のLEDが点滅しユニットは動作しません。

BYPASSスイッチ
矢印のBYPASSスイッチでモードを選べます。スイッチを上にすると「セフティモード」ですべての機能が正常動作します。下は「システム検査モード」とあり、ギア位置など検査してくれるらしいです。また、マガジンが装着されているかどうかの探知スイッチがハウジング内に設置されています。

ストック上部のボタン
ストック上部のボタンを押しながらストックを引けば、簡単にストックが後方へ取り外せます。

ピニオンギア
グリップにはモーターが内蔵されているので、ピニオンギアと、モーター用の配線コネクターが見えます。

ギアのコネクト部
ストック外した状態の銃本体側です。ギアの一部が確認できます。ストック装着はストックを差し込むだけです。

アッパーレシーバー
レシーバーカバーはAKシリーズと共通で、レシーバー後部のボタンを押しながら上方へ取り外せます。

電子回路の基板
本来ならこの状態で、メインスプリングを簡単に交換できるようになっていますが、日本版では安全対策のため、その機能をオミットしています。後部には電子回路の基板がみえます。

チェンバー部
ハンドガードも取り外せばチェンバー部も現わになります。またネジを2、3本外すだけで、メカボックスも簡単に取り出せる構造となっています。

フィールドストリッピング
工具を使わず、ここまでフィールドストリッピングができます。非常によく考えられた構造をしています。
またG&G GSSの特徴である電子回路の機能を挙げると
・FETによるスイッチ焼き付き防止
・パイロットランプによるバッテリーの残量のチェック
・バッテリーの電圧低下を検知する自動停止機能
・マガジン未装着の場合のユニット停止機能(ただし機構上、1発は作動するので注意)
・システム検査モード
・10分放置しておくと待機状態になる省電力機能
・ボルトハンドルを引いてからの射撃とリアルギミック操作
などがあります。これらのギミックが実際に使ってみて有用なのか、大変興味のあるところです。

実射テスト
いよいよ実射テストです。マガジンを装填してから射撃する場合は、最初にコッキングハンドルを一度引いてからではないと撃てません。リアルな操作を再現してくれているところは評価できます。
トリガーが軽すぎて、フニャフニャすぎる気がしますが、FETによりセミの超連射でもしっかりついてきます。トリガーロックすることは皆無です。
サイレンサーとしての機能はないため、発射音はスタンダード電動ガンと同様です。またバッテリー電圧が11.1Vのためレスポンスも悪くはないです。



ホップアップを調整すると40m以上は飛びます。飛距離は充分及第点です。しかし、命中精度はというと...
結構、チラばります。BB弾は届きますが、人を狙って当てるほどの精度はなかったですね。大体、2×2mくらいの範囲くらいに感じました。弾道も上にいったり、急に落ちたり、左右に流れたりと、まったく安定しません。

距離20mでは、ほぼボディにはヒットできますが、この距離でもヘッドショットとか、特定部位の狙撃は難しいかもしれません。
チェンバーの質か、インナーバレルの固定に問題があると考えられます。
その他、射撃、作動に関しては特に問題は発生しませんでした。

電子回路を搭載した意欲的なモデル
G&Gオリジナルの電子回路を搭載した意欲的なモデルと思いますが、個人的見解では、メリット、デメリットが、ともにあると感じました。
メリットとしては、リアルな操作感、バッテリーチェック、オートストップ機能などはあると非常によいシステムだと思います。

デメリットとしては機能が多くて、理解するのが大変であること。10分経つと自動的にOFFになる省電力機能は、あると助かりますが、アンブッシュなどで、ここぞという時に撃てないなんてことがありそうな気がします。再び撃つにはコッキングハンドルを一度引かないといけません。
また、多機能電子パーツが搭載されたためか、銃本体の価格が割高のような気がします。

さらに推奨バッテリーが11.1Vのリボというのもいかがなものでしょうか? おそらく海外では、もっと高レートのスプリングが一般的だからかと思われますが、日本仕様を撃ってみた実感からすると11.1Vである必要性をあまり感じませんでした。まぁスタンダード電動ガンのような発射時の「ウィパンッ」という感じではなく、ダイレクトなレスポンスは評価しますが...。

GSSが届いたときに、まず最初に動作確認を行おうと7.4Vのリポを繋いだところ、まったく動かないので、壊れているのかと思いました(取説には明記してあります)。ちなみに7.4Vだと満充電でもパイロットランプは赤の点滅で低電圧を示していました。 日本メーカーには無いおもしろい独自の機構を組み込んでおり、そのメリットも充分あるため、今後、大いに期待するところではありますが、いかんせん、命中精度をもう少しなんとかしていただかないと厳しいのではないでしょうか。

撮影協力:ビレッジ2 / 中田商店

2015/10/01


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