[殺し屋っぽい] Gun & Story コンクール

ストーリー No.21

タイトル:「己の使命、そしてなんの為か」

投稿者:劉

ストーリー:

「己の使命」…それを感じ、考えるようになったのは、四年前のある出来事だった。
十九の若さで俺は殺しの世界で一際有名になり、数々の仕事をこなしてきた。
そんな中、俺のこの殺し屋人生という舞台の幕引きを意味する一つの仕事が入った。
いつも依頼人から仕事を受ける場所に一人の男が俺を待っていた。
男の組織が計画するある案件の取引に関する機密文を当時組織が経営していた店の女が持ち逃げしたのだ。
以来はその女の暗殺と機密文の処分だった。
依頼を受けた時男から一丁の銃と女の写真を受け取った。
写真を見た時…俺は動揺した。
それは昔愛し、今でも思いを寄せていた古くからの愛し人だった。
心の奥底…葛藤しながらも一人の殺し屋として、そしてその機密文が、国の存亡を揺るがす物だと思い知った時、腹を決めた。
「今は殺しこそ…己の使命、この使命からは逃れる事は出来ない…」と。
決めた時には俺は彼女に銃口を向け、引き金を引いていた。
静かな森の中、ひとつの銃声が消えると共に彼女は死んだ。
彼女を抱えた時には、彼女の肌からは、温もりではなく、冷たさと水のような血しか流ていなかった。
その後俺は、ただ…ただ…無き彼女のあとを追うように彷徨い続け、彼女との思い出の場所に佇み…泣いた。
真っ赤な己の手を見て、ひたすら泣いた。その後のことは、あまり言えないが、それから俺は殺しの道から退き、今はかつての知人であり、戦友、宿敵の伝手で警視庁公安部の特殊班にいる。
そこで俺は、殺し屋組織の使命から、国家を守る使命という、その実態も少々殺し屋当時の事のように汚いことも多いが、この果てしない使命を今は、追い、探し続ける。これからも…この先も…

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2019/09/29

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