海外ドラマ『S.W.A.T.』 銃器解説

海外ドラマ『S.W.A.T.』 銃器解説

6/22(金) 22:00より、 海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」にて独占日本初放送スタートの話題作!!

STORY


激発する凶悪犯罪。しかもそれは、強力な武器弾薬によってエスカレートの一途をたどる。犯罪者の手によって市民生活は恐怖のどん底に叩き込まれ、時には尊い人命を奪う流血の惨事が引き起こされる。この事態に即応し、凶悪犯罪抑止のために組織された特別狙撃隊
S.W.A.T.。射撃をはじめ、特殊訓練で徹底的に鍛え抜かれた少数の精鋭たち。彼らは、防弾チョッキに身を固め、狙撃銃を片手に、今日も敢然と危険な任務に出動する!

オリジナル版は’70年代に社会現象にまでなった「伝説のドラマ」!

特別狙撃隊S.W.A.T.
本作の「オリジナル版」ともいえる伝説のドラマ 『特別狙撃隊S.W.A.T.』は、全米ABC局で1975年から1976年まで全2シーズンが放送された。(現在動画配信サービス「スーパー!ドラマ クラシック」で配信中)

通常の警察官では手に負えない凶悪犯罪を解決する警察特殊部隊チームの活躍を描いたアクションシリーズだったが、約2年という短い放映期間にも関わらず大成功を収めた。当時から映画やテレビでは警官もの、アクションものは非常に人気があったが、この『S.W.A.T.』各エピソードには当時の放送基準ギリギリの暴力描写や激しい銃撃戦がほぼ毎回含まれていた。1960年代後半から多発傾向にあった公民権運動や反ヴェトナム運動に関連した民間暴動の影響等もあり、幾度となく論争の的にもなったという。

反逆のテーマ(Theme From S.W.A.T./RHYTHM HERITAGE)
日本でも1976年から1977年にかけて東京12チャンネル(当時)で毎週火曜夜に放送され、大人気を博した。特に番組のオープニングとエンディングを飾る勇壮にして軽快な音楽「反逆のテーマ(Theme From S.W.A.T./RHYTHM HERITAGE)」は、後に人気TV番組の「水曜スペシャル/川口浩探検隊シリーズ」BGMにも採用され、人々の記憶に強く印象付けられる事になった。オリジナルのドラマを観ていない年齢層の人でもこの曲には聞き覚えがあるハズ。
さらに2003年にはサミュエル・L・ジャクソンとコリン・ファレルが主演し、映画『S.W.A.T.』としてリメイクされたのも記憶に新しい。当時はちょうど、メインのハンドガンがKIMBER.45カスタムに刷新された直後でもあり、話題の最新銃器がスクリーンで大写しになって大活躍する様子に心踊った覚えがある。

ロサンゼルスを舞台に迫力あるアクション・シーンが展開

ロサンゼルスを舞台に迫力あるアクション・シーンが展開
「S.W.A.T.」すなわち「Special Weapon And Tactics=特殊武装戦術部隊」は1964年、銀行強盗事件が相次いでいたフィラデルフィアで、重武装強盗犯に対抗するために同市警から選抜され特別に訓練された警察官100人から成る部隊を編成したのがその起源とされている。
しかしアメリカ国民、そして我々日本人が抱く「S.W.A.T.」のイメージの元になっているのは1967年に創設されたLAPD(=ロサンゼルス市警察)のS.W.A.T.部隊だろう。もちろん先に紹介した’75年版のドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』や、そのリブート作である2003年の映画『S.W.A.T.』も、このLAPDのS.W.A.T.をモデルにしている。

『特別狙撃隊S.W.A.T.』の現代版リブート作品
伝説のドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』の現代版リブート作品である本作『S.W.A.T.』の舞台は現代のロサンゼルスだ。ニューヨークに次いで全米で2番目に人口の多いこの街は人種も階層も様々な大都市ゆえ犯罪率も高く、またそれが起こる社会背景も複雑だ。武装強盗事件、テロリズム、刑務所暴動、麻薬取引、ギャング抗争、といった凶悪事件の収拾に発動するLAPD S.W.A.T.の活躍を、緊迫感ある銃撃戦や臨場感あふれるカーチェイス、凶暴な犯罪者との素手での直接対決など、迫力あるアクション・シーンで見せてくれる。

ホンドー隊長の人物設定変更等、時代性や社会背景をリアルに反映

“ホンドー”ことダニエル・ハレルソン隊長
本作が‘75年版ドラマや’03年の映画と最も大きく違う点は、主人公にしてチームリーダーである“ホンドー”ことダニエル・ハレルソン隊長の人物設定だ。先の2作品では登場時から豊富な経験に裏打ちされた自信に満ち溢れる「老成したリーダー」だったホンドーが、本作ではある社会事情から35歳の若さにして突然、しかも所属していたチームの次期リーダーと目されていた先輩を追い越す形で抜擢されてしまう。

シェマー・ムーア
様々な試練に苦しみ戸惑いつつもリーダーとしてのあり方を必死で模索するホンドーを熱く演じるのは、これも人気ドラマだった『クリミナル・マインド』のデレク・モーガン役で人気を博したシェマー・ムーア。鍛え抜かれたタフガイながらも時に悩み、傷付き、しかし弱き者の気持ちをも深く洞察する繊細なハートを持つ現代的なヒーロー像を体現している。

ジェシカ・コルテス警部
そんなホンドーの上司にして密かに愛を育むジェシカ・コルテス警部には『ブリッジ~国境に潜む闇』のステファニー・シグマン。

ジェフ・マクフォード隊長
LAPD内でホンドーのチームとライバル関係にある別チームのリーダーであり、事ある毎に対立し競争しながらも、じつはお互いを高め合う精神を忘れない闘士、ジェフ・マムフォード隊長には『MURDER IN THE FIRST/第1級殺人』のピーター・オノラティ。

ジム・ストリート巡査
ホンドーのチームに新人として配属されてくる「若き問題児」のジム・ストリートに若手俳優のアレックス・ラッセル。

冷静沈着な副官ディヴィット“ディーコン”ケイ
以前から「次期リーダー確実」と目されながらも後輩ホンドーが抜擢され心境は複雑。しかし頼りになる冷静沈着なディヴィット“ディーコン”ケイ役には『デスパレートな妻たち』のジェイ・ハリントンなど、海外ドラマファンにはおなじみのベテラン俳優が勢揃いし、しっかりと脇を固めると共に活き活きと動き、深みのある人間ドラマを展開する。

ジャスティン・リンが第1話の監督
またパイロット版として製作されレギュラードラマ化を決定付けた第1話の監督は、映画『ワイルド・スピード』シリーズでも多くの作品を手がけスタイリッシュなアクション・シーンを演出した事で知られる現代の名匠、ジャスティン・リンが務めた事でも話題になっている。

登場銃器解説

H&K HK416D 10RS
H&K HK416D 10RS
現在LAPD S.W.A.T.がプライマリーウェポン(主力火器)として制式採用しているアサルトライフル。アメリカ全4軍(陸・海・空・海兵)が採用している制式採用カービンM4A1を更にタフにするべく、ドイツのH&K(ヘックラー・ウント・コッホ)社が様々な改良を加えた銃である。

H&K HK416D実銃
最も大きな改修点は従来のM4A1では「発射ガス直噴式」だった作動方式を「ピストン&ロッド式」に改め、数多く発射した際の銃の汚れや過熱への耐性を劇的に向上させた事だ。しかしその影響で銃が重くなった事、体感する反動が強くなった事、そして何よりも価格が大幅に上がった事で、世界各国の軍や警察関係への「全面採用」にはなかなか至っていない…という皮肉な結果を招いている。

特殊部隊用の銃器
但し限られた精鋭に運用される特殊部隊用の銃器としては絶大な信頼性を勝ち得ており、米陸軍デルタフォースや海軍SEALSでの採用が確認されている。

カスタムされたHK416
本作で見られる銃は取り回しの良い10インチの短銃身を備えたHK416D10RSというモデルで、EO Techのリフレクスサイト、TrijiconのMROドットサイト、ACOGスコープといった光学照準器や、AN/PEQ-15A DBAL-A2等のIRレーザーエイミングデバイス、SUREFIREのM600スカウトライト、タンゴダウンのグリップやマグプルCTRストック、フォアグリップなどを装着しているが、個人個人でその仕様には若干の差がある。特にチームの赤一点であるクリスティーナ・“クリス”・アロンゾ(リナ・エスコ)が第1話で持つ銃はコルトM4A1のロアーにHK416のアッパーが乗っており、ひときわ異彩を放っていた。

H&K MP5
H&K MP5
ドイツH&K社が自国の軍や警察向けに開発した9mmサブマシンガン。それまでの「銃弾を広範囲にバラ撒くための低コストな武器」という考えを改め、精密ライフル並みのメカニズムと精度をサブマシンガンに与えたコンセプト自体が画期的であり、瞬く間に世界中の軍・警察が導入した。日本の警察でも採用されている。本作では祖父の代からS.W.A.T.だという筋金入りのベテラン隊員ドミニク・ルカ(ケニー・ジョンソン)がこの銃を愛用。レールハンドガード仕様、レシーバートップにはAimpoint T-1が載っている。

ライバルチームの隊長マンフォードも現場で使用
ルカの銃とほぼ同仕様のMP5をライバルチームの隊長マムフォードも現場で使用する。ルカとマムフォードに共通するのは2人とも40代を超えたベテラン隊員なので昔から使い慣れているMP5をずっと使い続けている…という設定なのかもしれない。現代では9mm弾では威力不足、と言われているが、場面によっては.223ライフル弾では都合の悪い状況もあり得るため、MP5シリーズも必ず少数が運用されている。

MP5A3 MLI
写真は実銃のMP5A3 MLIで、RAL8000と呼ばれるサンドカラーで仕上げられたモデル。

KIMBER CUSTOM TLE/RLⅡ
KIMBER CUSTOM TLE/RLⅡ
1911年〜1985年までの長きにわたってアメリカ軍の制式採用であり続け現在もスポーツピストルとして様々なメイカーから復刻版、アップグレード版が製造販売されている「拳銃界の王様」がコルトM1911A1である。キンバーは1990年代後半から急速に台頭してきたM1911クローンメイカーのひとつであり、2003年にLAPD S.W.A.T.の制式採用を勝ち得た。

最新型である「TLE/RLⅡ」
当初はフレームに装備搭載用レールのないモデル「LAPD SWAT II」であり、2003年の映画『S.W.A.T.』にもそれが登場したが、本作には最新型である「TLE/RL II」が登場し大活躍する。

Kimber Custom TLE II TFS
写真はKimber Custom TLE II TFSの実銃。このモデルはアンダーマウントレールがなく、サイレンサーを取り付けられるようにバレルが延長されているタイプ。

全身装備がよく判るカット
主要各キャラクターの全身装備がよく判るカット。

GLOCK G17
GLOCK G17
樹脂を大胆に使用して軽量化を図りつつも高い耐久性を実現したことにより、1985年に開発・生産国オーストリア軍の制式採用を勝ち取る。登場から30年以上が経過した現在では全世界の軍・警察に広く浸透した革命的な拳銃。実際にLAPDでも制式採用されている拳銃であり、さらに現在「世界で最も売れて普及している拳銃」でもあるので本作にも様々な場面で登場する。
本作第1話では冒頭で武装強盗に襲われS.W.A.T.出動を要請する警官がこの銃を携帯。さらにフルオートに違法改造したものに33連マガジンを挿して大暴れするガンマンも登場する。
第2話では麻薬組織の大物クチーヨを脱獄させる寡黙なギャングがサプレッサー付きのG17を使用した。

H&K HK69A1
H&K HK69A1
40mm榴弾を200m先まで正確に撃ち出す事のできるグレネードランチャーの一種で、H&K社製の使い勝手の良いモデル。長期間無補給で行動する事の多い軍隊ではライフルの銃身の下などにタンデム装着しているケースが多いが、S.W.A.T.ではそれ自体にグリップや照準器のついたスタンドアローン(=独立)形で運用される事が大半である。催涙ガス弾や非致死性弾薬など、むしろ警察用として幅広い用途がある。

 

作品DATA

タイトル 『S.W.A.T.』
タイトル 『S.W.A.T.』
2017年~現在全米放送中/アメリカ/二カ国語or字幕・5.1chサラウンド(一部ケーブルではステレオ)※/60分/HD作品

【出演】
シェマー・ムーア、ステファニー・シグマン、アレックス・ラッセル、ジェイ・ハリントン

【スタッフ】
製作総指揮:アーロン・ラサーン・トーマス、ショーン・ライアン、ジャスティン・リン、ダニエル・ウッドロー

6/22(金) 22:00より、海外ドラマ専門チャンネル「 スーパー!ドラマTV」にて独占日本初放送スタート!

【二カ国語版】 初回放送:毎週金曜22:00〜
(再放送/毎週日曜9:30〜、月曜18:00〜、火曜23:00〜)

【字幕版】  初回放送:毎週金曜24:00〜
(再放送/毎週日曜23:00〜、月曜10:30〜)

「S.W.A.T.」公式ホームぺージ http://www.superdramatv.com/line/s.w.a.t./
© 2017 Sony Pictures Television Inc. and CBS Studios, Inc. All Rights Reserved.

『特別狙撃隊S.W.A.T.』は「スーパー!ドラマ クラシック」で配信中!
https://vod.superdramatv.com/
© 1975, renewed 2003 CPT Holdings, Inc. All Rights Reserved.


■解説者プロフィール

石井 健夫(いしい たけお)
石井 健夫(いしい たけお)

1967年12月、東京都生まれ。
銃器レポーター、射撃選手、映画評論家。ミリタリー専門各誌でのレギュラー執筆の他、グアム島の野外実弾射撃ツアーを紹介・宣伝する「CQB GUAMジャパンサービス部」業務も手掛ける。

2018/06/06


■関連レビュー

東京マルイ 電動ガン HK416D 東京マルイ 電動ガン HK416D

東京マルイ 電動ガン H&K MP5J 東京マルイ 電動ガン H&K MP5J

WA ガスガン ウォーリアーカスタム/ジョン・ウィックモデル WA ガスガン ウォーリアーカスタム/ジョン・ウィックモデル

映画紹介記事 TOPへ