エンネス バイオBB弾
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エンネス バイオBB弾 レビュー

リポート: 石井健夫

“ナイスショット!!”  
これ、とても良く耳にする言葉ではないだろうか? おそらく発祥はゴルフなのだと思うが、じつはいわゆる「和製英語」なのだ、と、今回ご紹介するエンネス バイオBB弾のオフィシャルWEBサイト、TOPページの文章で知った。

そう、確かに誰かのいい射撃を見た時などに英語ではその場で声を掛ける際には、
“Nice Shoot!” とか、 “Nice Shooting!” だったような気がする。

常にユーザーの皆様のナイスショット!

“常にユーザーの皆様のナイスショット!
その一瞬の輝きを捉え、満足することができるような製品をご提供できるよう努力を惜しまぬ所存です。“


との社是を掲げ、最高のBB弾を製造販売すべく立ち上げられた会社の名前はエンネス。前述の和製英語「ナイスショット!」の頭文字、「N」と「S」に因んで付けられたのだそうだ。
もちろん英語の“Nice Shooti!”の頭文字・・・でも良い訳である♪

「N&S(エヌアンドエス)」をよりスムーズに、流れるように発音するイメージで「エンネス」。言葉の響きも良いし覚えやすそうだし、素敵なブランド名だと思いません?

リアルガチの射撃テスト

同社が今秋よりリリースを開始する新製品のバイオBB弾、「0.20g」と「0.25g」のサンプルがハイパー道楽に“ドサッ!”と大量に届いた。

しかも、現在フィールドでの「人気・使用率BEST 3ブランド」とおそらく誰もが認めるだろう、「A社」、「B社」、「C社」のバイオBB弾を名指しで、

是非、手加減抜き、リアルガチの射撃テストを敢行して頂きたい。しかも余計な忖度(そんたく)や操作が生じないよう、その模様の動画による公開も希望します!”

と、半ば挑戦状のような依頼が舞い込んだのである。

 

左が0.20gで右が0.25g

エンネス バイオBB弾近影。左が0.20gで右が0.25gである。外見上で気になるような形の歪み、いびつさ、傷、パーティングラインの類は一切見受けられない。色は両方ともほぼ純白だが、0.20gはやや緑っぽく、0.25gはやや赤みを帯びている。

また双方に共通した特徴として、袋から出した時にメープルシロップを思わせる微かな甘い香りがした。
これはBB弾の表面に塗布されているスリップ剤(=ワックスの一種)が天然植物由来のものだからでしょう、との事。
ただし今後、より性能が向上するような場合には、スリップ剤の変更もあり得る、との事。

ちなみにハイパー道楽では通常、エアガン・レビューに於いては東京マルイ製/生分解性バイオBB弾「0.20g」もしくは「0.25g」を使用している。

  1. 野外フィールドでの撮影が多い。
  2. 誰にでも馴染みのあるブランドである。
  3. 性能・品質が安定している。
  4. 流通上、最も入手性が高い。

というのが主な理由だ。

今回、エンネス/バイオBB弾の比較対象となる「A社」、「B社」、「C社」には東京マルイが含まれている事だけは申し上げておく。


ヘア・マイクロキャリブレーター
エンネス バイオBB弾の直径は「5.95mm」、工差は「±0.01mm(=10ミクロン)以内」と謳われている。

筆者は最初に勤めていた職場の関係で毛髪の直径を計測するための「ヘア・マイクロキャリブレーター」を所有している。これは弱いバネによって常に一定の圧を加えるので、BB弾のように強く押し潰してしまうと正確な数値が得られない対象を測るには最適なのだ。

「0.20g」、「0.25g」共に各50発づつを袋から無作為に取り出して実測したが、「5.95±0.01mm」を逸脱するものは1発もなかった。

 

BB弾ゲージ
エンネス製品に限らず、バイオBB弾は、地球環境に対する負荷が少ない生分解性の「PLA樹脂」を使用している。従って置き場所や保管場所には充分な注意を払わなければならない。

夏季は室温や湿度の上昇に注意が必要で、特に車内の気温は50℃を超え、60〜70℃にもなると言われているので、絶対に放置しない事だ。フィールドで直射日光に晒すだけでも影響が出る、という意見もあり、クーラーボックスや専用ボトルで保管する人も多い。

また冬場も、マガジンに装填した状態で、マグウォーマーに長時間入れた事で変形し、装填不良や弾詰まりの原因になった事例もある。くれぐれも注意したい。

「5.98mm」と「5.96mm」の2種類を用意
筆者がAPS競技で使う弾を選別するために所有している蔵前工房舎製のBB弾ゲージ。今回は「5.98mm」と「5.96mm」の2種類を用意した。


0.20gBB、0.25gBB共に10回分=1,000発づつゲージを通してみた。双方とも5.98mmゲージは全弾が通過した。なお今回は穴の途中に引っ掛かって止まった場合でも、軽く数回叩いて下に落ちれば通過とみなした。


5.96mmゲージでは多くがこのような状態で一度は引っ掛かって止まるのだが、枠を叩くと大半が落ち、それでも留まっている物も指の腹で軽く触れるだけで落ちていく。5.96mmの穴に完全につかえて通過できないBB弾は1発も確認できなかった。

とはいえ、一試合で数十発しか撃たず、練習にも200〜300発あれば充分なAPS競技ならともかく、野外フィールドのサバイバルゲームで数千発単位を消費する0.20gや0.25gのバイオBB弾をいちいちゲージで選別する、という行為は非現実的だろう。

前述の保管場の注意をしっかり心得、トラブルを未然に防ぐ。それ以前に信用のおけないブランドの品物には手を出さない、という心掛けが重要だと思う。

エアソフトゾーンDELTAの25m級ロングレンジ
エアソフトゾーンDELTAの25m級ロングレンジ。ここでは「15cm円形プレート」に対するHIT or No Hit判定と、ペーパー標的を使用してのグルーピングテストを行った。
エアコンの吹き出し口も段ボールで塞ぎ、微風による弾道への影響も極力排除した。



検証結果となるターゲット
ロングレンジでの全ての射撃を終え、それぞれの銃と貴重な検証結果となるターゲットを並べて。結構な疲労感でした。

マルイ HK417の集弾結果
今回のメインウェポンとして頑張ってくれた東京マルイの次世代電動ガンHK417。本当なら一定数を発射する毎に、あるいはBB弾の種類を換える毎にインナーバレルやHOPチェンバーをクリーニング、あるいはもっと厳密に検証を行うならばこれらを新品と交換する、等、厳密に検証しようと思うならいくらでも細かいやり方もあるのだろうが、今回はずっとノンクリーニング、HOP調整やサイト合わせもBB弾の種類変更毎に「10cmプレートを狙ってざっと合わせる」程度で行った。
「結果はあくまでも目安」だと思ってご覧頂きたい。

エンネス バイオBB弾 0.20g

エンネス バイオBB弾 0.20g
表面は艶やか
表面は艶やかだがスリップ剤でベタついている印象はない。気泡の有無をチェックするために割って確かめたが、1粒1粒が非常に硬かった。内部の粒状も均一に見える。

実測値「23.905m」の結果
銃口からの実測値「23.905m」からの結果。5つあるうち中央のブルズアイを狙い、適正HOPで撃った。
エンネスでは、グルーピングの左右、上下それぞれの最大値から得られた長方形の面積によってBB弾の命中精度を評価するという「スクゥエア法」を導入している、との事なので、今回の検証でもそれを採用させて頂いた。

エンネス バイオBB弾 0.20gは1発が場外・右上に外れたため、長方形の端=ターゲット用紙の右端となっている。

結果としてエンネスの0.2g BB弾は、

●天地107mm×左右185mm=197.95㎠
●最も離れた着弾間の距離=212mm

だったが、大きく外れた2発を除いたグルーピングは際立っており、動画での15cmプレートに対する「8中/10発」を裏付ける結果となった。

 

A社 0.2g バイオBB弾
エンネス バイオ0.20g(左)とA社バイオ0.20g(右)の結果。動画での15cmプレートにかなり苦戦したA社0.20gだったが「ギリギリでプレートに中(あた)らない」というその時の印象をこれまた裏付けるグルーピングとなった。左下方に1発の場外あり。

A社 0.2g バイオBB弾
●天地110mm×左右137mm=150.70㎠
●最も離れた着弾間の距離=163mm

 

B社 0.2g バイオBB弾
エンネス バイオ0.20g(左)とB社バイオ0.20g(右)の結果。グルーピングは散漫に見えるが、15cmプレート「7発/10発」という結果になら納得出来る、という印象か。

B社 0.2g バイオBB弾
●天地89mm×左右182mm=161.98㎠
●最も離れた着弾間の距離=185mm

 

C社 0.2g バイオBB弾
エンネス バイオ0.20g(左)とC社バイオ0.20g(右)の結果。グルーピングはかなり広がってしまっているが、10発とも紙「210×297mm」には収まった。サバイバルゲームで使用するにはこれでも充分以上の性能だと思う。

C社 0.2g バイオBB弾
●天地155mm×左右197mm=303.35㎠
●最も離れた着弾間の距離=174mm

 

使い分け
0.20gと0.25gのBB弾はどのように使い分けるのが良いのだろうか?
それぞれに一長一短があり、例えば軽いBB弾は風や空気抵抗の影響を受けやすい反面、距離が比較的に短い場合は目標への到達時間が短い。さらに、総じて0.20gBB弾の方が0.25gBB弾よりも価格が安い。
従って0.01秒のタイム差を争うスティールチャレンジ競技や、インドアフィールドで多用される電動ハンドガン、ハイサイクル電動ガンでは0.20gBB弾の使用率が高いようだ。

 

エンネス バイオBB弾 0.25g

エンネス バイオBB弾 0.25g
内部粒状
こちらも艶やな表面にして、やはりスリップ剤のベタつき感なし。内部粒状も同様に均一だがより「砂っぽさ」を感じた。そのためか割る際の硬さにも0.20gほどの手強さはない。

HK417との相性
次世代電動ガンHK417との相性の良さを見せ付けたエンネス バイオBB弾 0.25g。左下方に逸れた1発が非常に惜しいも、素晴らしい結果となった。

●天地105mm×左右117mm=122.85㎠
●最も離れた着弾間の距離=148mm

 

A社 0.25g バイオBB弾
エンネス バイオ0.25g(左)とA社バイオ0.25g(右)の結果。A社はHOPが掛かり過ぎたのか狙点よりかなり上に着弾が集まったが、グルーピング自体は最高の結果に。

A社 0.25g バイオBB弾
●天地86mm×左右75mm=64.50㎠
●最も離れた着弾間の距離=98mm

 

B社 0.25g バイオBB弾
エンネス バイオ0.25g(左)とB社バイオ0.25g(右)の結果。エンネスと比較すると左右ブレが大きい印象は受けるが、左に大きく外れた2発以外はよく中っている。

B社 0.25g バイオBB弾
●天地97mm×左右137mm=132.89㎠
●最も離れた着弾間の距離=131mm

 

C社 0.25g バイオBB弾
エンネス バイオ0.25g(左)とC社バイオ0.25g(右)の結果。やや集弾が2分化されているものの、それぞれかなりタイトなグルーピングが。左下の1発がなかったら最高だった。

C社 0.25g バイオBB弾
●天地90mm×左右128mm=115.20㎠
●最も離れた着弾間の距離=144mm

 


0.25gBB弾は0.20gBB弾より20%重いだけあり、同じ出力のエアガンから撃ち出した場合、理論上は初速が遅くなるので標的までの到達時間も長くなるのだが、実際には風や空気抵抗の影響がより少ないので、距離が遠くなるほどあまり差は生じない。
ただし集弾率には歴然とした差が生じるので、レギュレーションで許されるなら、アウトドアでロングレンジ射撃の多用が想定される場合は0.25gを使用する、という人が多いようだ。

 

SYSTEMA PTW
ハイパー道楽が所有しているSYSTEMA PTW。公認プロショップMOVEさんの手によるファインチューンと、HK416の外装にモディファイされている。搭載するオプティクスはAimpoint T-2。
現在、全てのエアガンは法規制値「0.98J以内」で製造されているが、メイカーや機種によって出力には若干の差がある。一般的なハンドガンやハイサイクル電動ガンなど、比較的低初速なモデルには0.20gを、次世代電動ガンやトレポン(PTW)などには0.25gBB弾を使用する、という人が多いようだ。

 

エンネス バイオBB弾 0.25g
SYSTEMA PTWとも抜群の相性を感じさせたエンネス バイオBB弾 0.25g。
さらに時間を掛けてHOP調整とサイト規正を行えば、結果はさらに向上するだろう。

●天地106mm×左右66mm=69.96㎠
●最も離れた着弾間の距離=104mm

 

A社 0.25g バイオBB弾 PTW
エンネス バイオ0.25g(左)とA社バイオ0.25g(右)の結果。「SYSTEMA PTWと最も相性の良いBB弾」という触れ込み通りの素晴らしい結果を叩き出したA 社0.25g。

A社 0.25g バイオBB弾
●天地89mm×左右76mm=67.64㎠
●最も離れた着弾間の距離=117mm

 

B社 0.25g バイオBB弾 PTW
エンネス バイオ0.25g(左)とB社バイオ0.25g(右)の結果。全体的に拡がってしまった。

B社 0.25g バイオBB弾
●天地132mm×左右134mm=176.88㎠
●最も離れた着弾間の距離=133mm

 

C社 0.25g バイオBB弾 PTW
エンネス バイオ0.25g(左)とC社バイオ0.25g(右)の結果。下方の3発はHOPの掛かり不足か?

C社 0.25g バイオBB弾
●天地125mm×左右111mm=138.75㎠
●最も離れた着弾間の距離=133mm

 

別々のローダーで管理
形も色もソックリな各社のバイオBB弾。バラけてしまうと見分けるのはほぼ不可能なので、各社のサンプルは別々のローダーで管理し、撮影中は混同しないように「声出し確認」を繰り返しつつ作業を進めた。

 

超ロングレンジ テスト
メインフィールド中央に設けられた通路を超ロングレンジとして利用した。40mを越える距離をインドアで撃てるなんて最高! ここでは各社の0.25gBB弾を「東京マルイ M40A5」で射撃。

 

レクタングル鉄板
標的は「天地35cm×幅25cm」のレクタングル鉄板。面積比では人間の上半身の1/4と考えて良い。「コリオリの力」の影響なのか、程度の違いこそあれ全ての銃で0.25gBB弾は右廻りの旋回軌道を描きながら40m強を飛んだ。なので全ての射撃で「標的のやや左上方」を狙って撃つ事になった。

 

エンネス バイオBB弾
全世界の市場に向けたBB弾の生産数はとてつもなく多い。仮に0.20gのバイオBB弾が20トン生産されたとすると、計算上では一億発にもなる。もちろんその1発1発全てにおけるクォリティ・コントロールなどは不可能であり、従って同じ製品の1パックでも、理論的には「当たり外れ」が必ずある、という事になる。

また、実際に使う日の季節、気候、気温や湿度、使用したガン、そしてHOPラバーの硬さや表面の状態などの変動により、毎回同じ結果が得られるとは限らない。いや、むしろ毎回同じ結果を出す事の方が不可能だろう。

今回の検証結果はあくまで「今回の条件内の結果であり、全てではない」、という事は明言させていただく。あくまでも「参考DATAの一つ」と捉えて頂くのが正解だ。

 


エンネス バイオBB弾が決してレベルの低い製品ではない、という事実は今回の検証結果から証明できたと思う。A社、B社、C社=現在フィールドでの使用率が相当に高い0.20gと0.25gの「バイオBB弾人気TOP3ブランド」にも全く引けを取らず、今後はここに新たなる選択肢=エンネスが加わる。そう考えるに十分な結果だった。

今後フィールドで、そしてレンジで、エンネス バイオBB弾0.20g、0.25gに皆様はどのような評価を下されるだろうか?

まずはご自身で手に取り、実際に撃ってみてお確かめになる事をお奨めしたい。

2017年9月28日 編集部追記

9/28付けでメーカーより「一部の0.25g弾の袋内に微細な粉末が付着している」との連絡があり、追記します。
これを受けて、メーカーのエンネスでは配布分の自主回収及び、粉末混入の原因を究明中とのことです。
微細な粉末が付着
粉末によりBBローダー、マガジン、チャンバー、バレルに悪影響を及ぼす可能性があります。
サンプルBB弾を使用されたユーザーはエアガンの点検をしてください。手元に商品があるユーザーは一度袋内を確認ください。問題が発見された場合はエンネスへ連絡し、その商品は廃棄してくださいとのことです。
念のため、編集部のエンネスBB弾も確認してみましたが、粉末の付着は見られませんでした。また、実射テストにおいて使用したBB弾袋についても同様に問題はなかったことは付け加えておきます。


エンネス バイオBB弾 (株式会社エンネス)
公式WEBサイト https://www.nsbb.jp/
〒135-0004 東京都江東区森下4-9-12 1F

商品価格
0.2g NSバイオBB弾 5,000発 定価 2,600円(税別)
0.25g NSバイオBB弾 4,000発 定価 2,800円(税別)


石井 健夫(いしい たけお)
石井 健夫(いしい たけお)

1967年12月、東京都生まれ。
銃器レポーター、射撃選手、映画評論家。
グアム等の野外実弾射撃ツアーを紹介・宣伝する「CQB GUAMジャパンサービス部」として精力的に活動中。ミリタリー専門各誌での記事執筆・写真撮影も多数担当。時折オーダーメイドで製作する競技用カスタムガン(ガスブローバックがメイン)も一部で好評を博す。


2017/09/23