サバゲーフィールドのセキュリティについて考える

サバゲーフィールドのセキュリティについて考える

商業サバイバルゲームフィールドは2000年代はじめに全国各地で増え始めた。
そして今に始まった話ではないが、フィールドが盗難被害にあったという話はよく聞く。最近でもフィールドに侵入して備品を盗んだ窃盗犯が捕まったというニュースがあった。また放火と思われる被害も発生している。

このコラムではサバイバルゲームフィールドを運営するにあたり、セキュリティ対策としてどのようなことに注意すべきかをいくつかのフィールドに取材した内容をもとに考えてみたいと思う。

フィールドはトラブルになりやすい立地

本来であればトラブルになりやすい立地は避けるのが理想だが、サバゲーフィールドという施設の性質上、屋外型のフィールドは人気の少ない山中や河川敷といった立地が多いのが現実だ。

また、フィールド周囲の治安性もあって、盗難などの犯罪が多い地域というのも少なからずある。

施設にスタッフが常駐していればよいが、営業時間外は誰もいないというのが普通だろう。
こういった施設の特性もあり、サバゲーフィールドというのはとかくトラブルになりやすい立地であるという認識が必要だろう。

監視・警戒装置の設置

商業施設の監視・警戒装置というと、監視カメラやセキュリティアラーム、セコムなど警備会社への通報サービスなどが考えられる。

動きがあった時などの異常時にWi-Fiでスマホに通知を行う機能がついているものもあり、フィールド外からカメラを遠隔操作したり、肉声を届けたりといったことができる機能もある。

モーションセンサーによってライトが点灯したり、あらかじめ録音した音声が流れるといった単純なものでも、外部からの入口に設置するだけでも窃盗犯への効果はそれなりにあるという。

監視カメラはその存在が明らかにわかるように設置するものと、わからないように設置するものを混在させているというフィールドもある。防犯意識の高いフィールドだということをアピールしておくことは窃盗犯に無言のプレッシャーを与えることができる。監視カメラだけでなく防犯用ステッカーや看板なども一つの対策だろう。

またこれら監視・警戒装置に必要となる電源の位置を隠しておくということも重要だ。管理用の配電盤を操作されて施設への電源供給自体を断たれてしまうケースもあるので、配電盤やメインブレーカーの位置は部外者に悟られないようし、容易に触れられないようにする。
また、電源供給が断たれたときに発動する警備システムや無停電電源装置といったものもあるので費用に応じて導入を検討するのが良いだろう。

不意の出火に備え、消火器の設置もしておくのがおススメだ。ボヤが発生して誰かが駆けつけてくれた時に消火器があればすぐに対応できる。

前述したように河川敷や山奥などの立地により、電気が引けないといったフィールドも多い。営業時は発電機を利用しているといったフィールドもあるだろう。

その場合、営業時間外に電気を使用したセキュリティ対策を施すことが困難になる。しかしアウトドア用の電源設備や自動車・バイク用のバッテリーとセキュリティアラームを駆使しているフィールドもある。まずはこういった警備対策は可能な限り施すというのが良いだろう。

最近ではネットワーク対応の遠隔操作可能な監視カメラが低価格で販売されている。
あるフィールドのおすすめはこちらのTapo C200だそう。

フィールドに盗まれやすいものは置かない

どんなに多くの警備機材を設置しても、プロの窃盗犯の施設への侵入を完全に防ぐというのは難しいという。であれば、盗難されそうなものはそもそも施設内に設置しないということも大切だ。

・現金や金庫など金目のものを置かない

とにかく現金は置かない、これは多くの商業施設で実施されているだろう。売上金はもちろんのこと、お釣りなどの小口現金は必ず営業終了したら持って帰るというのは鉄則だ。

また、営業用のパソコンなども放置しないほうが良い。PCの盗難もそうだが、売上情報や顧客情報の入ったパソコンが盗難・放火にあって、バックアップがないという自体は避けたい。大事なデータの保管はクラウドサービスを利用するなど検討するのが良いだろう。

・レンタルガンも可能な限り置かない

とくにレンタルガンは盗難の多いアイテム。ニュースでもエアガンが何十丁も盗まれたという話はよく聞く。これらレンタルガンも普段はフィールドに置かずに、レンタル予約があった時にだけ用意するフィールドもある。
また、レンタルガンを設置するとしても事務所内ではなく、別途倉庫を設置して保管しておくだけでも被害を抑えることができるそうだ。とにかく窃盗犯は犯行時間がかかることを嫌うので、分散して保管することでリスクを低減できるという考えだ。

最近ではBB弾などの消耗品だけでなく、エアガン本体や装備品などの販売が充実しているフィールドも多くなってきた。こういった物販用商品も盗難の対象になりやすい。とくに高価なエアガンや光学機器、実パーツやカスタムパーツ盛り盛りのエアガンは盗難されやすいので注意が必要だ。

・発火物を置かない

盗難に加えて、施設に放火をされてしまうといったケースは非常に悪質だ。延焼を防ぐ意味でも発火物をできるだけ置かないということも重要だ。
チェーンソーやストーブなどの燃料、メンテナンス用のオイルやパーツクリーナーなどは保管場所に注意し、なるべく施設内に置かないよう対策する。

電動ガンのバッテリーも可燃物だ。充電しっぱなしで帰るといったことはないだろうが、保管場所も万が一の発火に備えて不燃ボックスなどを用意したり、レンタルガン同様そもそも施設に置いておかないということも検討したいところだ。

事務所の裏に密着して燃料用の薪や、余った建材を積み上げているフィールドがあるが、これは放火されたら延焼してしまうので避けたほうが良い。燃えやすいものは置かない、離して置くというのが鉄則だ。

・発電機や建設機材を置かない

ユンボ、ドーザー、トラック、チェーンソー、草刈り機、発電機、こういったフィールド建設に必要な建設機材をそのまま施設内に置きっぱなしにすると、それを目当てに盗難にあってしまう。どこかにガレージがあればよいが、そうでない場合は入り口やセフティから見えない場所に隠しておくのが良いだろう。
なかには手洗い場のステンレスシンクを盗まれそうになったフィールドもあるという。設備は固定しておくというのも考えておきたい。

・何もないことをアピールをする

中には何もないことをアピールするというフィールドもあった。事務所のカーテンをわざとあけておいて、何もないぞということをアピールしているらしい。

盗難保険に入る

それでも盗難や放火にあってしまった時に備えて保険に入るフィールドは多い。火災保険・盗難保険・損害賠償保険のほか、死亡障害保険など、レジャー施設として契約できる保険会社を探してみるのが良いだろう。

ご近所付き合いを大切にする

普段から近所付き合いを大事にしているといったフィールドもある。フィールドによっては近くに民家もないということが多く、いざというときに駆けつけるまで時間がかかる。唯一のご近所との付き合いを密にしていたおかげで助けてもらえたことがあるそうだ。

定例会での装備品の盗難・利用者としての対策

定例会は不特定多数のプレーヤーが集まってサバゲーを行う。このときセフティでの盗難ということがたびたび発生する。
特に多いのが、予備のエアガンをセフティテーブルの上に置きっぱなしにしてゲームに参加し、ゲームを終えて戻ってくると盗まれているというケースだ。
テーブルの上に貴重品や高価なエアガンを置きっぱなしにしたまま席を離れないことが重要。財布などの貴重品は貴重品ロッカーなどに預けることができるフィールドもある。

スタッフがゲーム中もセフティを監視できればよいが、なかなかそこまで手が回らないのが現実だろう。やはりセフティでの盗難はある程度、利用者が自己対策しておかないとならない。
予備銃はガンケースにしまっておく、カバーをかけておくなど、一見して何か見えないようにしておき、さらに自転車用のワイヤーロックなどを利用してテーブルやガンラックに固定しておくといったこともできる。
高価な光学機器やカスタムガンを必要以上に見せびらかせないということも盗難リスクを下げることになるだろう。

なかには追跡用のスマートタグをエアガンの内部に仕込んでおくという兵もいるようだ。

お客さん・スタッフへの気配り

窃盗犯は事前に一般客を装って下見に来ることがあるという。そういった不審な人物を見抜いて声をかけるというフィールドもある。あるフィールドでは監視カメラの位置を確認しようとして上を見上げていたり、事務所の裏手に入っていこうとするお客にはとくに注意して積極的に声をかけているそうだ。
声をかけるといっても疑って声をかけるのではなく、「なにかありましたか? どうかされましたか?」と、もちろん御用聞きの感じであるが、こういったお客さんをよく観察しているフィールドというのは盗難抑止効果が高いといえるだろう。

また、駐車場に不審な車がないか、どういったお客さんがどの車に乗っているかなどもこまめに確認しているそうだ。

フィールドスタッフは参加プレーヤー全員に安全に楽しんでもらうためにルールを徹底させる厳しい面もある。ルールを守れない利用客には厳しく当たるケースもあるはずだ。こういった際にその客に逆恨みされ、窃盗や放火に発展するということもまったく否定はできない。ある老舗フィールドでは、お客に厳しく当たった時にはその後のフォローも大事だという。

同様に利用客だけではなく、スタッフに対しての気遣いも重要だという。フィールド運営で上司と部下、経営者と雇用者の関係であれば、厳しく指導することもあるはずだ。そんな時、何のフォローもなくスタッフの恨みを買ってしまい、トラブルに発展するといったこともないわけではない。

人間関係から発展するトラブルや事件を未然に防ぐ、ということは対面商売であるサバイバルゲームフィールドだからこそ、より一層注意しておきたい点だといえるだろう。

2021/04/07