でめちゃんのカスタム放談

インナーバレル! Vol.74 〜長さ・内径・素材の特性と選び方〜

千葉県八千代市にある総合エアガンショップの「モケイパドック」にお邪魔して、技術主任の"でめちゃん"にカスタムガンのことをいろいろ伺ったので、連載で紹介しています!!

前回のお話はこちら

ICO いらっしゃい!!

道楽「インナーバレルって素材や長さ、内径など多種多様ですよね。それぞれ、どのような特性があるのでしょう?」

了解! 今回はインナーバレルについて話していこうかな。

インナーバレルの長さ
道楽「まずはインナーバレルの長さって、いろいろありますよね?」

ICO うん、バレルの長さは、機種ごとに長さが決まってくるから、短いモデルはバレルも短め、長いモデルは長めのインナーバレルっていう選択になってくるかな。

ただ、一般的にはインナーバレルは短すぎても、長すぎても命中精度が悪くなってくるよ。
ベストバランスな長さは300mmくらいかな。長物だと、500mmや600mmなんていうロングバレルもあるけど、たわみや振動が気になってくるし、逆に100mm以下のハンドガン並のバレルはやはり、多く撃ってみると集弾精度にバラツキが出やすい傾向があるよ。

また、バレルの長さは、シリンダー容量によってもベストなものが決まるから、適切なものを選びたいね。

道楽「なるほど。次に内径はどうでしょうか?」

ICO 内径は最もバランスが良いのは6.08mmだと思っているよ。これは東京マルイの純正バレルの内径だね。これより内径が小さいもの、6.05mmとか6.03mmとかにしていくと、そのぶん弾とバレルの隙間が小さくなって、エアロスが減って初速が上がる傾向にあるよ。短いバレルで初速を少しでもアップしたい場合は有効だよね。

ただ、6.01とか6.00mmなど、あまりにもタイト過ぎるバレルだと、こんどはBB弾のコンディションで命中精度が悪くなったりと、取り扱いに難しい面も出てくるよ。とくにバイオBB弾を使用する場合はワックスも溜まりやすいので、最初は良くても使ってるうちに精度が落ちてきたり。

内径が6.1~6.17mmくらいのルーズバレルというのもあるんだけど、これは逆に初速が下がる傾向にあるんだ。威力の強いバネを使って、力で押し切るようなセッティングにする場合、バレルで少しでも初速を下げるためにショートバレルやルーズバレルを使うカスタムもあるけど、パドックでは耐久性の面からお勧めしてないね。

道楽「素材はどうでしょう? これも色々ありますよね?」

ICO マルイをはじめ多くのメーカーモデルに採用されている標準的な素材は真鍮だよね。滑りが良くて強度も十分、加工性が良くて安価と、コスパの良い素材だよ。ただ手で触りすぎると黒ずんだり緑青が出たりすることがあるよ。

高級パーツだと、ステンレス製があるね。真鍮より少し軽いんだけど、高強度で長くても振動しにくいんだ。硬い素材だけど加工精度が高くて、錆びないというのも良いよね。ただ価格は真鍮製より高い傾向かな。

アルミ製もある。どちらかというと安価なモデルに搭載されるリーズナブルな素材かな。精度という面では真鍮ほどではないね。アルミバレルはマルイのエアコッキングシリーズに採用されているのは有名だよね。

スチール素材の安価なインナーバレルもあるけど、黒染めされているとはいえ、錆びやすいのが難点で、流通量も少ないね。

また、素材の性能を向上させるためにコーティングを施したバレルもあるよ。

テフロンコーティング
例えばKM企画の『TNバレル』は真鍮にテフロンコーティングを施しているね。
テフロン加工はフライパンなどにも採用されることがあるけど、滑りをよくする効果があるんだよね。
BB弾ってインナーバレルの中で擦るように何度か接触しながら進むから、内部の摩擦抵抗が小さいほど初速の減衰が小さくなったり、命中精度が良くなる傾向があるんだ。

アルマイト加工
アルミ素材だとアルマイト加工されたものがあるね。
カスタムパーツには定番の表面仕上げなんだけど、どちらかというとカラーリングなどのデザイン性が重視されているね。アルマイトは表面を薬品で粗くしてその凸凹に色を入れる仕上げなので、摩擦増加によってワックスが付着しやすくなったり、低品質な仕上げだと内面の処理が不均一だったりして、命中精度が悪化してしまう場合もあるよ。

マズルの形状
バレルの先端、つまりマズルの形状もいくつか種類があるね。標準的なのは軽い面取り加工されたものが多いんだけど、カスタムバレルだと、テーパー加工されたものが多いね。

テーパー加工
テーパー加工というのは、いってみればラッパ状に出口を広げた加工だね。こうすることで弾が発射される際にエアの抜けをよくして、出口で弾がバレルに接触するのを防いだり、整流効果を出すってことなんだけどね。エアガンの場合、さらにアウターバレルで包まれていて、フラッシュハイダーもあるわけだし、整流効果がどこまで弾道に影響を与えているかってのは、効果測定するのは難しいところだよ。

道楽「整流効果ってどのようなものですか?」

整流効果っていうのはね、BB弾がバレルから飛び出すときに、弾の周りの空気の流れを乱れなく、きれいに整える効果のことだよ。イメージとしては、弾が飛ぶための推進力を最大限に活かすために、後ろから押し出す空気を均一に、そしてスムーズに放出させる感じかな。もし空気の流れがバラバラだと、弾が不安定になったり、あらぬ方向に飛んでいっちゃうこともあるからね。だから、精度の高いバレルは、いかにこの空気の流れを整えるか、という点も考えられているんだ。

ホップ窓
最後にインナーバレルの入り口側。ホップ窓の形状かな。電動ガンの場合、こんな感じでホップパッキン用の四角い窓加工がされているよね。このサイズや形も色々あるけど、基本的には使用するラバークッション(押しゴム)の形状に合わせるというのが一般的かな。東京マルイのゴム管なら小さくても良いけど、最近流行りの面押しだと、長い形状にあわせて窓のサイズも長く加工してあげないと本来の性能が発揮できないよね。

リード加工
また、このホップ窓の前後に滑らかな傾斜を設けて、自然にホップラバーが突出するようにするリード加工っていうのもあるよ。

あと、インナーバレルで命中精度に重要な要素としてはブレ止めかな。マルイ製インナーバレルは外径が8.5mmなんだけど、これがアウターバレルの中で暴れないように固定したり、真っ直ぐに芯出しされるよう固定するっていうのが大事なことだよ。

ICO あと、ちょっと変わったインナーバレルも紹介しておこうかな。

サイクロンバレル
MGCやタニオコバから発売された『サイクロンバレル』『ツイストバレル』っていうのがあって、これらはバレルの内面に実銃のようなライフリングが切ってあるインナーバレルなんだ。エアガンの場合、弾がバレル内壁に食い込むわけじゃないからスピンによるジャイロ効果っていうのはないんだけど、整流効果を狙ったものみたいね。

クレイジージェットバレル
Maple Leafの『クレイジージェットバレル』は、先端部分が二重構造になっていて、出口直前にエアーを外側の流路に逃がすことで、整流効果を得ようってアイデア。

デルタストライクバレル
LayLaxの『デルタストライクバレル』は、BB弾の保持位置を安定化させるためにインナーバレル下面を二点保持にしてホップ突起とあわせて三点で弾を保持するっていうアイデアのバレル。

参式滑空銃身
ACE研究所の『参式滑空銃身』は、ホップ突起で下側に押された弾をセンターに保持するために下側にも突起を設けたバレル。デルタストライクもそうだけど、インナーバレルの中心に弾を保持して、弾道を安定化するっていう考え方のバレルだね。画像引用:ACE研究所 https://ace-labo.com/sansiki.htm

かっぱバレル
FIREFLYの『かっぱバレル』は弾の保持位置に滑りの良い樹脂製チューブを入れて、ホップの掛かりを安定化させるというバレル。画像引用:レプマート https://repmart.jp/products/ra01247.html

あとは、マルシンの『LD2』バレルはチャンバーだけでなく、バレルの中心部にもホップの突き出しがあるんだ。これによって二段階で弾にホップ回転を与えるんだけど、つまづきホップになってしまって命中精度は悪かったよ。

道楽「色々なタイプのインナーバレルがあるんですね!」

ICO インナーバレルは人気のカスタムパーツだから、各社様々なアイデアを投入した製品を展開するんだよね~。

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2025/06/08


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