でめちゃんのカスタム放談

電子制御! Vol.32

千葉県八千代市にある総合エアガンショップの「モケイパドック」にお邪魔して、技術主任の"でめちゃん"にカスタムガンのことをいろいろ伺ったので、連載で紹介しています!!

前回のお話はこちら

道楽「こんにちは~!」

ICO いらっしゃ~い!!

道楽「今日は電子トリガーの定義について教えてもらおうと思いまして。電子トリガーっていろいろな種類があってよくわからなくて。」

ICO なるほど。最近は多くの電動ガンに電子トリガーが搭載されるようになったよね。つい最近は東京マルイの次世代MP5も発売されたし。今回は電動ガンの電子化の流れも交えて解説してみようかな。

キットボーイ
最初に電動ガンの電子化といえば90年代中頃だったかな、システマやKM企画、キットボーイなどからFETパーツが出始めたんだよね。

道楽「FET、よく聞くワードですがどんなものでしょう?」

電界効果トランジスタ、FETは電流の流れを制御するスイッチの役割をするんだ。電動ガンではよく聞くMOSFETもFETの一種だよ。

超簡単に回路図を書くとこんな感じ。
FET回路図

トリガーを引くと外周の回路に電気が流れる仕組みになってるよ。
従来のトリガースイッチだけの方式だと、トリガー焼けなどスイッチ部の負担が大きかったんだけど、それが改善されるのと、効率よく電気的に電流がオンオフするのでレスポンスが上がるんだ。

道楽「なるほど~!!」

でも、FETだけで電子トリガーというより、その後に様々な制御機能が付いて電子トリガーに発展していくんだ。


まずトリガースイッチがタクトスイッチやマイクロスイッチに置き換えられていくよ。上の黒いのがマイクロスイッチ、下のオレンジのがタクトスイッチと呼ばれるもので、従来の電動ガン用スイッチより小型でストロークも短いんだよね。これらは汎用電子部品で価格が安いというのもあるし、従来の電動ガン用スイッチやカットオフ機能がマルイの特許だったというのも普及のきっかけと言えるかな。

ICO これらに加えて制御機能が付くのが電子トリガーの特徴と言えるかな。

道楽「制御機能といいますと?」

以前のコラムで、電動ガンの一発のサイクルはセクターギアのカムをカットオフレバーがキャッチしてトリガースイッチを物理的に切り離していたと説明したよね。これも一種の制御機能なんだけど、例えるなら機械式腕時計のような機械制御といえるよね。

このセミオートの1サイクルをディテクタスイッチ、あるいはセンサーで検知して電子的に電流をカットしたり、モーターにブレーキを掛けて制御する機能が付くようになってきたんだ。これを実現するのにICが搭載された電子基板が内蔵された。これが電子制御機能。

ディテクタスイッチ
検知する方法はディテクタスイッチで読み取る機械検知式、あるいは磁気センサーや光センサーで検知する非接触型のセンサー検知式のどちらかに分かれるね。

ARES
中国メーカーのARESが早い時期から電子制御機能を実現していたよね。バッテリーとの間に接続してセレクティブファイアモードを切り替えるこのデバイス、今でも使ってるよ。
国内でも2012年頃かな、ビッグアウトのDTMといった電子基板型のカスタムパーツが登場してきたよね。

よりレスポンスを高めるプリコック機能や3点バースト射撃も電子制御機能があると搭載しやすくなるんだよね。

実は東京マルイも1995年発売のPSG-1でプリコックやアクティブブレーキといった機能を実現していたんだ。翌年発売のSIG SG550では電子可変3バーストも実現していたんだけど、それからしばらくは電子化は進まなかったよね。最近は海外メーカーの独壇場たった。

道楽「そのマルイもAA-12やMK46あたりから少し変わってきましたよね」

Mシステムの基盤

そうなんだよね。そして今回発売されたMP5A5 次世代電動ガンでようやく統合化された電子基板を採用したMシステムが登場したんだ。マグネットセンサー検知の最新式で電子3点バーストやアクティブブレーキ機能も付いた。

電動ガンの制御構造をまとめるとこんな感じかな。
電動ガンの制御構造
従来のアナログ式があって、FET式、そして一般的に電子トリガーと呼ばれるものは電子制御式で、その中には機械検知式とセンサー検知式がある。
電子トリガーは英語だとETU(Electric Trigger Unit)とかFCU(Fire Control Unit)とも呼ばれるね。

道楽「これからの電動ガンはもっと電子制御化が進むんでしょうか?」

ICO そうだね、現在までの流れを見ると今後も電子化は進んでいくだろうね。昔はコストの問題からハイエンド機にしか搭載されていなかった電子トリガーも量産化でエントリーモデルにも搭載されるようになった。

最近だと日本のシステマ社が実用化させた小型ブラシレスモーターをギアボックスユニットに内蔵したPTW INFINITYがあるよね。

PTW INFINITY
道楽「あれは驚きましたね!」

ブラシレスモーターなら細かい回転角度を制御できたり、省電力化も進むんだよね。そうなるとバッテリースペースも小さくできるし、ギアがメカボックスインすることでモデルアップできる機種も増える。

この構造は世界的にも注目されていて、ARESがさっそく似たような構造のプロトタイプを公開していたよね。

さらに言えばリニアモーター式の電動ガンなんていうのもあるよ。

道楽「あー、以前にフランスの企業が実用化しようとしてとん挫した…」

リニアモーター式の電動ガン

あのパテントは現在東京マルイに引き継がれているんだ。回転するモーターやギアを使わずに、直線的に駆動するリニアモーターで電動ガンを作るという機構は凄いよね。ただ出力やコストの問題もあって実用化はまだ先だと思うけど。

道楽「電動ガンの未来が楽しみですね~!!」

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総合エアガンショップ モケイパドック
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2021/09/10