天才作戦家マンシュタインは虚像か?『漫画 マンシュタインと機動戦』

天才作戦家マンシュタインは虚像か?

『漫画 マンシュタインと機動戦』
大木毅[監修]
石原ヒロアキ[作・画]
A5判228ページ/6月5日発売

「ドイツ国防軍最高の頭脳」と称されたエーリヒ・フォン・マンシュタイン。その評価は、長く本人の回想録を基にしたものであったが、冷戦後は戦争責任の回避や戦略的視野の欠如が批判されるようになった。一方で、その作戦能力の高さを認める声も根強く、評価はいまも揺れている。本書は、スターリングラードからクルスク、ドニェプル川の戦いを描きながら機甲戦の進化と独ソ戦の実態を再現したものである。元自衛官の視点から作戦面に焦点を当て、多数の作戦図を交えてマンシュタインの戦いに迫る!

「監修者の言葉」

マンシュタインの人物像を描くのは、なかなか難しいことであるのだが、本書の著者石原ヒロアキ氏は、この課題に敢えて挑んだ。そのための視座として、幹部自衛官(陸上自衛隊の元一佐)の経験を生かし、マンシュタインが東部戦線で示した作戦的能力の評価に集中したのは賢明だったといえよう。
その結果、本書においては、さまざまな批判を受けてもなお色褪せぬマンシュタインの作戦の巧妙さが鮮烈に描きだされることとなった。また、組織人でありながら、「異論派」として独裁者に反対することも辞さないマンシュタインの個性も、漫画というメディアの特性を生かして、ヴィヴィッドに提示されている。 ゆえに、マンシュタイン将軍の真価はどこにあるのか、あるいは独ソ戦は作戦次元においてはどのような展開を示したかを知りたいとする読者には、うってつけの入門書となるはずである。

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