男と犬が命を懸ける瞬間『鋼鉄の犬』小説

PMC、軍用ドローン、内戦問題など、現代の軍事事情をテーマに企画された「明日の軍事冒険小説」。
IED(仕掛け爆弾)による負傷で退役したハンドラーと軍用犬を視点で書かれており、「動物との絆」をテーマとした文芸作品な楽しみ方もできます。また、主人公が、相棒の軍用犬とともに「調教」することになる四足歩行ロボット(ロボット犬)との交流には「ロボットに心は芽生えるのか?」などといったSF要素も盛り込まれています。
ミリタリー、動物、SFと3つの要素をエンタメ小説としてまとめ上げるのは架空戦記小説でいくつもの作品を発表している富永浩史先生。先生の世界設定の巧みさと抑え気味でクールな人物描写もさることながら、本作では動物に造詣の深い知識も十分に発揮されており、読者を物語へと引き込みます。
また、装画には、同じく動物知識の豊富な赤岸K先生を起用。先生の確かな知識に裏打ちされた軍用犬のイラストも、魅力に溢れたものになっています。

あらすじ

仕掛け爆弾による負傷で軍を辞めた犬の調教師ハンドラー・アルと軍用犬・ルークは、世話になった獣医師の勧めで民間軍事会社へ再就職する。そこで待ち受けていたのは試作型ロボット犬・BDY-9。アルとルークは内戦状態の砂漠の国へ派遣され、BDY-9を戦場で使えるよう“調教”することになるが、できたのは「お手」や「お座り」ばかり。
仲間とともに任務に参加する中、ロボットの独特な行動様式に戸惑いながらも「犬」としての愛着を感じ始めていたアルとルークは、そこで出会った村の少女パリールの依頼に応じ、彼女の村を訪れる。だが、そこは武装勢力の有能な狙撃手と猟犬が待ち受ける危険地帯だった。
孤立無援のアルたちは、絶体絶命の状況を打破するため、BDY-9にある命令を下す――。
内戦下の砂漠の国で巻き起こる、犬からはじまる魂の物語!

 

本作の特徴①

動物に造詣の深い作家とイラストレーターにより、多くの犬種がていねいに作中に登場します。
本作では、主人公アルの相棒ルーク(ベルジアン・シェパードの雑種)、敵対する武装組織の凄腕女スナイパー、ルカイヤが従えるナーセル(ポインター)の他にも幾つかの犬が登場します。

本作の特徴②

ロボット犬の戦場投入に関わる主人公というSF的な面白さ!
本作では、主人公アルと相棒のルークが訓練することになるロボット犬「Buddy」が登場します。このロボット犬との交流が本作をSF的な面白さへと導きます。

Buddy BDY-9
通称、バディ。Big-Dog 試作型(Y)。サイズは小型の牛程度。
動力は電動。胴体に大型のバッテリー内蔵、基地にて充電。
CPU、メインカメラも胴体に装備。
それ以外のカメラは補助。上部にひとつ、透明の回転灯じみた全周カメラがある。
(斜めのミラーを下から撮って全周視界を得る方式)。
脚部は4脚。接地部分はホイール兼用。
基本構造は4本とも同じで互換性あり。したがって、犬とは可動範囲も微妙に異なる。

本作の特徴③

衣装関係には監修を付け、リアルな世界観を演出。
本作では、主人公の所属するPMC、派遣先の中東の国「ビルギスタン」など、架空の組織や国が登場しますが、衣装・装備関係にミリタリー用品及びコスプレ用品を取り扱う「TAC-ZombieGear」(http://www.tac-zombiegear.work/)に監修を依頼し、ミリタリー作品としての世界観のリアルさを演出しています。

【作中に登場する主な銃器】
M4A1 / M16A4 / SIG P226 / FN SCAR-L / HK416 / MINIMI M240 / モシン・ナガン M1891/30 / バレットM82A2 / AKM / RPK / MG3 / G36

内戦下の砂漠の国で巻き起こる、犬からはじまる魂の物語にご期待ください!

 

書籍情報

・書名:鋼鉄の犬
・著者:富永浩史
・イラスト:赤岸K
・発売日:2018年12月21日(金)
・発行:㈱マイクロマガジン社
・定価:750円[本体 694円+税]
・352ページ 文庫判
・ISBN:978-4-89637-848-1
・コピーライト:© Hiroshi Tominaga 2018 © MICRO MAGAZINE 2018
※発売日は地域によって異なります。

特設サイト
http://micromagazine.net/bungei/irondog/