ソ連軍の火炎放射銃?!РОКС-2(ロクス2) と РОКС-3(ロクス3)

さて、皆さんは火炎放射器と聞いて何を思い浮かべますか。

沖縄戦線で米兵がガマにこもる日本兵相手に容赦なく使用している映画『パシフィック』や『硫黄島からの手紙』でお馴染みの展開が思い浮かぶのではないでしょうか。

 

第二次大戦中、火炎放射器を多用したのは米軍だけではありません。特にソ連軍はРОКС-2(ロクス2) と РОКС-3(ロクス3)という火炎放射器を開発、ドイツ軍との戦闘で大いに活用しました。 1930年代にはロクス1が完成、その後継のロクス2は独ソ戦初期から使用されていました。その後ロクス3が1942年に採用されてからは徐々にロクス2は更新されていき、ロクス3がその後1950年代まで活躍します。用途は一般的な火炎放射機といった感じで、トーチカの破壊や装甲車への攻撃などだそうです。

 

突然ですが、画像を見る前に、以下の数字を頭の隅に置いておいてください。

94cm, 重さ ― 4 kg。

ロクス1-630

ん?ウィンチェスターM1887…がついてる???
いろいろなことが頭をよぎります。「命中精度をあげたかったのか?」「でも火炎放射器ってそんなに反動ある?」そして、行きつく先は、「タンクだけでも重いのに、何でウッドストックの発射機??」※全体だと満タン状態で23kgだったようです。(ギリギリロシアのアエ○フロート航空の預け荷物の制限内です)
さて、さっきの数字を思い出してください。

全長94cm, 重さ ― 4 kg。

これは銃っぽい発射機部分(ウィンチェスターM1887っぽい部分)だけでの重さです!!!!

この発射機部分、とりあえずスリングはつけられるようですが、なんだかホースと絡まりそうではないですか?

 

ホース?さて、みなさん、この火炎放射器を見ていてあることに気が付きませんか?そう、かつてのボンベ直結のガスガンと似ている(笑) いかがでしょう、どなたかモシン・ナガンのパーツと何かのボンベから作られてみては?
※その折はご連絡お待ちしております。石倉がカメラを持って取材に伺います。

 

さて、銃型の発射機の考察に戻りたいと思います。白兵戦でも役立つようにしたかったのでしょうか。とりあえず、燃料が切れたらホースを切って発射機を棍棒にできるのは確かです。専用の銃剣も実はあったりして?(これが日本軍の火炎放射機だったら確実につけているはず。あいにく日本軍の火炎放射機の発射機は鉄パイプ状ですが)また、発射機が銃型の場合、正面からだと、一見して一般の歩兵にしか見えない効果もあったのではと思われます。

 

さて、火炎放射器としての性能ですが、最高で40~42メートルの飛距離があったとされています。ですが、風向きによって結構変わったそうです。 やはり、火炎ジェル発射原理は火薬ではなく空気ですから(大きな水鉄砲のようなものですね)。また、発射のためには発射用弾を発砲する必要がありますが、その数は10発と限られていました。電気式にしなかったのは当時のソ連の工業力か、あるいは寒い環境でも確実に着火できるようにするためか…おそらく両方でしょう!

 

ロクス2-630

 

この火炎放射器、かなり活躍したようで、とくに独ソ戦末期に瓦礫や塹壕に隠れたドイツ軍をあぶりだしたり、戦車と随伴歩兵への待ち伏せにも猛威をふるったようです。結果ソ連軍、火炎放射器が大好きになり、アフガン侵攻でも多用するようになりました。※米軍が世論の影響で火炎放射器を制式採用から70年代に外したのとは違いますね。ソ連には基本的に民主的な「世論」は存在しませんでしたので!
(文: ピョートル石倉)

 

ロクス3-630

 

参考資料・画像引用元

http://topwar.ru/63565-pehotnyy-rancevyy-ognemet-roks-3.html