AK47で伝説を生んだカラシニコフ・コンツェルンの拳銃

新しい拳銃がロシア・ウドムルト共和国首都のイジェフスクにあるカラシニコフ・コンツェルンで開発され、話題となっています。イジェフスクはカラシニコフが開発した伝説的な自動小銃の生産システムをソ連時代から担う銃の町で、ソ連時代は関係者以外の立ち入りが禁止された、「閉鎖都市」の一つでした。

 

イズマッシュ・グループがソ連時代から小銃等を生産していましたが、2012年4月に経営破たん、国営大ホールディングのロステク主導のもとイズテックという同じイジェフスクにあるグループと経営統合。その後2012年11月にカラシニコフ生みの親であるミハイル・カラシニコフ氏が副首相ドミトリー・ロゴジンにコンツェルンに「カラシニコフ」の名を使用する許可を出し、晴れて「カラシニコフ・コンツェルン」として株式公開、現在に至っています。

 

新しい拳銃は「レヴェジェフ PL-14」と呼ばれ、現段階ではプロトタイプのようです。まず、2015年のロシアの兵器フォーラムで出品され、トカレフやマカロフなどのソ連製拳銃と比較すると、グロックにどことなく似た今迄のより近未来的なデザインで話題になりました。一部関係者からはグロックのコピーではないのか? などと批評されてもいるようですが、カラシニコフという名前自体かなりネームバリューがあるので軍・警察関係者からの期待度はかなり高いようです。

 

PL-14

 

今までのいかにもソ連軍という感じのイズテックがかつて生産していたマカロフやグラッチMP-443などとは異なり、ライトなどを装着できるレールも(申し訳程度に窪みがあったMP-446とも異なる)標準装備、また弾丸は9ミリパラベラム弾を使用するようです。さらに、装弾数は8発しかマガジンに入らないマカロフと比較すると15発装填することができ、装弾数は2倍近くに増えていますが、MP-443の装弾数が18発なのでマカロフとMP-443の間をとったとも考えられます。

しかし、重量がマガジンなしで730gのマカロフと比較するとマガジンなしでも重さが約1kg程度、また全長もマカロフより長くなっており、携帯性に劣るようです。しかし、関係者によると、携帯性を失わないため、グリップなどを限界まで薄くしたとのことです。 また、左利きでもセーフティーが使えるようになっているようです(流石にフィールドストリップ用のレバーは右側だけのようですが)。どこまで役に立つのかはわかりませんが、関係者によるとスライドの前後に刻んである凹凸もフィールドストリップを従来より楽にするためにかなり役立つとのことです。

 

小柄なマカロフから一転、少し携帯性が落ちたPL-14ですが、逆に今まで小さいマカロフはガタイの良いロシア人には不釣り合いだったようにも思えます。実際2010年からロシア軍にはマカロフに代わる新型拳銃MP-443が配備、マカロフから少しずつ更新されていますが、実際には絶対数が全く足りておらず、ロシア軍や警察の関係者の多くはいまだにマカロフを腰から下げています。

もし、MP-443よりも生産コストが低く抑えられ性能がいいとなればPL-14がトカレフやマカロフに次ぐ、ロシア製拳銃いえばこれ、という銃になるかもしれません。現在ではすでに特殊部隊やスポーツ射撃などの用途に合わせた様々なバリエーションを開発中とのことです。

(文: ピョートル・石倉)

 

 

引用・参考資料:
http://www.rg.ru/2015/06/17/pistolet-site.html