ヴァージニア級原子力潜水艦

冷戦時代、ソ連でアクラ型潜水艦が開発されました。このアクラ型は当時アメリカ海軍が運用していたロサンゼルス級潜水艦より大型で、なおかつ少ない乗員で運行できるものでした。これに対抗しアメリカが開発したのが、シーウルフ級。攻撃能力、速力、潜航深度など様々な点において素晴らしい性能をもった潜水艦でした。

しかし、良いものは高いといったところで、このシーウルフ級は大変に高コストでした。それは海軍のお台所事情を圧迫し量産を不可能にするレベルだったため、建造はたった三隻で打ち切りとなりました。その後、このシーウルフ級の後継となる性能をもち、なおかつシーウルフ級並みの性能を求めて発足したのが「センチュリオン計画」。後にヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦へと繋がります。

冷戦が終結し、軍事予算が縮小してゆく最中。そんな世相によく馴染むこのセンチュリオン計画は陽の目を浴びてゆきます。そして1992年、計画名は「NSSN(New Attack Submarine) 」へと変更され、開発は本格化してゆきます。2004年。ついにヴァージニア級潜水艦が就役となります。全長114m、全幅10.4m、乗員134名を搭載し、推定速力は水中で34ノット。

しかし完成したヴァージニア級潜水艦は、結果として「能力は一部シーウルフ並みで、やっぱり少し高い」という正直中途半端な結果に収まってしまい、まだまだコストカットの必要性が高いようです。能力とコストの両立とは、なかなかに難しいものです。

動画内、暗い海面を柔く切り裂きながら進む滑らかな潜水艦のボディが不気味で、クールです。