百年前の機関銃

百年前にロシアが開発した機関銃、PM1910重機関銃の映像です。

十九世紀、世界は産業革命の時代でした。
銃器の業界も、1884年にイギリス人のハイラム・マキシムによって世界初の機関銃・マキシムが開発されるなど、目まぐるしい成長を遂げました。
M1911ガバメントをはじめとするオートマチックピストル、連発ライフル、そして機関銃が登場します。
毎分数百発の銃弾を発射する事ができる機関銃は当時、ライフル数十挺に匹敵する恐るべき火力でした。
冷却や移動などに数人の要員が必要な点を含めても、これは凄まじい戦力であったと言えます。
ローデリアの第一次マタベレ戦争においては、50人の兵が4挺のマキシム機関銃によって、5,000人もの兵を撃退したと言われます。

そのマキシム機関銃のコピー品としてロシアが開発したのが、PM1905機関銃。本映像の前身となる機関銃です。
そして完全なコピー品(正式なライセンスは持っていました)のPM1905を改良し、このPM1910重機関銃が誕生します。
毎分550発の連射速度は、元祖であるマキシム機関銃には少々劣るものの、その頑丈さは折り紙つきで、第二次世界大戦やロシア革命など激動の時代を運用され続けました。


上映時間の合計が九時間半にも至る、五味川純平原作の長編戦争映画三部作「戦争と人間」の完結編に、ノモンハン事変で敗れた日本兵の伍代俊介が、水を求めて戦場をさまよった末にこの機関銃の冷却水を飲み、喉を潤すというシーンがあります。
「俺たちは負けるかな?」、「負けたじゃないか」。虚しいセリフと共に、この機関銃の印象を強く残すシーンでした。