UMAREX/VFC 電動ガン HK G28 DMR DX Limited

UMAREX/VFC 電動ガン HK G28 DMR DX Limited

レポート:戸井 源太郎

汎用性の高い7.62mm弾による長射程とパワーを持つHK417をベースにしたスナイパーライフルがG28です。このG28が早くもUMAREX/VFCから電動ガンとして登場しています。もちろん世界初のトイガン化です。


UMAREX/VFC HK G28はドイツの実銃メーカー、ワルサー社の親会社であるUMAREXがH&Kの正式ライセンスを取得し、それにより提供された正確なデータに基づき、台湾のVFCにより製作された電動ガンです。VFC製品は日本でも工作技術、精度の高さから定評のあるメーカーですので、実射性能も期待できます。ちなみに世界的には、VFCのHKトイガンシリーズは商品名にVFCの名はなく「UMAREX」のトイガンブランドとして発売されています。つまり実銃メーカーのトイガン部門製品というような感じではないでしょうか。
その外観の美しさはもう“おもちゃ”のレベルを超えています。眺めているだけでも満足できそうなくらいです。
が、しかしエアガンは撃って、当たらなければ意味はありません。HK最新スナイパーライフルの精度はいかなるものか? 早速、レビューしてみたいと思います。

 


実銃のHK G28は2010年にHK G3 SG1の後継としてドイツ連邦軍に検討され、開発がスタートしました。基本、G28はHK417の民間向けモデルであるMR308(MR762)をベースに競技用のバレルとを組み合わせたものに若干の改修を加えたものだそうです。
バレル長は16.5インチで、モデル名は「G28 Standard」といいます。スコープにはHK刻印入りのシュミット&ベンダーのPM2 1-8×24を標準装備しており、ハリスのバイポッドも装備されています。しかしガン本体のみで5.8kg、フル装備で重量が9kg以上にもなるため、ショートレールで、装備もスコープのみに簡素化した「G28 Patrol」も存在します。状況により、現場でパーツを組みかえることも可能となっているようです。


2011年の8月にはドイツ連邦軍に制式採用され、他にはフランス軍も採用したそうです。アメリカ陸軍も一部改良されたG28EをCSASS(コンパクト半自動狙撃銃システム)テストを行っているようです。
命中精度は高精度弾薬を使用すれば、100mで45mm以内という高い精度を誇り、有効射程は600~800mで、最大有効射程は1,000mにも及ぶそうです。
アフガニスタンなど開けた土地で遠距離射撃が必要な戦場で、その性能を如何なく発揮しているようです。


ラスベガスのショットショー2016でHKブースに展示されていた最新モデルのG28Eです。OSSのサプレッサーと新型の軽量レールハンドガードが装着されています。

UMAREX/VFC 電動ガン HK G28 DMR DX Limited スペック & 弾速データ
全長 970~1,040mm
重量 4,125g (本体のみ)
5,200g(マウント、バイポッド他込み)
銃身長 -mm(インナーバレル長)
装弾数 6mmBB弾 100発
定価 134,000円(税別)
発売日 2015年11月
最高 91.13m/s
平均 90.65m/s
最低 89.87m/s
ジュール 0.822J
回転数 827rpm(秒間13.7発)
※7.4Vリポ使用 (実測値7.90V 69%)
※東京マルイベアリングバイオBB弾 0.2g使用、ホップアップ適正、10発での測定、気温約19度(屋外)、湿度47%、X3200にて測定。

ードガンケース
VFCの電動ガン G28はハードガンケースに入った状態で販売されています。購入後、持ち運び、保管にも利用でき、便利です。
ガンケースのサイズは135×40×14cmとかなり大型サイズで、重量は約4kgもあります。スコープなども搭載した本体を収納すると10kg近い重量になってしまいます...。

ガンケース内
ガンケース内はスポンジシートがあり、ガンを保護してくれています。ガンケース内でのズレ防止のためか、スポンジブロックも4つ入っていました。

取説付属品は取説のみです。4ヵ国語で表記してありますが、日本語には対応しておりません。
バイポッド、スコープマウント、フォアグリップなども付属していますが、これはオマケではなく、G28の基本セットになります。

G28 左
G28 右
HK417をベースに肉厚の専用レールやチークパッド、調節可能なバットプレートを装備したストック、また専用のスコープマウントを搭載したスナイパーライフルG28を忠実に再現しています。
ちなみに商品名のDMRとはDesignated Marksman Rifleの略となります。
HKの親会社であるUMAREX社の正式ライセンスを取得しているため、細部まで、しっかり再現しており、一切の妥協はみられません。
もちろん主要パーツはアルミ製のフルメタルボディとなっています。
工作技術も高く、エッジが立ち、美しく仕上がっています。

レシーバー左
レシーバー右
7.62mmNATO弾を使用するフレームはM4系より一回り大型化されています。アッパーは塗装でロアはアルマイトか? 処理の違いで色合いが微妙に違うところが非常にリアルっぽくみえます。また、各所にある刻印は正式ライセンス取得によりすべてリアル刻印になっています。

トリガー
トリガーはカスタムトリガーなどではなく、HK417と共通のようです。
トリガーガードはラウンドタイプでぶ厚いグローブ着用時でも操作できるようになっています。

ボルトリリースレバー
ボルトリリースレバーはライブです。ホップ調整後のボルトカバーのリリースに使用します。レバーは大型化され、また誤操作を防ぐためか、庇(ひさし)がついています。

セレクター
アンビセレクターとなっていますが、操作は左側面のレバーでしか操作できません。右側は回転はしますが、残念ながらダミーレバーとなっています。
スナイパーライフルなので、ピクトグラムはセフティとセミしかありません。しかし電動ガンなので、フルの位置にセレクトすれば、フルオートで射撃可能です。

グリップ
グリップはHK417と共通のようです。PSG-1のような調節可能なパームレストなどもないシンプルそのものです。トリガーもそうですが、実際に運用してみると必要ないのかもしれませんね。

ボルト
単なるカバーなのにボルトの複雑な形状を非常によく再現しています。またボルトカバーにも「HK」の刻印があります。右の「MR」はHK417の民間バージョンの名称(MR308)だと思われます。

チャージングハンドルを引けば、ホップ調節ができます。ホップダイヤルはドラム式で表示もあるので調整時には助かります。
ホップの調整後はボルトリリースレバーを押せば、カバーが閉鎖します。

チャンバーブロック
マガジンハウジングからチャンバーを見ると、チャンバーブロックがネジ留めされています。これによりメカボックス、チャンバー、インナーバレルがしっかり固定され、命中精度の向上に繋がっているのではないかと考えられます。

チャージングハンドル
チャージングハンドルは片側のみ大型のレバーが装着されいます。ただこのチャージングハンドルにはリターンスプリングがなく、引いたら再び押し戻してあげないといけません。

レール
レールハンドガードはHK独特の角ばった形状ですが、細部はHK417とはかなり違っています。まず、冷却&軽量化のためのホールが両サイド上面にはまったくないこと。先端部から約20cmほど左右と下面のレールがないこと。フレームへの装着部や一体化されているフロントサイトなどが変更されており、G28専用のレールとなっています。左右にはHKの刻印入りのレールカバーが付属しています。

トップレール
トップレールはフレームからハンドガードまでフルフラットとなり、スコープとナイトビジョンやサーマルサイトなどと併用も可能となっています。

レーザー刻印
上下左右のレールにはレール番号がレーザー刻印されています。これは光学機器を装着する際の目印となり便利です。毎回同じ位置に再装着すれば、狙点のズレも小さくて済むのです。

ガスレギュレーターレール中央あたりにあるスリットの「S」と「N」の表示はガスレギュレーターのガス圧調整用の目印です。電動ガンではもちろんダミーになります。

フラッシュハイダー
フラッシュハイダーはSCARのような細長いスタイルでスチール製となっています。みたところサプレッサーはワンタッチで装着はできなさそうです。ハイダーは取り外すことができ、14mm逆ネジ仕様となっています。

フォアグリップHKの刻印入りのバーティカルフォアグリップが標準装備されています。グリップ先端部を回すことでロックができるようになっています。

フロントサイト
フロントサイトはレール一体型の起倒式となっています。ロックもなく、サイトの調節もできないシンプルな作りです。

リアサイト
リアサイトは着脱可能なフリップアップサイトが標準装備されています。
このリアサイトは左サイドをスライドさせることによりワンタッチで着脱できるようになっています。

リアサイトは上下左右で調節が可能リアサイトは上下左右で調節が可能となっています。左右の調整ダイヤルには90°ごとにロックできます。ロックを解除するときは左にある三日月形のボタンを押し込んで操作します。上下は、ピープ部分を引きだして、回すことで調節できます。
着脱式のスイベルリングレール左側基部近くには着脱式のスリングスイベルが標準装備されています。
スイベルプレートストックパイプ基部にも左右使えるスイベルプレートを装備しています。

ストック
ストックはスナイパーに必須であるフルアジャスタブルのチークパッド、バットプレートが追加された仕様となっています。 ストックは最大で約70mmの調整長があります。

チークパッドの位置が変わらないストックの長さを変えてもチークパッドの位置が変わらないところに注目です。

変則5段階伸縮
ストック長は変則5段階伸縮となっています。

チークパッド、バットプレート調節
チークパッドは側面にある3mm六角レンチで約20mm、バットプレートはダイヤルを回すことで約30mmの範囲で調節ができます。 バットプレートはゴムかと思いきやプラ製でした。また両サイドにスイベルリングを装備しています。

バッテリーはストックパイプ内バッテリーはストックパイプ内に収納します。パイプの直径約30mm、奥行きは約215mmで、AKタイプの長めのスティックタイプのリポでも収納できます。

マウントは付属
多くのスナイパーライフルはガンのみでなく、スコープやアクセサリー、ハードケースを含めて制式化されています。G28も実銃はシュミット&ベンダーのスコープ、専用マウントもセットになっていますが、VFCの電動ガンではマウントは付属しますが、スコープ、ドットサイトは付属していません。

マウント類
マウント類はスコープ単体、ドット単体でも使用可能です。スコープマウントのリング径は34mmですが、30mm用のマウントリングも付属しています。ドットサイトはAimpointのMicro T-1系に対応します。

フードは着脱可能前後のフードは着脱可能です。Aimpoint Micro T-1など持っていないので、ノーベルアームズのCOMBAT T-1を搭載しましたが、前後のフードが干渉しましたので取り外して搭載しました。実物ならフード付で装着できると思いますが未確認です。

バイポッド
ハリスタイプのバイポッドが標準装備されています。折りたたみも可能で、脚の長さも5段階で調節できます。安定した射撃には欠かせないアイテムです。

装着部が左右にチルト
高級なバイポッドはガンとの装着部が左右にチルトし、微妙なセッティングができます。この部分はロックもできます。バイポッド後部にあるレバーを後ろに引いてレバーを真下にするとロック、横にするとロック解除となります。

マガジン
マガジンはプラ製の半透明タイプです。HK417と同様のマガジンのようです。弾丸やマガジンスプリングまで精巧に再現されています。装弾数は100発のノーマルタイプのマガジンです。

フルメタルボディ
フルメタルボディでがっちりした作りだけでなく、高い技術により精巧に再現されたG28は非常に美しいです。
しかもガン本体にバイポッド、フォアグリップ、スコープ、ドット用のマウントが装備された超豪華仕様です。乾燥重量で約4.2kgさらにスコープ、ドットを搭載した重量は約5.5kg以上にもなります!
とにかく第一の印象は重い! です。
事実、スナイパーライフルは重量によりリコイルを低減しているので、見た目以上、重いものなのです。しかし、この重量で、立射で正確な射撃は自分には自信がありません。今回はバイポッドが標準装備なので、レストして撃ってみました。
弾は東京マルイのベアリングバイオBB0.2gです。
ホップの調整幅も広く、特に問題なくセッティングすることができました。
弾道も素直で距離40mでボディにはほぼ命中させることができました。
実銃と違いフルオートでも射撃可能です。スタンダード電動ガンなので、リコイルもなく、また本体重量もあることから、その弾道もある程度まとまっていました。
しかし0.2gBB弾だと軽く、風の影響なども受けやすいため、ポテンシャルはあるのですが、40mでピンポイント狙撃というところまでには至っていないと感じました。弾を0.25g、0.28gにするともっと纏まるのではないだろうかと思います。
それでも箱出し状態で東京マルイのスタンダード電動ガンと同等の精度はあると実感しました。
海外製のトイガンの中でも評価が高いVFC製電動ガンは、充分、実戦に投入できる精度は有していると思います。

メカの精度
VFCの電動ガンはメカの精度の高さにも定評あります。撃っていて気付いたのは、雑音の少なさです。そしてトリガーレスポンスのよさです。調べてみてもVFCの電動ガンにはまだFETなどは搭載されていないようですが、リポバッテリーだけで、かなりレスポンスがよいと感じ、トリガーロックもありませんでした。



先日、サバゲで、東京マルイのスタンダード電動ガンのAK47やG36の箱出しノーマルを使ってみたのですが、反応の鈍さにびっくりしました。セミオートで速射するとトリガーロックしまくりでした。
東京マルイ製でも昔はこんな感じだったのかと思うと、VFCの性能のよさがよくわかります。VFCの電動ガンのメカは基本、東京マルイと同様ですが、日々進化しているのですね。

UMAREX/VFC HK G28
UMAREX/VFC HK G28は海外製電動ガンですが、今回、レビューしたG28は日本正規代理店取り扱い商品ですので、初速なども日本の法規制に対応するよう調整されたJP Ver.になります。日本流通の全製品のシリアルナンバーを管理しており、万一故障してもちゃんと修理に対応してくれますので安心です。またVFCは各パーツをオプションとして販売もしているので、助かります。
そして実銃メーカー監修により作られた電動ガンであり、外観のリアル感、重量感、そしてその美しさは実物と見間違うほどです。

さらにスコープマウント、ドット用マウント、バイポッド、ファアグリップなどアクセサリーも標準装備でハードガンケース付という超高級、超豪華仕様となっています。
その分、価格は高いと言わざるを得ませんが、この完成度、実射性能は充分に納得できる内容だと思います。
特に今後ミリタリースナイパーライフルのスタンダードになりそうなG28は今のうちにチェックしておいたほうがよいと思いますよ。

ブラックバージョンが登場!


ブラックバージョン
128,000円(税抜) HK G28の豪華な仕様はそのままに、ブラックバージョンが加わりました。高い工作技術によるリアルな質感はそのままに、黒衣をまとった最高級なモデルに仕上がっています。またうれしいことに、このロットからTANカラーも含めて、価格を改定し、お安くなりました。改定価格:128,000円(税抜)。2016年8月価格改定。

撮影協力:VFCジャパン、ビレッジ2
VFC製品取扱店

2016/06/20


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